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DAZN観戦 2023年J1リーグ第23節 アルビレックス新潟vs湘南ベルマーレ

2023-08-18 16:32:52 | サッカー視聴記(2023年J1)

<両軍スタメン>

毎年残留争いを強いられている湘南ですが、何度も言うように今季の降格枠は1のみ。
しかしそれにも拘らず降格圏、つまり最下位に甘んじているシャレにならない状況であり。

残留に向けての補強策は常にピンポイントの域を出ないクラブですが、今回は得点源の町野が海外移籍と相成ったため、例年よりも激しく動いて来た感があり。
キムミンテ・田中・ディサロとセンターラインの選手を獲得し、登録即スタメンで起用するという具合に、切羽詰まった状態を隠す事無く示します。
その甲斐あって前節(広島戦、1-0)は実に16試合ぶりの勝利を挙げましたが、浮上のために勝ち点を落とす事は許されず。

新潟のホーム・デンカビッグスワンスタジアムで迎えたキックオフ。
すると移籍の動向のみならず、サッカーでも湘南はその後が無い状況故の焦りを早くも露呈します。
前半2分自陣でのボール奪取からダイレクトパスの連続で素早く前進、大橋がエリア内を突いて横パスを送るも、ディサロには渡らず。
その直後にも新潟のクリアボールを直接舘が縦パスを送り、小野瀬フリック→ディサロポストプレイ→小野瀬エリア内へミドルパスと、とにかく早くチャンスを作り出したい思考が現れたような攻撃を繰り広げ。

こうした相手には、新潟にとっては(前節の名古屋と異なり)得意のボールポゼッションからのゲームコントロールがやり易いと推測した視聴者の自分。
しかしそれは見事に大外れとなり、新潟もそれに応戦姿勢を見せるようなサッカーを繰り広げたのが仇となります。
具体的には、最終ラインでボールを繋ぐのもそこそこに、縦パスを鈴木孝に当てて素早い前進を図る攻撃。
両ウイングバックも前に出てのハイプレスを仕掛ける湘南に対しては確かに考えられる手でありますが、それを最終ラインでいなすビルドアップを簡単に放棄して良いのかどうか。
前節まさに「ボールを握らされる展開」による敗戦を喫したのですが、それを気に留めすぎな感がありました。

8分に湘南サイドの縦パス→フリックをカットしてから素早く運び、右ポケットを突いた鈴木孝がマイナスのクロス。
エリア外へ流れた所を、中央ペナルティアークで小見が合わせシュート(枠外)と、その姿勢は奏功して好機は作ります。
しかし続く10分、新潟は湘南の攻撃を切って最終ラインから組み立てるも、鈴木孝への縦パス→鈴木孝フリックを遮断されるという先程の湘南サイドのリプレイの如き流れで招くピンチ。
かくして素早い前進を図る湘南が、相手のトランジションの隙を突くという願っても無い絵図となり、ディサロのスルーパスに走り込んだ山田のグラウンダーのクロスをニアサイドで合わせたのは大橋。
ゴールネットを揺らし、持ち味の攻撃を出しきれるお膳立てをしっかりとモノにしたかのような先制点となりました。

らしくないスタイルでリードを許した新潟、以降もその傾向は加速気味。
12分に再び縦パスからダイレクトで繋ぐという繰り返しで前進、スルーパスを受けてエリア内を突く長谷川。
杉岡のスライディングを受けるも、すぐさま体勢を立て直してこぼれ球をシュートしましたがGKソンボムグンのブロックに遭い同点ならず。
直後にボールのパンクにより意図しないブレイクが挟まれたのは、新潟サイドに「落ち着け」と言っているかのようでした。

以降試合を落ち着かせたい新潟と、変わらず縦に速い運びで仕留めにいく湘南の交錯という展開に。
14分に再び湘南の攻撃、右サイドでまたも舘縦パス→ディサロフリックが遮断されるも、今度はこぼれ球を舘が拾い継続。
そのまま奥へ切り込んでグラウンダーでクロス、これをニアサイドでまたも大橋が合わせシュート(枠外)と、先制点の時を左右対称にしたかのようなシュートシーンとなります。
その後も攻撃機会で後れを取る新潟、焦るように再び素早く縦パスを送る傾向が膨らみ始め。
それを悉くカットされるという具合に、反撃への流れは膨らまないまま飲水タイムを迎える(23分)事になりました。

