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DAZN観戦 2023年J1リーグ第12節 ヴィッセル神戸vs横浜FC

2023-05-12 18:13:07 | サッカー視聴記(2023年J1)

<両軍スタメン>

現在のJ1首位クラブである神戸。
前年残留争い・親会社(楽天グループ)の経営不振・戦力補強の奮わなさと、マイナス要素が3拍子揃ったかのようなシーズンオフ。
それが一転して今や首位という成績に、苦戦を予想していた自分としても驚きを禁じ得ない状況です。

思い出されるのが、楽天グループに買収される前の神戸。
母体となる親会社が無く、「最も貧乏なJ1クラブ」と揶揄されながら、毎年のように残留争いを勝ち抜き踏み止まって来たという歴史を持っており。ただオフの補強策はカズはじめネームバリューに頼ったものでしたが
その後の楽天時代は、経営的な不安こそ無くなったものの、動けば動くほどドツボに嵌り降格も経験する(2度)良く解らないクラブと化してしまい。
それを払拭すべく舵を切ったと思われる、アンドレス・イニエスタをはじめとするビッグスターの獲得。
しかしいくら楽天といえど資金源は無限では無く、前述の経営不振+高騰する選手年俸のダブルパンチに襲われた影響で、息切れが目に見えて表れ始めた現在。
その苦境が王政復古と言わんばかりに、「限られた戦力を有効に使い凌ぐ」気概を皮肉にも齎した、という流れでしょうか。

その「限られた戦力」の通り、今季これまでリーグ戦全試合スタメンの選手が6人。
大迫・武藤・山口のような海外リーグ経験者のみならず、成長したGK前川や、要所を締める山川・初瀬といった選手もその枠組みに入っている辺り「神戸は変わったな……」と思わされます。
この日の相手は、前節にようやく初勝利を挙げた(新潟戦、1-0)という横浜FCで、首位vs最下位の戦いとなり。

3-4-2-1へとフォーメーションを移し、守備を固める意識を最優先という、順位の通りの判り易い弱者の戦いへとシフトした感のある横浜FC。
仮に主体的な攻撃をしようとしても、恐らくは神戸の前線の果敢なプレッシングの前に果たせず仕舞いとなっていた可能性が高く。
前半2分にロングボールのクリアミスを山下が拾って敵陣で攻撃開始、左からのカットインで左ポケットを突く(クロスもブロックされる)という具合に、耐え凌ぎつつ隙を見て決定機を迎える体勢だったでしょうか。

10分に再び神戸のパスミスからの好機、左サイドで拾った小川航から、小川慶→中村と経由して逆サイドへ。
そこからの前進でコーナーキックを獲得と、セットプレー一発で仕留めるチャンスを得ましたが、ここから齎されたのは神戸のカウンター。
GK前川がパンチングで跳ね返したボールを拾った汰木、左サイドをやや遅めのドリブルで前進していくと追い越した武藤へスルーパスを通し、さらに武藤が逆サイドへ展開。
ドリブル頼みの高速カウンターとは一味違った、長いパスで隙を突くという前進を経て、佐々木から放たれたミドルシュートはゴールバーを直撃と惜しいシーンとなりました。

相手がハイプレスに来ない体勢のため、必然的にボールポゼッションを高める時間が増える神戸。
以前までのスタイルをある程度採らざるを得ない状況に戸惑いながらも、敵陣でサイドチェンジを多用する攻めで横浜FCディフェンスを揺さぶります。

そうして下地を作ったのちにショートパス、とりわけワンツーによる前進で守備網を切り裂きに掛かり。
対する横浜FCはそれに対してついていけずに反則を多発させ、そこから神戸のFKによる放り込み、という攻撃が繰り返され。
一方の横浜FCも、一向に攻撃の流れが生まれないのを受けてロングボールへと傾倒し、そこからデュエル勝負の体勢へとシフト。
それにより神戸サイドも反則が膨らみ、そこからのFKで放り込み……と、放り込み合戦と表現したくなる展開で時間は進んでいきます。

理想的とは言い難いながらも、曲がりなりにも相手に流れを渡さず凌いできた横浜FC。
しかし30分過ぎから退潮が露わになり、次第に神戸に縦に速い攻撃を通されるシーンが目立ち始めます。
34分には初瀬・汰木の2人で左サイドを攻略する神戸、奥から汰木のクロスが上がると、ファーサイド・ゴールラインぎりぎりで大迫が折り返し。
ゴール付近で右往左往するボールでしたが、GKブローダーセンが抑えて何とか防ぎます。

それでも守備に振られた影響か、37分に小川慶が足を痛めてしまい、筋肉系トラブルらしく続行不可能に。
早くもベテランを失う事となり(坂本を投入)、これにより精神的にも不利となってしまった横浜FC。
以降も神戸のシュートは1本のみながらも、クロス中心にGKブローダーセンにまでボールを届かせるシーンを量産します。

そしてその姿勢が報われる事となったのが44分。
右サイドから酒井のドリブルで攻撃スタートし、ディフェンスに遭いながらも繋いで前進、中央での大迫のポストプレイを経由して逆サイドへ。
そしてまたも左からのクロスに辿り着き、今度は初瀬が低く速いボールを送ると、横っ飛びで防ぎにいったGKブローダーセンはキャッチできず弾いてしまいます。
すかさず拾った大迫に対し、抑えにいったブローダーセンの腕が足に引っ掛かり、大迫が倒れた事で反則を告げる笛が鳴り。
すなわちPKであり、ゲットした大迫自らキッカーを務める神戸に対し、自ら与えてしまったピンチを防がんとするブローダーセン。
左右に激しく動いて動揺を誘う、通称「踊るGK」のスタイルを見せますが、動じる事無くゴール左隅へと蹴り込んだ大迫。
ゴールゲットとなり、良い時間帯で先制点を挙げた神戸。

そのまま1-0で前半は終了。
展開的にも、スコアレスで終えたかった横浜FCにとっては痛恨の失点となり、GKブローダーセンに負荷を与え過ぎてしまった事が悔やまれるPKだったでしょうか。

そして始まった後半、その意気の違いがハッキリと表れ。
ビハインドなうえに攻撃の流れが作れない横浜FCに対し、無理矢理前掛かりになる相手の隙を突く、リードする立場らしく冷静にかつ先制した勢いを持って攻め込む神戸。
サイド奥まで攻め上がって得たCK、相手を翻弄する事で受ける反則によるFKと、セットプレーの数も膨らませて押し込みます。

そして7分、スローインから敵陣でパスを回す横浜FCでしたが、ズレたパスを山口がダイレクトで縦パスを繋げて攻守交替。
大迫を経由して再び左へ渡り、汰木が細かいタッチのドリブルで中央を伺った末にミドルシュート。
これをGKブローダーセンがセーブするも、エリア内で大迫が跳ね返りを拾って勝負あり、ゴール左へ蹴り込まれるボール。
立て続けに撃たれてはブローダーセンもどうしようもない、といった追加点となりました。

複数点差を付けられ、勝利は絶望的ともなってきた横浜FC。
意気消沈は不可避といったように、続く9分にはミスが失点に直結してしまいます。
例によって右サイドから大迫経由で左へ……という攻めで、今度はスルーパスを供給した大迫。
走り込む汰木の前で中村がカットに入るも、繋ごうとした中村はあろう事かキックミス、エリア内へこぼれた所を汰木が拾って一転して大ピンチに。
その隙を逃すはずの無い神戸、中央への横パスを佐々木が合わせてゴールネットを揺らします。

これが首位と最下位の差、という事が存分に示される後半戦。
横浜FCは直後のキックオフですぐさま奪われてしまい、武藤がエリア内からシュートと危機を招き。
ブロックしてCKに逃れるも、戦意喪失を疑われかねない絵図を描き続けてはたまらず。
12分に3枚替えを敢行、ユーリ・中村・山下に代えて井上と近藤、サウロ・ミネイロを投入したベンチ。