あれだけボールを握るスタイルを通していた新潟(といっても21節・札幌戦で既にそれとはかけ離れたサッカーで勝利していましたが)が、縦に速く運ぶ思想へと傾倒するとは……といったこれまでの展開。
近年のJ1の強度の高さ・ハイテンションぶりに呑まれれば、その中で生き残りを図るためにはある意味当然といった結末ですが、同時にそうしたお決まりのパターンから逸脱させる事は出来ないのかという思いが膨れ上がり。
そんな事を考えているうちに、試合は尚も進み。

そしてそんな思考を嘲笑うかのように、第2クォーターの最初に好機を掴んだ湘南がそれをモノにします。
最終ラインから大野が左裏へロングパスを送ると、蓋をしたデンに対し大橋が反則気味のアタックを仕掛けて奥でボール奪取に成功。
主審の笛が鳴らないのを見るやすかさずカットインでポケットに入り込むと、予想外の展開に新潟ディフェンスは全く整っておらず、フリーの中央へグラウンダーのクロスを送る大橋。
そして合わせたのはディサロで、悠々ゴールに突き刺して貴重な追加点を挙げる事に成功しました。
新潟サイドは当然異議を唱えるも、判定は覆らず。

2点ビハインドとなり、ここからようやくボールポゼッションを高めての反撃体制を取る新潟。
しかしここでも、右サイドバックの新井が最終ラインに残る事による3枚の最終ラインと、前年のJ2では殆ど見なかったスタイルからの繋ぎであり。
DFに離脱者続出という負の要素の影響か、今まで培ってきた土台が揺らぎ始めている風でした。

前に来る湘南の2人の間を通すパスでかわす、三戸と小見の位置を入れ替えて目線を変える等、繋ぐビルドアップの神髄を見せる事は見せる新潟。
それでも敵陣に進入すると、素早く形成される湘南のブロックを崩す作業は容易では無く。
メインは遠目からのミドルシュートとなり、三戸が2本・星が2本・高が1本とシュートを重ねましたがゴールを奪う事は出来ません。

逆に2点リードを得た湘南、こちらもここからマイボールの際はポゼッション確保の意識を高めるという、当然過ぎる振る舞いを見せ。
38分にはそこからGKまで戻した末に、ソンボムグンロングフィード→杉岡落としで裏を突き、2点目と同様に大橋とデンのボール争いが生まれるも今度はデンの勝ち。

ミドルシュート攻勢は結局前半終了まで続く事となった新潟。
45分にはその星のシュートをGKソンボムグンがセーブ、尚も右サイドから入れられた新井のクロスを山田が頭部でブロック。
これにより倒れ込んだ山田に脳震盪チェックが入るなど、(シュートでは無かったものの)遠目からパンチの利いたボールを防ぎ続ける側にも影響が出始め。

結局0-2のまま終えた前半。
ハーフタイムで新潟は高木の投入に踏みきった(三戸と交代)のを余所に、湘南は先程倒れ込んだ山田を退かせる選択を採ります。(平岡を投入)

後半も、「ボールを握らされる展開」を強いられる中で何とかゴールを狙う新潟という絵図。
前半のような積極的にシュートを撃っていく展開とはならず、サイドでの崩しに賭ける体勢へとシフトします。
相手に高さで劣る状態でクロス攻勢にいくのは無謀なものの、それしか選択肢は無い状況故に仕方無く。

すると湘南へと流れが傾くのは早く、シュートを撃てないまま時間は進み、後半7分に大橋の前進を反則で止めた新井に警告。
直後の8分、杉岡縦パス→ディサロポストプレイ→大橋スルーパスで左サイドを前進し、ディサロがダイレクトでクロス。
合わずに流れるも、その後の新潟スローインからのクリアを回収して敵陣で繋ぎ、田中がミドルシュートを放つも枠外に。
続く9分に今度は長くパスを繋いだ末のフィニッシュ、平岡のロビングでエリア内を突いて畑落とし→小野瀬シュート(枠外)と、速攻と遅攻を使い分けて3点目を意識させます。

途中から湘南にゲームコントロールの意識が高まった事で、このままではポゼッションスタイルの名倒れとなりかねない新潟。
14分に長谷川→松田へ交代と、早めに動きを見せる松橋力蔵監督。

それでもフィニッシュを生み出せずに時間が経過し、再び動きを見せたのが20分。
小見・星→長倉・島田へと2枚替えし、それと同時に湘南ベンチもディサロ・畑→タリク・石原へと2枚替え。

後半頭から投入した高木が、広範囲に動く事でパスワークの流れを維持せんとしていた後半の新潟。
彼への負担が激しい印象が拭えなかったという所でしたが、流動的に動く長倉を左サイドハーフとした事で、無理に左に開く必要が無くなった風となりました。
長倉が代わってパスの出し入れを行う事で、堀米との関係性での崩しが容易となり。

23分に挟まれた飲水タイムの後、その効果を最大限発揮しにいく新潟。
26分にその長倉のボール奪取から前進、ドリブルから中央へ急所を突くパスを送ると、ペナルティアークで受けた鈴木孝がシュート。(GKソンボムグンキャッチ)
28分にも左サイドで、後方から堀米のスルーパスで一気に裏を取った長倉。
左ポケット奥を突いてマイナスのクロスを入れ、これを石原がスライディングで遮断し(この際腕に当たったとしてVARが挟まれるも反則無し)何とか防ぐという具合。

大分掻き回されるようになってきた湘南ディフェンス。
迎えた30分、ここも左からの前進姿勢を採った新潟ですが、中央からの攻撃を選択。
この前進は湘南ディフェンスに阻まれるも、陣形が乱れた事で右サイドから松田が持ち運ぶ展開を作り上げます。
そしてエリア内中央へパスを送ると、長倉がトラップから巧みに浮き球を操った末に戻し、島田を経由して高木がダイレクトでミドルシュート。
鮮やかにゴール右へと突き刺さり、とうとう崩しの本領を発揮(といってもディフェンスに遭ってのこぼれ球を繋げていなければどうなっていたか)して1点を返しました。

一方失点してしまった湘南、その後フリーキックを得て(31分)押し込むものの結果には結び付かず。
33分に小野瀬→奥野へ交代したものの、これ以降勢いは萎んでいく事となります。

ボールを握り、怒涛の攻撃を仕掛ける新潟。
全体前掛かりとなり、最終ラインでのビルドアップに努めていた新井も、その体勢からハーフレーンで上がる事で「偽SB」のような動きで前線に参加。
敵陣に押し込めば、センターバックもワイドに開いてパスワークに加わるなど、本来の新潟の姿が戻ってきたようでした。
38分には右ワイドで拾ったデンが、そのまま新井とのワンツーで奥を突いた末にクロスに辿り着き。

それでも守備を固める湘南に対し、サイド奥を突いてCKを量産という流れを得るに止まり。
新潟は40分に堀米→田上へ交代、湘南は45分に大橋→阿部浩之へ交代と、共に最後のカードを切って試合は最終局面へ。

アディショナルタイムに入っても、決してパワープレイの色は見せずに繋ぎから攻め上がる新潟。
そしてついにそれが実を結んだのが+3分で、最終ラインでの繋ぎを経て右サイドから新井がスルーパス。
湘南の5バックの中から、大野が(高の動きに釣られたのか)一瞬前に出たのを見逃さずにそのスペースへ送られ、走り込んだ鈴木孝がマイナスのクロス。
これを中央で受けた高木、ワントラップで舘を剥がしてのシュートがゴールネットを揺らします。
土壇場で同点に追い付いた新潟、ホームの熱気も最高潮となり。

一方で、明らかに大野の動きが失点に直結する事となった湘南。
これが負け癖が付いてしまったチームの悲しい性といった所でしょうか。
それでも、右スペースに走り込んだ石原が長倉と交錯して長倉の反則という、ややラッキーな形で得たFKからの攻撃。
キッカー阿部浩のクロスをファーサイドでキムミンテが合わせるも、枠を捉えられず。