何とか主体的な攻撃の流れを作りたい横浜FC。
14分、神戸のプレッシングを受けながらのビルドアップを成功させ、坂本が左からのカットインを経てミドルシュート(GK前川キャッチ)とフィニッシュに持っていき。
続く15分にも吉野がミドルシュートを放つ(GK前川セーブ)など、左右のセンターバックもアタッキングサードで攻撃に絡み、押し込む流れが見え始めます。

しかしここは神戸のホーム(ノエビアスタジアム神戸)であり、今度はそれを利用した采配でそのムードを雲散霧消させんとします。
19分佐々木に代えてイニエスタを投入した神戸、既に3点差という状況もあり、以降スタンドは「イニエスタを中心とした華麗なる美技に盛り上がる」モードに突入。

イニエスタ本人もそれを解っていたのか、パス以外のプレーで好機を生み出す場面が目立ったこの日。
26分はプレッシングの末に敵陣中央・エリアからすぐ手前でボール奪取したイニエスタ、こぼれ球を拾った大迫がエリア内へ浮き球を送り、武藤のポストプレイを経て大迫がシュート。(枠外)
35分には左サイドで大崎の落としを拾ったイニエスタ、そのままカットインで中央を伺った末にミドルシュート(GKブローダーセンセーブ)と、今季の神戸の「前線の圧を重視するサッカー」にも順応を見せます。

32分に大迫・汰木→飯野・泉へ交代すると、その後は泉の縦突破のシーンにも盛り上がりを見せるスタンドの観衆。
既にこの試合の勝利は揺るがない状況で、エンターテイメント性をアピールする時間帯に入ったでしょうか。

当然横浜FCサイドは面白くないながらも、それをひっくり返す手段はサッカーしか無く。
30分に和田→三田へ交代、これで井上・三田と元神戸の選手が並び、古巣対決でムードを上げようとしても(小川慶のアクシデントもあり)既に3点差では厳しいものがあり。
そのピッチ上では、ある程度ボールポゼッションから敵陣に進入できるようにはなったものの、アタッキングサードで神戸の守備陣を崩すアイデアも雰囲気も足りず。
前述のフィニッシュシーンもミドルシュートであり、34分にも素早いパスで前へ運ぶも、結局は井上のミドルシュート止まり。(GK前川セーブ)
その遠目からのシュートでGKを脅かしているのは僥倖といえますが……。
この後持ち込んだCKで、キッカー井上の中央へのクロスがこぼれ、ファーサイドの近藤にフリーで渡る好機が偶然ながら生まれ。
しかし近藤のシュートは枠を捉えられずと、訪れた決定機でも運気が無かったこの日の横浜FC。

時間も押し迫り、何とか1点でも返したいという状況になる横浜FC。
試合終盤で連戦故の疲労度も窺える中、やや緩まる神戸のプレッシャーを掻い潜って好機を作らんとするも、光は差してきません。
43分に小川航のシュートがGK前川にセーブされるもこれもミドルシュートであり、跳ね返りを近藤が詰めにいくも撃てず。
神戸がその直後に酒井が足を痛めた事で最後の交代を敢行し、マテウス・トゥーレルを投入。(本多が左サイドバック・初瀬が右SBにシフト)
併せて武藤→リンコンへと代えて最終布陣とします。

突入したアディショナルタイム、右コーナーでのボールキープにより時計を進めるシーンへと持ち込む神戸。
最後まで反撃機運を高められない横浜FC、何とか攻撃を切ったのち、GKブローダーセンの素早いリスタートから速攻気味に前進。
しかし坂本のスルーパスは繋がらずに終わり。
そのまま何も起こらず、試合終了の時を迎える事となりました。

かくして首位と最下位の対決は、その順位の通りの内容・結果が齎され。
厳しい試合を強いられた横浜FC、現在の神戸のような「少ない資源を有効に活用する」気概が生まれる日は何時か訪れるでしょうか。

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DAZN観戦 2023年J1リーグ第12節 名古屋グランパスvsガンバ大阪

2023-05-08 16:00:48 | サッカー視聴記(2023年J1)

<両軍スタメン>

中2日という厳しい条件下で行われた試合。
債務超過解消という課題にも立ち向かわねばならない影響かリアリズムに徹するかのように、勝ち点を重ねて上位を維持する名古屋もその影響は無視できず。
永井・野上・米本・ユンカーといったレギュラー格の選手をベンチに留め置き、この一戦に臨みました。

一方のガンバは、GK争い(東口・谷)が話題になるように、依然としてベストメンバーを模索中という状況。
既存の主力選手では理想のサッカーは行えないと判断されたかのように、スタメンを助っ人選手が占める割合が多くなり。
リーグ戦は目下1勝のみ(4分6敗)という散々な成績で、1敗のみの名古屋とは全く対照的。
そろそろリアリティの追及を果たさないと後が無いという、ダニエル・ポヤトス監督率いるガンバ。

名古屋のキックオフで始まった攻撃、藤井のロングパスの跳ね返りを拾った和泉がシュート(ブロック)と、いきなりフィニッシュに繋がり。
この試合でもそうだったように、いきなり相手のキックオフから際どい好機を作られるガンバは、どうにも試合の入り方がなっていない感が露わにされているようであり。

気を取り直して攻守を反転させペースを握らんとするガンバですが、今度はラフプレーというファクターが襲い掛かり。
前半5分のアラーノに対する森下の反則を切欠に、以降この両者は何度もバチバチとチャージし合う関係となりますがそれは後述。
これを境にガンバの反則が膨れ上がる時間帯に突入し、名古屋がサイドで得るフリーキックから好機を作り。
7分には左サイドからキッカー・マテウスが低い弾道でニアへのクロス、ゴールに向かうボールとなるもGK谷がキャッチ。
続く8分今度は右サイドから、マテウスはライナーの弾道でファーサイドへクロスを送り、酒井が合わせるもこのヘディングシュートは枠外に。
10分にも右コーナーキック(この場面では和泉がキッカーに)から、クロス→酒井フリックからのこぼれ球をマテウスがシュート(ブロック)と、セットプレーでひとしきりゴールを脅かす名古屋。

これで序盤の主導権を得た名古屋は、中2日の影響かプレッシングが強まらないガンバを尻目に、ゆったりとしたビルドアップからサイドチェンジを多用して崩さんとします。
12分には藤井の右→左へのサイドチェンジを受けた森下、細かいタッチでのドリブルから隣のレーンへとパス、受けた和泉が左ポケットを突いてシュート。(枠外)
この後ガンバも持ち味のポゼッションを高めんとパスを繋ぎますが、さしたる好機は生まれず。
主体的な攻撃という要素でも、名古屋が上回る立ち上がりとなりました。

その中で、15分にアラーノのロングパスをブロックした森下が痛んで蹲るシーンが生まれ。
18分には名古屋の反則でプレーが途切れると、すかさず再開しようとしたアラーノが眼前に居た森下を蹴ってしまい。
ダイレクトな削り以外の場面でも、この2人はラフプレーという要素から逃れられないようであったこの日。

17分にようやくファーストシュートに辿り着いたガンバ。(ロングパスを左サイドで受けた食野がカットインからミドルシュート・枠外)
依然としてプレッシングは大甘ながら、何度か敢行されるゲーゲンプレス(ポヤトス監督の「切り替えー」という日本語の指示を聞くと何か落ち着くものがある)により、名古屋の主導権を徐々に剥がしながら先制点への流れを作り上げたい所。
22分には名古屋のパスミスを拾って矢印を反転させ、素早いパスの送りで好機となるも、石毛のスルーパスはジェバリには合わず。
高いボールポゼッションの中でも、やはり得点への期待度はこうした早い前進からの好機なのは明白であり。