決して諦めはしないという湘南に対し、直後のゴールキックから短く繋いでのビルドアップと、あくまで本来のスタイルで勝負する新潟。
ここから12本のパスでサイドを揺さぶった末に、右奥を取って新井のクロスに辿り着き。
ブロックに当たり、中央にこぼれたボールを高木が狙ったもののシュートは撃てず。
これをタリクが拾いカウンターに持ち込まんとした湘南でしたが、右サイド裏へのロングパスが阿部浩に通ったものの、トラップが若干乱れた事により主審が試合終了の笛を鳴らし。
攻撃を完結させられず、残尿感の強い引き分けとなったでしょうか。

負けに等しい引き分けとなってしまったのは湘南。
良いサッカーを見せても勝てなければ意味が無い、という典型となりましたが、一方の新潟も本来のスタイルを取り戻すにはあまりにも時間が掛かり過ぎ。
評価のし難い一戦といった格好ですが、今後に繋げて貰いたい所です。

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DAZN観戦 2023年J1リーグ第22節 川崎フロンターレvsガンバ大阪

2023-08-10 16:01:09 | サッカー視聴記(2023年J1)

<両軍スタメン>

王者奪還に向けて敗戦は許されない状況の川崎。
それに立ちはだかるのは目下8戦無敗(7勝1分)のガンバと、勝利とともにその「負けない運」も奪い取りたい一戦となりました。
前回観た天皇杯4回戦(高知ユナイテッドSC戦、1-0)のメンバーに、故障明けのダミアン・マルシーニョ(+脇坂)を加えて挑んだ試合。

立ち上がり、ロングボール中心の配給でボールを失うという事を繰り返していたガンバ。(とはいえ難しい一戦に備えた様子見の立ち回りとしては納得できるものであり)
それを尻目に攻撃権を確保する川崎は、助っ人2人の出来を確かめるような攻め。
早々の前半1分にマルシーニョが左サイドをドリブルで切り込み(その後家長とのパス交換で奥を突いてクロス)、4分にはダミアンが山根のグラウンダーでのクロスをニアで受けると、浮かせたボールをそのままバイシクルシュート(枠外)と得意のプレーを見せます。

期待に応える2人を見るや、中盤もその2人目掛けてのスルーパスを中心に組み立て。
しかしオフサイドを量産してしまう結果に終わり、成果は上がりません。
11分には最後方から、ミドルパスをダミアンフリック→橘田左へパス→マルシーニョカットインでゴールに迫り、ボックス右角の家長へ。
良い流れでチャンスエリアに到達しましたが、家長はボールキープから戻し、結局作り直しを選択してシュートにはいけず。

川崎がボール支配するが故の倦怠感を覚えるなか、13分にガンバの反撃。
このタイミングで本来のスタイルであるボールポゼッションによる攻めを繰り出し、最終ラインでボールを持つなか、アンカーのラヴィの脇にインサイドハーフ(ダワン・山本)が2人とも降りて来る布陣を取り。
するとそこを使わずに右サイドからの前進を選択、高尾縦パス→ジェバリダイレクトでスルーパスと素早い運びを経てアラーノのクロス。
このグラウンダーで入れられたボールを、中央でシュートにいったジェバリは空振りするも、その奥で拾った石毛が果敢にシュート。
これが左ポストを叩いたのちにゴールネットを揺らし、先制に成功します。
この試合初めてのビルドアップ成功を見事結果に繋げたガンバ。

一方良い具合に攻め続けながらリードを許した川崎。
以降も同点を目指し攻めるのは変わらず、15分に早くもこの試合3本目のコーナーキック。(キッカーは全て脇坂、ここはシュートには繋がらず)
18分には左サイドの登里から、再びダミアンを走らせるスルーパスをポケットに送りましたが、ダミアンのシュートには繋がったもののこれもオフサイドとなり不発。(シュート自体もGK東口がセーブ)