ガンバの盛り返しによりどちらともいえない流れとなる中、33分にダワンが長澤へのアフターチャージにより反則・警告。
ついに出されてしまったイエローカードにより、再びラフプレーの機運が高まる事となり。
35分にはロングボールを合わせにいった丸山が、アラーノをチャージし倒してしまう事態となるも、競らなかったアラーノの反則という判定にガンバサイドが紛糾。
1分以上倒れ込む事態となるも、何とか起き上がったアラーノですが、これで負の感情が噴出してしまったでしょうか。
39分にはアラーノが前進する所をスライディングで倒され、こぼれ球を拾いにいったアラーノと、それを止めようとする森下。
そしてやはりと言うべきか、アラーノの肘打ちにも近いチャージにより森下が倒れ込む事態が発生してしまいます。
これにより警告を受けるアラーノ、さらに退場かどうかVARチェックが行われるも、警告止まりで命拾いとなり。

こうした一連の流れにより、再び名古屋へと傾く主導権。
37分には右から稲垣がライナー性のクロスを送り、ファーサイドで森下がボレーで合わせましたがゴール上へと外れ。
43分には左サイドでスローインから組み立てた末に森下がクロス、これもファーサイドで内田宅がヘディングで合わせるも、クォンギョンウォンのブロックに阻まれます。
苦境に立たされるガンバ、アディショナルタイムでは遠目からのFKでも放り込みを選択する等、ポゼッションスタイルのチームらしくない選択を取り。

結局スコアレスで終えた前半。
主力温存という手を打ってきた名古屋・長谷川健太監督は、ハーフタイムで早くも動き、永井を投入します。(内田宅と交代、これにより和泉が左ウイングバックに回り、森下が右WBへ)
これまで(リーグ戦)全試合スタメンを続けていた永井、FC東京時代から続く長谷川氏の欠かせない駒という位置付けは全く変わっていないようであり。

ガンバのキックオフで始まった後半も、最初に攻撃機会を得たのは名古屋。
後半2分敵陣に押し込んだ状態で、ガンバボールとなるも縦パスを前に出て藤井がカット。
そこから圧を掛けディフェンスに遭いながらもパスを繋いで前進、ラストパスが右ポケットの酒井に渡ってシュートが放たれますが、オフサイドで無効となり。
一方のガンバ、4分に中盤での奪い合いから半田がスライディングで繋いだ事で攻めに転じ。
尚も名古屋のディフェンスを受ける中、ラヴィのパスを受けたアラーノがエリア内左へスルーパス、受けた石毛がシュートするも藤井のブロックで防がれ。
共に綺麗なパスの繋ぎでは無いながらも、好機に結び付けるという力強さでゴールに迫り。
連戦で疲労度が無視できない状況が生み出す、泥臭さが目立つ展開となったでしょうか。

そんな中でも、綺麗に繋ごうという意識が高い(と思われる)ガンバ。
こうした展開を受けて、次に見出した活路は最終ラインの持ち運びで、9分にセンターバックの福岡がドリブルで前進。
ここから左へ展開ののち黒川からラストパスが送られるも、エリア内の食野の前でカットされ実りません。

11分に石毛も警告を受ける等、依然として反則というファクターが高割合を占める試合絵図。
名古屋ベンチは矢継早に動き、12分に酒井・長澤→ユンカー・米本へ2枚替えと、リフレッシュ効果も兼ねて流れを掴みにいきます。

その直後の13分に、ジェバリのポストワークを経て半田が右ハーフレーンをドリブルで運ぶ好機を得るガンバ。
カットインからのミドルシュートを選択した半田(ゴール左へ外れる)を見て、ガンバベンチも16分に動き。
食野→高尾へと交代、高尾が右サイドバックに入る事により半田が右ウイングと、その攻撃力を活かさんとする位置に回ります。(アラーノが左ウイングへ回る)
セレッソ・毎熊を彷彿とさせる、J2からの個人昇格を機に敢行される攻撃的な位置へのシフト。

しかしその執念の采配も実らずとなります。
20分にガンバのパスミスから名古屋がショートカウンター、マテウスのスルーパスでユンカーが右ポケットを突く絶好機に。(その後ユンカーのシュート気味のクロスをGK谷が抑える)
これまでの戦いぶりのように、ミスから流れを失う危惧が生まれると、そこから間もない22分でした。
藤井が右サイドでパスカットしてここも敵陣から攻撃を始める名古屋、拾ったマテウスから中央を突く動きを見せると、ワイドを上がる藤井がフリーに。
そして中央からパスを引き取った藤井が右ポケットを突き、奥からグラウンダーでクロスを入れて「後はゴールに押し込むだけ」というシーンが生まれます。
最初に合わせにいったユンカーはミート出来ずも、福岡のクリアをブロックするような形で稲垣が詰め、文字通りゴールにねじ入れました。

スコアレスの時間を長くしてきたものの、結局リードを奪われてしまったガンバ。
キックオフ前に一気に3枚替えを敢行(石毛・ダワン・ジェバリ→宇佐美・山本理仁・鈴木)し、勝負に出なければならない状況となります。(これを境にフォーメーションも4-4-2へとシフト、鈴木・宇佐美の2トップに)

当然ながら、ボールポゼッションを高めるだけではその打開は図れず。
有効となっていた福岡の持ち運びも絡めつつ、何とかチャンスを作らんとします。
しかしその間にも襲い掛かる名古屋のカウンター、32分にボールカットした米本がドリブル、それを反則覚悟で宇佐美がチャージするも繋がれてアドバンテージに。(のちに警告)
そしてマテウスが戻ってきた鈴木に反則を受けてやっと止まるという具合に、名古屋の個の力を活かしての推進力はやはり脅威となり。
ここからFKを経てさらに左CKへと移行し、その間に名古屋はマテウス→野上へと交代。
そのため和泉が蹴ったこのCK、ファーサイドで丸山の折り返しから巧く繋げ、ユンカーのシュートに持っていくもGK谷がキャッチ。

そしてセットプレーの流れが途切れると、野上が右WBに入った事で森下・和泉がそれぞれスタートの位置に戻り。
5-4-1のブロックを固めるという、逃げ切りかつカウンターであわよくば追加点という姿勢へと舵を切ったのが明白となった名古屋。
そのブロックの外側でひたすらボールを回しながら隙を伺うガンバ、という攻防となります。

パス出しの基点かつ、隙を見て中央突破の二択を強いられたのが福岡。
ポヤトス氏のサッカーを良く知る選手らしい役どころを務めたこの日ですが、それが報われないのが何とももどかしく。
42分には藤井のパスカットからまたも名古屋が素早く攻め運び、ユンカーのトラップで裏を取られかかった末に反則、警告まで貰ってしまいます。(福岡本人は反則自体不服そうでしたが)

この反則による名古屋の直接FKを何とか凌ぎ、迎えたAT。
右サイドからのラヴィのクロスは逆へと流れるも、拾ったのち山見がカットインに入った事でシュートチャンスを迎えます。
中央でパスを受けたラヴィ、さらにエリア内右で彼のパスを受けた半田と何処でシュートするのか隙を伺った末に、戻しを経てラヴィのシュート。
これをGKランゲラックがセーブして凌ぐも、尚も右CKと好機は続き。
キッカー宇佐美クロス→半田フリックを経てエリア外へとこぼれた所、拾った山見のミドルシュートがゴール右を襲い。
しかしこれもGKランゲラックがセーブと、これまで目立つ所の無かったランゲラックが本領発揮とばかりに決めさせません。

折角のビッグチャンスもモノに出来なかったガンバ。
その後またも永井のボール奪取で、名古屋のカウンターになりかけた所を黒川が反則で止めてしまい警告という具合に、被害は膨らむばかりとなりました。
結局このFKを蹴るかどうかという所で、試合終了の笛が鳴り響き。