するとリードしているガンバが攻撃権も剥ぎ取りに掛かり。
19分のダワンのミドルシュート(GKチョンソンリョンセーブ)を境に、川崎が量産していたCKも飲水タイムまでに3本とあっという間に同数となります。
20分に再び右サイドから早い前進で、スルーパスを受けたジェバリが高井を股抜きで剥がしてのカットイン。
これでゴール前まで迫りボールキープするも、ディフェンスに遭いシュートは撃てず。
一方の川崎はガンバ3本目のCKからカウンターに持ち込む(24分)も、マルシーニョのドリブルが藤春に対応されて終わり、これ以降マルシーニョはほとんど目立たなくなってしまいます。

25分に飲水タイムが挟まれ。
流れを変えたい川崎、27分に大南ロングパス→ダミアン胸でポストプレイで敵陣へ運び、パスワークで組み立て。
その最中にエリア内へ脇坂が走り込み、そこに登里のミドルパスが収まる決定機となると、中央へ流れシュートを放つ脇坂。
ゴールネットを揺らし、ブレイク明け最初の攻撃で同点と良い流れを予感させるゴールとなりました。

しかしその思いは浅はかだったか。
直後のガンバの攻撃(29分)、ロングパスのセカンドボールを繋ぎ再び右サイドから攻め、高尾の右ポケットへのパス。
スペースに出したようなパスでしたがいち早く拾いにいったのはシミッチで、攻撃終了を予感させた所にその後方から石毛が走り込み。
そしてボールタッチした刹那シミッチのチャージを受ける形となり、反則の笛が鳴りPKゲットとなったガンバ。
カタールW杯のブラジルvs韓国の一幕が思い出される与PKでしたが、ともかくこれをキッカー・ジェバリがゴール左隅へと決め。
川崎にとっては束の間の安堵といった感じで、再びガンバリードとなりました。

その後はガンバがすっかり立ち上がりの堅さが取れたようで、敵陣でのボールポゼッションから、戻して作り直しを選択という具合にゲームコントロールも巧みになり。
早めに追い付きたい川崎は、35分に左→右へのサイドチェンジのパスを受けようとした山根が、藤春に足裏でチャージされて反則。(藤春に警告)
これで得たFKからの二次攻撃で、左サイド奥を突いたマルシーニョのパスから、橘田がエリア内でカットイン。
しかし三浦のチャージを受けて倒れ、反則無しとなった事で「こちらにはPK無しなのか」というヘイトが溜まるのみに終わってしまいます。

終盤に入り、何とか攻撃権を確保せんと再びポゼッションを高めに入る川崎。
40~41分に長らくパスを繋ぐものの、結局攻めきれず作り直しを選択。
しかしこれが運命の分かれ道となり、ジェバリのプレッシャーを浴びながら出した高井のバックパスがズレてしまい、アラーノが前に出て掻っ攫い。
そのままGKと一対一に持ち込み、前に出たチョンソンリョンを右にかわし、大南のブロックもループシュートで無効化してゴールを奪います。
以前はこうした最終ラインのミスはガンバが犯す方(この試合とか)でしたが、チーム状況の好転とともにこちらの面でも逆転を果たしたようでした。

2点差を付けられた川崎、アディショナルタイムに怒涛の攻撃を仕掛けるもフィニッシュには辿り着けず。
結局1-3で前半を終えると、ハーフタイムで交代敢行。
埋没気味となっていたマルシーニョに代えて瀬川を投入します。

賽が振られた後半ですが、お互いにロングボールを送る立ち回りで中々好機が生まれず。
最初の好機は後半4分と遅めで手にしたのはガンバでしたが、ここでもハイボールでの争いを制してのもので、確保したのち山本のスルーパスを受けた藤春が左ポケットを突き。
そしてグラウンダーでクロスが入るも、ニアで受けた石毛が収められず。

すると川崎が圧を持って反撃に掛かり。
5分にボールカットで浮かんだボールをダミアンが左ポケットへ落とし、そこに瀬川が走り込むという強引な好機に。
一旦拾われるも奪い返した瀬川、そのままシュートを放ちましたが角度が足りずゴール右へと外れ。
この場面然り、ハイボールやポストワークで奮戦するダミアンですが、肝心のシュートシーンでは7分にエリア内中央で撃ちにいったもののジャストミート出来ず。

攻め込むもゴールは奪えず、12分にはCKからガンバのカウンターを招いてしまう(シュートにはいけず)など、流れは決して良くない川崎。
13分に再び動くベンチ、登里・シミッチ→佐々木・瀬古へと2枚替え。(橘田がアンカーに回る)
そして矢継ぎ早に18分にも交代、ダミアンに代えて山田を投入します。

佐々木が入った左サイドからの仕掛けに、家長も逆サイドから加わるお馴染みの流れで攻め上がる川崎。
19分にそこから上がったクロスの跳ね返りから、瀬川がミドルシュートを放ちますがダワンが頭でブロックして防ぎます。
これにより脳震盪の疑いで試合が止まる(ダワンは無事にプレー続行)も、これで得た流れは止まらず。
22分にも佐々木のクロスからの二次攻撃で、左ポケットを突いて瀬古がグラウンダーでクロス。
ファーサイドまで流れた所家長が合わせましたが、ブロックを掠めてゴール左へと外れ。
しかし怒涛の攻撃により再びCKの数も増えていきます。

そして飲水タイム(23分)の後の26分。
家長のクロスがブロックされて右サイド奥からスローインとなると、直接ポケットへと投げ込み山田がポストプレイで繋ぎ。
脇坂が中央へ運んだ末に瀬川がダイレクトでシュート、これがGK東口の左脇を抜いてゴールとなり1点差に迫ります。

追い上げられるガンバ。
直後の27分にアラーノが敵陣深めでボール奪取するシーンがありましたが、ショートカウンターには繋げられず。
それどころかここから川崎のロングカウンターが発動する(シュートには繋がらず)という具合に、勢いの差が如実に表れます。
それに拍車を掛けるように、スローインの際にアラーノが遅延行為で警告を受けてしまうなど、弱気な面も見せてしまうガンバ。

そして29分に再び右CKを得た川崎。
キッカー脇坂のクロスがニアで跳んだ高井を越え、中央の家長にも収まらずも、こぼれ球を橘田がシュート。
三浦がブロックで防ぐもここからシュートラッシュを見せる川崎、ヘッドで送られたボールがこぼれた所を山田がシュート。(ブロック)
エリア外へこぼれるも、右サイドで拾った脇坂のクロスを山田が折り返し、拾った瀬古がシュート。
眼前からのシュートでしたがGK東口がセーブ、跳ね返りを佐々木がシュートするもこれもセーブした東口。
しかし続く瀬川のシュートは防げず、合計5本のシュートでようやく攻めきった川崎、とうとう同点に追い付きました。

尚も31分にGKチョンソンリョンのフィードから左サイドで前進、瀬古スルーパス→瀬川グラウンダーでクロス→山田シュート(枠外)と川崎の勢いは続き。
一気に劣勢となったガンバ、これまで手を付けなかった交代カードを切ったのが35分。
ラヴィ・ジェバリ・アラーノ→宇佐美・鈴木・食野へと一挙に3枚替えを敢行します。(山本がアンカーに回る)

それでも流れを変えるには至らず、投入された宇佐美は38分に脇坂への反則チャージ(アドバンテージ)で早々に警告を受けるなど厳しい船出に。
ジョーカーの期待がかかる鈴木は、裏抜けというよりはターゲットの役目が目立つなど、その長所が理解されているかどうか疑問符が付く立ち回りを強いられ。

42分に石毛が足を攣らせた事で再度交代を敢行するガンバ。(柳澤と交代)
同時に川崎も家長→遠野と交代。
ガンバはあと一度交代枠があったものの、残り2人はともにセンターバック(佐藤・江川)なので実質これが最後の勝負カードに。
のちに三浦が足を攣らせても、それを切る事無く耐え凌ぎを選択しました。

そして勝負のアディショナルタイムへ。
ガンバが、食野の右からのクロスをダワンが後ろ回し蹴りのような恰好で合わせる(GKチョンソンリョンキャッチ)などこの段階でも巧みなプレーを見せに掛かり。
一方の川崎は、瀬川のエリア内へのスルーパスに脇坂が走り出せずという具合に、(天皇杯を戦った影響か)疲労感漂う終盤を強いられたでしょうか。