ウノゼロでキッチリ勝利した名古屋の一方で、ガンバの低迷ぶりは何処まで続くのか。
内容を見る限りチーム改革の成果は現れつつあるだけに、今後フロントレベルも含めて非常に難しい局面を強いられる事となりそうです。

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DAZN観戦 2023年J1リーグ第10節 FC東京vsアルビレックス新潟

2023-05-03 18:12:22 | サッカー視聴記(2023年J1)

<両軍スタメン>

ついに実現した、アルベル・プッチ・オルトネダ監督の古巣対戦。

そのアルベル氏の試合前インタビューでは、「向こうは4年、こちらは2年」と、自身のサッカーを落とし込んだ時間を挙げており。
確かにFC東京の現在地は、新潟のような洗練されたパスサッカーの姿はあまり見られず、理由をその期間の違いと判り易く思わせるような受け答えをしていました。

個人的に考えるその他の要因としては、やはり新潟がJ2だったからに他ならず。
つまりは相手のプレッシャーが相対的に弱いリーグの中で、練習で落とし込まれたものを「実戦で磨く」事が容易だったから、FC東京時代よりもスムーズに身に付けられた事でしょう。
J1はやはり強度が強く、近年はハイプレス・トランジションへの傾倒がますます目立つ中で、新潟時代同様の成果を期待するのは難しく。
降格制度がシビアに襲い掛かって来るなかで、結果への傾倒にもある程度拘らなければならない。
いくら練習の時間があっても、最後に実となるのはやはり実戦でどれだけ理想を追求出来るか、という事を証明するかのような両クラブの経緯。

FC東京のホーム(味の素スタジアム)にも拘らず、アウェイゴール裏に大集結した新潟サポーターの声援が一際目立つなか、キックオフの火蓋が切られ。
その新潟は前半1分、星のボール奪取を契機として早くもエリア内で太田がシュートにいくシーンを作り上げ。(眼前でのブロックに阻まれる)
まさに「ボールと共にペースも奪う」ようなシーンであり、その後はお馴染みのボールポゼッションを貫くターンとなります。

それに対し立ち上がりからハイプレスを敢行するFC東京。
ディエゴが相手ボランチの位置で構えるのを前提とし、他の選手で最終ラインにプレッシャーを掛けるというシステムは以前観た通り。
それでも巧みにGKを利用しつつ、ショートパスで真っ向勝負する新潟に対しボール奪取は出来ず。

新潟が攻撃権を支配する流れが出来つつありましたが、8分に突如試合は動きます。
自陣でのパスカットから小泉縦パス→仲川フリックで新潟のゲーゲンプレスを破る、つまりカウンターの発動であり、渡邊凌が中央突破を経て右に上がってきた仲川へラストパス。
そして仲川のシュートが千葉の股を抜いてゴール左へ突き刺さる、まさに一閃という攻撃でFC東京が先制点に辿り着きました。

ゲームを支配しようという矢先の失点と、受けるショックの影響が心配される新潟。
それでも11分、浮き球での奪い合いを経て中央の伊藤に渡ると、お返しとばかりに中央突破を図ったのを小泉が倒してしまい反則。
これで直接フリーキックの好機を得た新潟、対する守備側のFC東京も、名手・伊藤のキックを警戒して入念に壁を作り。
中央やや左寄りという事でゴール左寄り(新潟から見て)へと集中する壁に対し、伊藤はその逆を突いて右へグラウンダーでシュート。
これに逆を突かれたのは壁だけでは無く、GKスウォヴィクも壁越えのシュートと思っていたためか一瞬逆に反応してしまい、ゴール右へと綺麗に突き刺さります。
すかさず同点に追い付いた新潟により、試合は振出し状態へ。

その後はFC東京にとって耐える時間帯に。
プレッシングでボールは奪えず、逆にビルドアップでは何度も新潟にボールカットを許すという具合に、勢いの差が顕著に表れます。
そのためハイプレスも影を潜め、中盤ないしは自陣で構える時間が膨らんでいき。
やはりアルベル氏の言う通り、就任してからの期間による練度の差は大きいのか。

相手に対して見劣りするFC東京のビルドアップ。
そんな状況故に、左SH(左ウイング?)の渡邊凌が様々な位置に降りて何とか援けんとします。
時には逆の右サイドでパスワークに絡み、空いた持ち場にはバングーナガンデの上がりで埋めるというスタイル。

32分、ディエゴがエリア内のGK阿部に対し詰めにいったFC東京、さらに阿部の縦パスを受けた高にも安部がプレッシャー。
しかしアタックを受けて倒れながらも高はボールキープを果たして繋ぎ、受けた星が右ハーフレーンをドリブルで一気に運んだ末にエリア内へスルーパス。
谷口が走り込み、通れば……という所でしたがこのパスが若干長くなってしまいGKスウォヴィクが抑え。

最終ラインで相手のプレッシングを引き込み、裏を取る流れが出来つつあった新潟。
しかしそんな手応えを得た矢先に……という、1点目と同様のパターンに見舞われます。
34分、ここも右サイドに張り出した渡邊凌が起点となり、縦パス→仲川ポストプレイ→渡邊凌スルーパス→安部ドリブルで右奥へと素早く運び。
そして安部のマイナスのクロスをエリア内で受けたディエゴ、ボールキープを続けながらエリア外に出る→エリア内に入るというムーブの末に、右ポケットから果敢に放ったシュート。
これがゴール右上、つまりニアサイドを文字通りにぶち破るスーパーゴールとなります。
今度はゴール前でのマンパワーが炸裂と、上位カテゴリの洗礼を浴びてしまった格好の新潟。

2-1となり、再び追う立場の新潟は37分に三戸が、38分に伊藤がミドルシュートを放ってゴールを脅かし。(両者ともGKスウォヴィクがセーブ)
しかしそれは焦りも少なからず伺える攻めであり、それを突くようにFC東京がボールポゼッションを高める立ち回りへと突入。
前述の通り渡邊凌の動きを中々掴まえられず、無理にプレッシャーを掛ければ裏を取られる、という自身がやりたい事をされる状況となる新潟。
44分にはFC東京の左コーナーキックから、キッカー・バングーナガンデのクロスを松木が合わせ、ループヘッドがゴール右を襲いましたが惜しくも外れ。

一転して巧くいかなくなった新潟。
前半終了間際には左サイド奥を突いたFC東京、スルーパスに走り込む安部を高が押してしまい、ピッチ外の看板に激突してしまう安部。
それとともに前半終了の笛が鳴り、安部がヒートアップして高に手を出すなど、余計な遺恨も作ってしまう事となり。

共に交代無く始まった後半。
何か流れを変える切欠が欲しい新潟ですが、前半と比べてリトリートの意識を高めるFC東京に対し中々崩す事が出来ず。

攻撃に難儀するなか、守備が崩れてしまっては一巻の終わりという状況。
後半4分にFC東京は左からのスローイン、左ポケットに投げ込まれてバウンドしたボールを松木が落とし、渡邊凌がダイレクトでボレーシュート。
GK阿部がキャッチして防ぎましたが、やや攻めに気を取られているような危惧が伺えるシーンとなり。

そして迎えた12分、敵陣でボール奪取に成功するFC東京、拾った仲川がそのまま中央突破してエリア内を突き。
舞行龍のスライディングを受け倒れるも、左へこぼれた所にバングーナガンデが走り込んでシュート。
ボールはサイドネット外側と、ショートカウンターによる惜しい好機……と思われた矢先に、舞行龍のタックルが反則かどうかでVARチェックが行われます。
そしてOFRに発展した末に、判定が覆り反則ならびにFC東京のPKに。
仲川がシュートを撃つ事を予測したのか、舞行龍は足を上げてブロックも視野に入れたスライディングにしたのが完全に裏目になったでしょうか。