それが勝敗を左右したか、食野のシュートがブロックされて左CKを得たガンバ。
キッカー山本のクロスをニアサイドでダワンが合わせヘディングシュート、ゴールに突き刺さり三度勝ち越しに成功します。
最終局面はセットプレーでスコアが動くという、ありがちながら劇的な展開を描きました。

そのセットプレーは、最後の最後に川崎もCKを獲得し、GKチョンソンリョンも前線に上がる体勢に全てを賭け。
そのチョンソンリョン目掛けてクロスが上がるもクリアされ、セカンドボールを拾ったもののそこで試合終了の笛が鳴り。
結局川崎はマリノス戦では劇的勝利を挙げたものの、この日は逆に劇的勝利を献上してしまう形となりました。

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DAZN観戦 2023年J1リーグ第22節 鹿島アントラーズvs北海道コンサドーレ札幌

2023-08-09 18:28:27 | サッカー視聴記(2023年J1)

<両軍スタメン>

  • 前半は↓とは逆のコートでキックオフ。

J1でスターダムにのし上がる=息つく間も無く海外移籍という構図は避けては通れない近年。
札幌もそれは例外では無く、夏のマーケットでは金子が移籍と相成りました。

単なる主力の一選手どころか、近年はその突破力にかなり依存する攻撃スタイルに傾倒しつつあった札幌。
それだけに、彼が抜けた際にどういったサッカーを模索するのか非常に興味がありました。
穴の右ウイングバックにはルーカスが入り、その他のポジションも、クソンユンの移籍(京都へレンタル)・菅野の故障が発生したGK以外は実績あるメンバーが並び。
一見しただけでは他クラブと渡り合えるような感じでしたが、現実は予想以上に悲惨なものとなりました。

完全アウェイに近い環境である、鹿島のホーム(県立カシマサッカースタジアム)に乗り込んでの一戦。
その雰囲気に呑まれたわけではないでしょうが、鹿島のキックオフで試合が始まると、グラウンダーで繋ぐ鹿島の攻撃によりいきなり到来する危機。
左サイドへの展開から、溝口の縦パスからダイレクトで繋がるパスワークを寸断出来ずにエリア内に運ばれると、左へ開いた2トップを余所に樋口がフリーで走り込み。
そして放たれたシュートがゴールネットを揺らし、その間実に僅か12秒。
あっという間に先制点を挙げた鹿島に対し、その対応力という点での組織力の欠如が晒される格好となりました。

それに従うように、その後もビルドアップを次々と遮断されてしまう札幌。
そしてショートカウンターを頻発させる鹿島、前半4分には佐野のカットから右サイドを運んでいき、奥でスルーパスを受けた垣田がカットインでエリア内へ。
これを後追いで馬場が倒してしまうも、反則の笛は鳴らずとヒヤリ。
しかしそれも束の間、直後(同じく4分)にも佐野のボール奪取から、左ポケットでパスを受けた樋口。
そして戻しを経て鈴木のミドルシュートが放たれゴール右へ外れと、命が幾つあっても足りないというような立ち上がりを強いられ。

気を取り直したい札幌、7分にようやく攻撃ターンが回り、長いサイドチェンジを繰り返しての前進。
しかしこれもルーカス→菅へのパスを遮断され、ロングカウンターに持ち込んでエリア内まで進入した鹿島。(垣田のスルーパスが仲間に繋がらず)

それでも11分に再び後方から対角線のロングパスを受けたルーカス、そのままクロスを上げると、ファーサイドで小柏がヘディングシュート。
しかしGK早川にセーブされ、早期に追い付く事は出来ず。
ともかくこれらの攻めにより、金子の役目がルーカスに代わったのみで、ロングボールを良い形で彼に預けるというイメージが傍らから見て伝わって来たでしょうか。

その効果が生まれる前に、軽いプレーで台無しにしたくない所でしたがそれは叶わず。
14分に鹿島の攻撃を防ぐも、クリアボールをダイレクトで繋がんとした荒野のパス(かどうかも疑問)が眼前で樋口に遮断されて再び鹿島の攻め。
右サイド奥を突いた須貝のクロスで(クリアにより)右コーナーキックを得た鹿島、ターゲット豊富な面子のなかキッカー樋口は中央へクロス。
これを植田がパワーで岡村を剥がした末に、強烈なヘディングシュートをネットに突き刺します。
ペースを握りっぱなしに映る展開の通りに、点差を広げる鹿島。