そして当然キッカーはディエゴ。
お馴染みのモノマネ大会にも使えそうな独特の助走から、GKの動きをよく見るようなシュートがゴール左へ放たれ。
しかし最後まで動かずに同方向に反応したGK阿部と、その外を転がって枠外となるボール。
痛恨のPK失敗となってしまいました。

これにより、流れを保ちたいFC東京と、変えたい新潟の思いが交錯するような展開に。
16分に失敗を挽回すべくディエゴがドリブルでエリア内を突き、そのままシュートを放つも高のブロックに防がれ。
決定機を防ぎ続ける新潟は、好転させるべく18分に3枚替えを敢行。
星・太田・谷口に代え、高木と小見そしてグスタボ・ネスカウを投入します。

以降反則気味のボール奪取からの好機を作るなど、前への圧力並びに寄せを強める新潟。
勢い余って20分には再び仲川のドリブルを小見が反則で止めてしまい、警告を受けたものの退場かどうかでまたもVARチェックが行われる事態も招きます。(結局警告止まりに終わる)
その最中にFC東京ベンチも動き、仲川・バングーナガンデ→東慶悟・徳元へと2枚替え。(安部がトップ下→右SHへ、松木がボランチ→トップ下へシフト)

攻勢を強めにいった新潟ですが、前へと意識を高めた結果か、パスミスが目立つなど細部での精度に影響が現れ。
一言で言えばリズムが悪いという事であり、実際攻め込むものの中々両ポケットを突く攻撃は敢行出来ず。
ワイドからのクロスへと傾倒する、相手守備を崩せないという流れに陥っていたでしょうか。(33分に藤原→新井へと交代)
切欠を掴めないまま時間が過ぎ、39分に自陣深めという位置での右からのスローイン。
当然FC東京にとってはプレッシングの掛け所で、狭い局面でのショートパスの繋ぎを余儀なくされた新潟ですが、何とかかわしきって中央の千葉を経由して逆サイドへ。
このシーンを好循環に繋げたい所でしたが、ここから生まれた好機も左ポケットを突く姿勢は見せたものの、結局はクロスに終わってしまいます。
(直後に高→島田へと交代)

すっかり気運も萎みがちとなった新潟に対し、迎えた終盤はFC東京が攻撃権を支配。(39分にディエゴ→アダイウトンへと交代)
時間稼ぎのボールキープも視野に入れながら、アダイウトンのカウンター能力で追加点の恐怖を与えていき。

新潟にとっては一向に良くならない流れの中、さらにそれを加速させかねない一幕が。
45分、パスを受けにいった中村が突然倒れ込み(のちにアキレス腱断裂と判明)、こぼれたボールを小見が拾い。
予期せぬ形で好機となる、と思われた矢先に主審(清水勇人氏)の笛が鳴り響き、判定は小見の反則との事。
これには新潟サイドは納得出来ず(実際小見は中村に全く触れておらず)、フィールダー総出という勢いで主審を取り囲んで抗議を敢行します。
完全にやってしまったという感じの審判団であり、結局判定は覆る事無くFC東京のFKで再開となり。
負傷した中村に代わり長友が投入されます。

怒りをパワーに変えて……と言わんばかりに、突入したアディショナルタイムでようやく総攻撃の流れとなる新潟。
スローインの際に小泉がスイカ泥棒遅延行為により警告を受けるなど、その空回りを狙うかのような振る舞いで逃げ切りを図るFC東京。
中村の負傷によりATの目安もハッキリと解らなくなった状況で、とにかく攻め続ける・凌ぎ続けるの応酬となったでしょうか。

全員敵陣で攻めるという姿勢の新潟、センターバックの舞行龍までもがサイドでクロスを上げる役に転じる程であり。
その舞行龍の右からのクロスで、ファーサイドでGKスウォヴィクが跳び出すもキャッチできずこぼれるという紛れが起きるもモノにならず。
尚も左CKで継続し、GK阿部が前線に加わる総動員体制の中、キッカー伊藤はその逆を突くようにサインプレーを選択。
手前へグラウンダーで入ったクロスを、島田が得意のミドルシュートに持っていきますがふかしてしまい実りません。

最後はFC東京のカウンターを浴びて万事休す。
アダイウトンが左サイドから単騎突撃してミドルシュートを放ち、GK阿部がキャッチしたものの、それと同時に試合終了の笛が鳴り響きました。

結局アルベル氏への恩返しはならなかった新潟。
成績的にも負けが先行する(3勝3分4敗)事となってしまい、J1の本当の恐ろしさがそろそろ身に染みて来る時期であり。
何とか建て直し、後半戦でそれを果たしてもらいたいものです。

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DAZN観戦 2023年J1リーグ第9節 京都サンガFCvsサガン鳥栖

2023-04-26 18:17:17 | サッカー視聴記(2023年J1)

<両軍スタメン>

前年、大半が残留争いを強いられると予想されていたのを見事に覆した鳥栖。
主力選手をほぼ全員引き抜かれた中でも、秩序と信念を貫いての戦いを繰り広げた姿は、予想が裏切られた側にも感動を与えた事でしょう。

しかし今季も厳しい編成は続き。
スクラップ&ビルドの作業は、J1に居続ける限り永遠といった感じでありますが、それがいつも盤石になるとは限らない。
開幕から自慢のビルドアップがままならない試合展開が続き、あれだけ一体感の塊であった前年のチームの姿は影を潜め。
そして深刻な得点力不足に陥り、それは緊急的にJ2・大宮からFW河田を引き抜いて来た編成面にも影響を及ぼすという具合に、チーム固めが巧くいっていない節が伺えます。
幸いにして今季は降格枠は1のみなので、多少のスロースタートを覚悟で、前半戦を棒に振ってでも……という戦いが出来るかどうか。

そんな状況で、京都のホーム(サンガスタジアムbyKYOCERA)へと遠征した今節。
プレッシングの強度においてはリーグでも屈指のチームだけに、ボールポゼッションに不安を抱えたなかで相対したくなかった相手といえるでしょうか。

立ち上がりはその懸念の通りの展開に。
鳥栖は前半1分にロングボールを右サイド奥に蹴り込んだ以外では、敵陣への侵入すらままならない状態を強いられます。

持ち前の球際の強さで、同じくインテンシティ勝負に持ち込む鳥栖の反則を呼び込み、セットプレー攻勢に入る京都。
3分に右コーナーキックから、キッカー松田が意表を突いてグラウンダーで遠目にクロスを入れ、豊川がシュートを放つも枠外に。
しかしここからが本領発揮という京都。
続く鳥栖のゴールキックからのビルドアップを遮断、右サイド深めでボール奪取に成功してショートカウンター(シュートには繋がらず)と、早速相手のやりたい事を潰し。

これで流れを得た京都は、以降自身も最終ラインからのビルドアップを目立たせて攻撃。
鳥栖もプレッシングを掛けて対抗せんとしますが、1トップでかつ運動量に不安がある小野を頂点としてのそれは、相手のパスワークを遮断するには厳しいものがあり。

かくして「攻撃・防御双方が駄目」という流れが出来上がってしまう鳥栖。
唯一の形がGK朴を中心に最終ラインで左右にパスを振ったのち、ロングフィードを裏に送るという疑似カウンター狙いですが、そこからも好機は生む事が出来ず。
反対に京都はやりたい放題という感じであり。
前述のプレッシングに拠るショートカウンターのみならず、サイドからの前進でポケットを突く攻めあり、ターゲットへのロングパスありと多彩な手段で好機を量産していきます。
その中で決定機を迎えたのが9分で、井上ロングパス→山﨑凌ポストプレイから前へ運んでいき、スルーパスを受けた豊川が中央からエリア内を突き。
そしてシュートを放つも原田がブロック、こぼれ球を拾ってさらにシュートするもこれも長沼がブロックと、身体を張って守られます。

鳥栖は16分に豊川のドリブルを後ろから腕でチャージした河原が警告を受ける等、守勢故の被害も膨らんでいき。
この流れに乗っているうちに得点したい京都。
迎えた21分、GK若原のスローからロングパスの連続で組み立て。
右から白井がサイドチェンジ、これを受けた佐藤がアーリークロスを入れると、ファーサイドで収めた豊川が切り返しを経てシュート。
GK朴のセーブを弾いてゴールに吸い込まれ、ダイナミックな空中での運びにより先制点に辿り着きました。

しかし喜びも束の間、待ち受けていた落とし穴。
直後のキックオフから組み立てる鳥栖、最終ラインへ戻したのち山﨑浩が左へロングパス。
これを岩崎が中央方向へ落とすと、京都の心理面の隙を表すように誰もいない所に転がるボール。
そしてそれを突くように右から原田のアーリークロスに持っていくと、ピンポイントでファーサイドに走り込む小野の頭に合ってのヘディングシュート。
左ポスト内側を叩いてゴールに入り同点とした鳥栖、結局京都リードの時間は約1分に終わってしまいました。

その後は空中戦が頻発する中、京都は井上、鳥栖は菊地と競り合いで痛み倒れ込むシーンが続出。
双方テンポが悪くなってきたものの、依然として鳥栖がボールを繋げないという流れは変わらず。
奪われる場所がサイドだから大事故になっていないだけで、中央でそれが起こってしまえば……という意識もあるでしょう、思い切った繋ぎも敢行出来ず。
得点の場面こそ岩崎の落としが誰にも拾われず繋がったものの、そこで得点出来ていなければ……と言いたくなる展開。

ようやく鳥栖が、GK朴からの繋ぎで京都のプレッシングをいなせたのが28分。
しかしこの時も、敵陣に送ったミドルパスをカットされて京都のカウンターを誘発してしまいます。(シュートまではいけず)
その後30分に京都はまたも敵陣でボール奪取してからの好機、一美のミドルシュートがブロックされたのちも継続させ、左サイドからポケット奥をスルーパスで突いて豊川がクロス。
クリアボールをエリア内中央で拾ったのは絞っていた白井で、そのままシュートを放つもGK朴がキャッチ。

京都にやる事なす事全て封じられる、といったここまでの鳥栖。
しかし仮にもビルドアップを成功させたのが好循環を齎す契機となったでしょうか。
上記の京都の好機直後も、GK朴からの繋ぎで京都のプレッシングに挑む姿勢を貫き。
そして左サイドから前進に成功し、岩崎の中央突破からのラストパスを受けた長沼がシュート。(ブロック)

やっと主体的な攻撃の下地が出来上がったという印象で、こうなると結果が出るのも早く。
31分に再び左サイドから前進、小野のスルーパスで奥を突き、受けにいった岩崎がディフェンスに遭うも左CKへ移ります。
鳥栖がこの日初めて(既に京都サイドは3本)となったこのCKから、キッカー河原のクロスが中央に上がり、田代が合わせにいき。
しかし触れられずに流れると、奥に居た一美がクリアしきれず、反対方向つまりゴールへとボールが吸い込まれてしまいます。
またも偶発的な得点というようなオウンゴールですが、呼び込んだのは鳥栖が攻撃の流れを作れたからに他ならず。
これで今季初の複数得点を果たしました。

一方あれだけ攻勢を続けたにも拘わらず、リードされる展開となった京都。
34分にはスローインの判定を巡り豊川が小野とヒートアップを見せる等、そのギャップに苛立ちを隠せないといったシーンも生まれ。

失点場面が運の無さも関与した影響でしょうか。
36分には右サイドから白井がゴールへ向かうクロスを送ると、山﨑凌が跳ぶも触れず、そのままシュートのように枠内を襲うボールをGK朴が何とかセーブ。
相手を見習うように、偶発的な得点を狙いにいった節が見受けられ。

しかし偶発的という事は、1失点目が示すように守る側にとっては心の隙が生まれたという事でもあり。
そして京都はそれを再度見せてしまう事となります。
41分に鳥栖は中盤右サイドからのスローイン、これを原田が長い飛距離を投げ入れると、それだけで一気に裏を取られてしまう事態に。
反応した小野が奥からマイナスのクロス、これをニアサイドでしっかりと収めた本田がシュートを放ち、ゴール右上へと突き刺します。
あれだけ劣勢だったチームが、前半のみで3点を挙げるというギャップ満載の展開となりました。

結局4分あったアディショナルタイムでも、京都はその後さしたる見せ場は無く。
前半を1-3で終え、巻き返すべくハーフタイムで2枚替えを敢行。
福岡・豊川→平戸・木下へと交代し、後半に臨みました。(一美が右ウイングに回り、木下が左WG)

WGという位置にも、一美・豊川そして木下と、ターゲットになれる人材を置く京都。
サイドバックはじめその他の選手がクロスを入れる際には、同サイド側のWGもターゲットとしてエリア内に入り込むのが特徴であり。
その代わりWG自身が仕掛けるのは苦手となり、後半1分にはその一美が右サイド奥へ切り込んでクロスを供給する(ブロック)、狙い通りでは無い場面が早速生まれ。
4分にも逆サイドで、木下が同じく奥を突いてクロスに辿り着き。(エリア内でクリア)

入りから好機を作っていくも、何処と無くぎこちなさを感じさせるのはそんなギャップからだったでしょうか。
そしてその影響が現れた感があり。
6分にロングパスを山﨑凌が落とすも、拾いにいった一美があろう事か田代を足裏で削ってしまい反則に。
カードは避けられないというシーンに主審(池内明彦氏)から目を背け判定を待った一美でしたが、掲げられたそのカードは何と赤色。
これには向き直った一美も驚愕の色を隠せずと、強度満天のチームスタイルが仇となった格好の退場劇となってしまいました。
以降10人での戦いを余儀なくされる京都、ベンチも直ぐに動き山﨑凌→パウリーニョへと交代。
木下を1トップとした4-4-1へシフトと、3人も居たターゲットは一気に1人のみとなってしまい。

これで数的優位となった鳥栖。
あれだけ猛威を振るっていた京都のプレッシングも、鳥栖のビルドアップに対抗する事はままならず。
1トップ+2サイドハーフで規制を掛けにいく京都ですが、当然ながら前半とは打って変わって鳥栖の繋ぎが冴え渡る展開となります。

しかし京都にとって本当の問題は、2点リードされているという事実。
即ち主体的に攻撃しなければいけない状況であり、ターゲットも減った以上はショートパスでのビルドアップの割合を増やさなければ逆襲の糸口は生まれません。
そしてそのショートパスの繋ぎで、パスコースが見出せずに奪われるシーンが続出してしまいます。
14分に中盤で菊地がボール奪取した鳥栖、一旦戻したのち左サイドへ展開し、岩崎がドリブルで広大なスペースを駆け上がる攻撃。
そして一気に左ポケットまで持っていった岩崎、マイナスのクロスを中央ややファー寄りで合わせたのは本来逆サイドの原田。
シュートはゴール上へ惜しくも外れるも、こうした流れで京都ゴールを脅かしながら、時間と攻撃機会を減らしていく鳥栖の立ち回り。

18分にさらにカードを切る京都。
松田→木村へと交代し、空いたボランチには平戸が回り。
攻撃的な選手を中盤センターに置き、前への圧力を掛けようという意思は見せたものの、やはり苦境は変えられず。
20分にパウリーニョのミドルパスをエリア手前で収めた木下、逆向きのままヒールパスをエリア内へ送り。
そこに川崎が走り込んだものの、原田のチャージに遭って受けられず(反則無し)と、差し込んだ一筋の光というような好機もモノになりません。
25分に早くも最後の交代を敢行し、佐藤→荒木。

一方の鳥栖は22分に最初の交代を行い、小野→河田。
こちらは特に流れを変える必要性も無く、運動量の維持に努めるのみという振る舞い。
26分に森谷が足を攣らせるという具合に、その問題が露呈する場面もありましたが、大きな破綻が生まれる事は無く。
28分に中盤でのボール奪取から再び岩崎が持ち運ぶ好機となり、河田がディフェンスに遭うも、エリア内で岩崎が拾い直してシュート。(麻田がブロック)
32分の右CKからは、クロスが流れたのち逆サイドから再度河原がクロス、これを原田がヘディングシュート(ゴールバー直撃)とひとしきり決定機を生み出します。

しかし追加点は生まれる事は無く時間は進み。
35分に森谷・岩崎→福田・堀米へと2枚替え、40分に菊地・本田→樺山・西川へと2枚替えと、メンバーを入れ替えていく鳥栖。
最終的に長沼が左SBに回りましたが、これが京都にとって光明となったでしょうか。
スタミナ面の不安が露わとなりがちな終盤戦で、疲弊した攻撃型の選手をこの位置に置いた隙を突くように、以降白井の突破力に活路を見出します。

44分にその白井のドリブルから右CKを得た京都。
キッカー平戸のクロスはニアの井上の頭を越えると、鳥栖のカットに遭いカウンターに持ち込まれ。
堀米ドリブルからパス→樺山ドリブルからエリア内へスルーパス→西川という運びでゴールを脅かしにかかる鳥栖でしたが、荒木のカバーでシュートは撃てずに終わった西川。
しかしそれでは終わらず、鳥栖が自陣エリア内で原田がカットした際、腕に当たったとしてハンドかどうかのVARチェックが行われます。
OFRへと移行し、原田が突き出した肘に当たった映像が晒された結果、判定が覆りハンドならびに京都のPKに。
一転して得点チャンスを得た京都、既に時間はATへと突入するも、目安は9分なためここで決めればまだ判らない状況。
キッカー木下は上部への強いシュートを選択し、GK朴は反応するも届かずゴールネットを揺らします。

これで1点差に迫った京都、同点とするべく尚も前掛かりな姿勢を強めます。
しかしその分、鳥栖の陣地を回復する立ち回りでやり直しを強いられ。
しかもやり直しどころか、そのボールを繋がれて奥へと運ばれ、エリア内を窺うパスワークで時間を使われてしまうという始末。
焦らずにはいられない京都ですが、(麻田を前線に上げたうえで)GK若原がターゲットにボールを送るぐらいしか手段は既に無く。

ATも終盤、その流れの中で鳥栖が逆に決定機を得ます。
山﨑浩の裏へのロングパスで河田が抜け出し、エリア内右へ持ち込んでシュート。
加入直後の初出場(6節・FC東京戦、1-0)でも、ラストワンプレーで決勝ゴールを挙げたようにこの時間帯でも得点意欲旺盛な河田でしたが、このシュートはゴール左へ外れてしまいモノに出来ず終わります。

結局スコアは動かせなかった京都。
2-3で鳥栖が勝利と、数的優位の中しっかりと勝ちきりました。


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DAZN観戦 2023年J1リーグ第8節 アルビレックス新潟vsアビスパ福岡

2023-04-17 16:00:52 | サッカー視聴記(2023年J1)

<両軍スタメン>

昇格組にしては華々しいスタート(開幕から4戦無敗)を切った新潟も、そろそろ現実との戦いを強いられているようであり。
6節(名古屋戦、1-3)では長時間数的不利を強いられての逆転負けと、中々堪える敗戦も経験し、メンバーが揃わない中での戦いも余儀なくされ。
この日はその退場→出場停止を強いられた舞行龍がスタメンに復帰し、何とか体勢を整えて好調の福岡に挑みました。

強度の高い守備を誇る福岡に対し、いかにして前進を図るかというのがテーマとなったこの日の新潟。
当然ながら、相手がハイプレスを掛けて来た際の「いなし」は必須の要素であり。
前半8分にはセンターバック2人に対し2トップでプレッシャーを掛けてくる福岡、それを左右にパスを振って凌ぐ新潟。
右サイドで鈴木が降りてきて受けたのち、秋山のサイドチェンジでかわしきる事に成功し、敵陣左サイドでパスワーク。
そして伊藤・堀米・高の連係でエリア内を突かんとするも、前のアタックで高が倒されて(反則無し)惜しくも実らずとなりました。
課題を乗り切る気旺盛といった新潟の振る舞いでしたが、続く9分に今度は福岡側が、左サイド深めで金森がボール奪取に成功。
そのままスルーパスでエリア内を突く(小田に撃たれる前にGK小島が抑える)という具合に、ショートカウンターの恐怖を植え付けに掛かります。

福岡はハイプレスにいかないという選択肢もあり、当然最終ラインから一列前に送った際の寄せが新潟にとっては難儀となり。
むしろその場合の方がより厳しいといった感じで、11分には打開を図らんと自陣からゴメスがパスカットからのドリブル突破を見せましたが、アタッキングサード手前で奪われて終了となり。

そんな中で迎えた15分、GK永石のフィードから組み立てる福岡、ルキアンのポストプレイを経て金森→ルキアンのボールキープをプレスで止められない新潟。
そして右サイドへの展開を許し、奥を伺ったのちのバックパスを受けた紺野がドリブルで右ポケットへ切り込み、止めにいった堀米が足を引っ掛けてしまい倒れる紺野。
たまらず反則並びにPKを告げる笛が鳴り、新潟が行いたいはずの主体的な攻撃を絶好機に結び付けた福岡。
PKゲットした紺野がキッカーを務め、グラウンダーのシュートをゴール左へと蹴り込み。
GK小島は反応するも届かず、戦いを有利にする先制点を挙げました。

リードを奪われた新潟、早くも精神的に不利な中での戦いを強いられ。
J1の戦いも、結局はトップ下の伊藤の出来如何といった感じで、その伊藤が徹底的にチェックに遭って持ち味を発揮出来なければ当然厳しくなり。
失点直後の18分、左サイドからの攻めを経てカットインで中央へと移る伊藤、そのまま右へとパスを送るも短くなってしまいダニーロには通らず。
調子の乱れが伺えるシーンを描くと、22分には中盤でフリーキックとなった際、それを妨害した前を突き倒してしまうという絵図も生まれ。

福岡は先制点以降ハイプレスを掛ける場面は減り、コンパクトなゾーンディフェンスを重視する体勢へ。
それに伴い好機が減っていく、新潟にとっては文字通りの「ボールを持たされる展開」を強いられる事となります。

そして福岡の逆襲が冴え渡るという、予想通りの流れに。
30分に相手のお株を奪うように最終ラインから攻める福岡、左への展開に対する新潟のプレッシャーを受け、小田がパスのタイミングをズラしてのサイドチェンジ。
技ありのワンシーンの末に突破、右サイド奥へ攻め込みコーナーキックを獲得と、主体的な攻撃でもアドバンテージを得たかのような福岡。

すると当然というべき追加点が齎され。
上記ののちの右CKからも、キッカー中村ニアにクロス→金森フリック→ファーでルキアン足から跳び込みとゴールを脅かすと、攻めを継続させてさらに右CKに持ち込み。
今度はファーにクロスを上げたキッカー中村、そこにはサイズに似合わずヘッドの強さを誇る小田の跳躍が。
前回観た際の、京都・パトリックとの競り合いを制し続けたそのジャンプ力は健在で、ヘディングシュートをネットに突き刺し。
ペースを握った末にセットプレーで仕留める、一級品の流れで2点目を挙げた福岡。

一方シュートゼロのまま2点ビハインドと、窮地に追い込まれた新潟。
直後のキックオフでは裏抜けを狙うも、ロングパスに走り込んだ太田が湯澤に倒されて受けられず(反則無し)と、福岡の強度を振り払う事は出来ず。
ようやく流れを得れるチャンスが来たのは38分で、左サイドでのパスワークで密集を作ったのち、逆へ展開というお馴染みの流れで前進を果たし。
中央を伺った末の伊藤のエリア内へのラストパスは遮断される(二連続で)も、クリアボールを舞行龍が拾い継続。
再び中央へ送られ、伊藤のポストプレイを経て太田のミドルシュートが炸裂しますが、GK永石のファインセーブに阻まれゴールならず。

結局前半の決定機はこれだけに終わった新潟。
その後は福岡のロングパス攻勢を受け、デンが山岸のチャージで痛んだり、逆にルキアンが舞行龍のチャージで痛んだりというシーンが齎されるのみに終わり。
殆ど好機を作れないままの0-2と、厳しいといった感じで前半終了となりました。

それでもハーフタイムでの交代は無かった新潟。
ホームの大観衆を背に、何とか追いすがる姿勢を見せなければ雰囲気的にも後が無いという状況でしたが、スタメンを信じる選択を取った松橋力蔵監督。

しかしキックオフの利点を活かし、選手達が取った手は半ば奇襲というべき、ショートパスでの速攻でした。
左サイドで高縦パス→鈴木ダイレクトでスルーパスという素早い送りに対し、抜け出した太田を湯澤が倒してしまうと、今度は反則の笛が鳴り。
これでサイドからのFKを得た新潟、クロスが濃厚なこの位置(エリアラインからやや過ぎた所)からキッカー伊藤が取った手は、これまた奇襲のような直接シュート。
これが福岡の2枚の壁の間を抜け、巻いてゴール左へと突き刺さります。
最初の好機で1点を返すという、綺麗に「まだやれる」という意気込みを結果に反映させた新潟。

しかしその後再び福岡の好機が続き。
ボール奪取から少ないパス数で前方へと運ぶという、相手を上回る強度を活かしての攻撃で新潟ゴールを脅かしに掛かり。
フィニッシュこそ後半3分の山岸のシュート(ゴール右へ外れる)のみでしたが、10分の間にCKも2本得るなど押し込み続ける福岡。
新潟にしてみれば、まさに最初の奇襲を成功させていなければどうだったかという展開を強いられます。

何とか無失点で凌ぎ、反撃体制を取る新潟。
それでも守備面でも福岡の強度は光り、パスを繋ぐのに難儀。
12分には自陣で堀米の縦パスを高がスルーして伊藤に渡す(その後パスワークでエリア内まで迫るもシュートはいけず)という具合に、後方でもこうした絡め手を混ぜなければ前進は難しいといった印象でした。
15分には秋山の縦パスを太田がポストプレイで繋がんとするも湯澤にカットされ、思わず秋山が落胆する絵図も描かれるなど、「こんなはずでは……」という思惑を強いられていたでしょうか。

局面を変えたい新潟ですが、その最初の矢はアクシデントだった、というのは邪推でしょうか。
17分にゴメスが小田のチャージを顔に受け、倒れ込むシーンが長くなるなか、他方では高がスパイクの異常(紐が切れたとの事)で履き替え。
思わぬ形でインターバルが長くなり、落ち着きを取り戻さんとする新潟。
23分に伊藤が敵陣左サイドでパスカットしての好機、左奥を突いて得た左CK。
キッカーは伊藤でサインプレーを選択し、ファーサイド遠目で受けたゴメスがシュートを放ちますが枠を捉えられず。
流石に二度目の奇襲はモノにはなりません。

最初に交代カードに手を付けたのは福岡で、24分に金森→鶴野に交代。
これで山岸が左サイドハーフにシフトと、京都戦でも見せた手を使ってきた長谷部茂利監督。
その直後の25分、左サイドでプレッシャーを掛けた末に敵陣深めでのボールカットからのショートカウンターという、願っても無い好機が舞い降り。
交代で入った鶴野が左ポケットを突き、中央のルキアンへ横パスを送ったものの、遮断されて惜しくも撃てずに終わります。
何とか1点差を保つ新潟も、27分にベンチが動いて3枚替え。
太田・ゴメス・鈴木に代えて小見・松田・谷口を投入し、谷口の1トップに。

交代敢行した事で、前方への重心を強める新潟。
時折福岡の逆襲で裏を突かれる(28分にルキアンが収めからのトラップで抜け出すも、GK小島の好判断で凌ぐ)恐怖も過る中、松田の突破力を盾としつつの押し込みを見せていきます。
35分には再び最後方からのパスを藤原のスルーという手段で前進、松田・藤原の前進で右ポケットを突いてのクロス。
これを谷口がヘッドで合わせるも、眼前で三國のブロックに阻まれ防がれます。
徐々にゴールに近づくも、最後に立ちはだかる壁は厚いといった感じで時間が過ぎていき。

その圧力を受ける福岡も、36分に山岸が足を痛めるというアクシデントに見舞われ。
彼と併せ、こちらも3枚替えを敢行する福岡。(山岸・中村・小田→ウェリントン・田邉・前嶋)
これによりルキアンが左SHに、湯澤が左サイドバックにシフトと、ポジションチェンジも絡ませ逃げ切り体制へ。

前節とは異なり、今度はそのポストプレイ能力を逃げ切りに利用する事が求められたウェリントン。
スローインのボールを収めたのちにサイド奥へと切り込む(44分)など、その力を発揮する事はしたものの、得点力とは違いこちらの方面では加齢故の衰えは隠せないといった印象でした。
一方追いすがりたい新潟は、39分に秋山→島田へと交代。
多方面に渡り活躍が見込める島田をこの時間で投入し、推進力を高めに掛かります。

福岡が盤石でないながらも、新潟の攻撃機会を減らしていき、リードを保ったままついにアディショナルタイムへ。
しかしそこで最初の振る舞いで、パス交換の末に右サイド奥を取った紺野が、ボールキープでもクロスでも無くシュートを選んで終わり。(GK小島キャッチ)
結果にこそ直結しなかったものの、これが拙かったでしょうか。

以降最後の好機というべく、攻め上がる新潟。
リトリートに徹する福岡に対し、安易なパワープレイには入らずパスを繋ぎながら何とか隙を見つける体勢に。
そのパスワークの末に、投入された島田がミドルシュートを炸裂させますが、奈良のブロックに阻まれ。
万事休すかと思われましたが、その直後でした。
クリアボールを拾って再度最終ラインから攻める新潟、それに対し福岡はややプレッシングにいくかどうか迷いを見せ、その隙を突いてデンの縦パスで一気に前進。
そして伊藤が小見とのパス交換を経て果敢にミドルシュートを放つと、ゴール左へと突き刺さるボール。
土壇場で同点に追い付き、こうなると形勢逆転で、一気呵成とばかりに攻め上がる新潟。(福岡は直後にルキアン→佐藤凌我へと交代)

そして武器となったのが松田の推進力で、島田とのパス交換からのドリブルの末に、右サイド奥からグラウンダーでクロスを入れる松田。
これが乱戦を生み出し、高・谷口がシュートにいくもこぼれ球となった所に、待ってましたかのようにシュートを放ったのはまたも伊藤。
再びゴール左へと突き刺し、まさかともいえる連続ゴールで逆転劇を演じきりました。

そしてそのまま試合終了を迎え、3-2で勝利に辿り着いた新潟。
停滞が続いた末に待っていたのは大逆転勝利と、今後のモチベーションを保つという意味でも十二分な成果となったでしょうか。


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