その後も札幌の攻めのパターンはサイドを変えるロングボール中心で、これをルーカスがどう仕上げるかが生命線といった感じ。
他の選択を採ろうとしても、敵陣で展開されるパスワークは、荒野がダイレクトで繋がんとするパスがズレたり(29分)と今一つ機能せず。
それでもポケットを突く能力は金子に大きく劣るルーカス、どうしてもクロス中心になるのが辛い所でしょうか。
それをカバーせんと、田中のスルーパスを受けた小柏が右ポケットからシュートしたのが28分でしたが、植田に内を切られて放たれたそのシュートは枠を捉えられず。
33分にはゴールキックから短く繋ぐ姿勢を見せたのち、GK大谷のフィードが通って左から前進、左ポケットを突いた小柏。
しかし中央への横パスが駒井の手前でカットされ、この好機もモノに出来ず。

次第に攻めが通り始めるも、そうなると前掛かりになり逆に窮地に陥りがちなのが札幌。
点を奪えないまま突入したアディショナルタイム、鹿島は後方での繋ぎを経てGK早川が右サイド裏へロングパス。
そこにサイドバックの須貝が走り込み、何とかクリアした札幌でしたが、ロングボール一本で裏を取られる危惧は相変わらずのようで。
その後も右に開いた植田のロングパスが一気に右ポケットを突き、垣田が受けた所GK大谷が前に出て防ぐなど、脆さが常に隣合わせという状況を強いられます。

結局2-0で前半を折り返し。
巻き返しを図りたい札幌ですが、ハーフタイムでは動かずと、ここでも金子を失った事(と、夏の補強選手の皆無)による手駒不足の影響が見られ。

その結果、後半1分に佐野のパスカットからショートカウンターというシーンを2連発で作る鹿島と、前半の立ち上がりとさして変わらぬ展開が描かれ。
そこで得た右CKから、クロスの跳ね返りを拾ったピトゥカが右ハーフレーンからミドルシュート。
これを中で仲間がヘッドでコースを変えたものの、ゴール左へと外れ。

しかしその後押し返す札幌。
4分敵陣での展開でルーカスが中央へ縦パスを打ち込み、ズレてカットされるも関川から小柏が反則気味に奪って継続。
荒野のエリア内へのパスを浅野がダイレクトでシュート(ゴール上へ外れる)と、多少強引ながら鹿島ゴールに迫ります。
その後も反則に見えるディフェンスでボールを奪うシーンを連発し、その結果判定に異議を唱えた関川が警告を受ける鹿島サイド。
2点差故に攻めなければ後が無い、所謂背水の陣の姿勢がペースを生み出したでしょうか。

以降も右サイドでの攻めの中心を担うルーカス。
ボールを持てばクロスあり、サイドチェンジあり、手前からエリア内を突くミドルパスありと多種多様な展開を見せ。
しかし自ら決定的な仕事は出来ずと、どうしても金子との違いを感じさせてしまうのが厳しい所でもあり。

潮目が変わった影響か、鹿島ベンチの方が先に動く展開に。
9分に仲間→藤井、18分に垣田→松村と、早くも2度の交代を敢行するに至った岩政大樹監督。
先程の警告然り悩まされる判定面でも、13分にGK大谷に詰めにいった鈴木が勢い余ってチャージしてしまい、反則を取られると思わずヒートアップする場面もあり(正直この鈴木の態度には疑問、故意では無いにせよ)相変わらず。

流れ的にこのまま行けば……という札幌。
しかし19分、馬場のパスカットから荒野縦パス→小柏ポストプレイを経て駒井が中央突破を図りましたが、これをピトゥカに倒されて止められるも反則の笛は鳴らず。
これを境に鹿島のターンになるという、審判の判定により得たペースは、審判の判定によって失う因果応報のような展開を強いられます。

20分に低いクロスに合わせた松村のシュート(枠外)、21分にピトゥカの右ポケットへのパスから鈴木がダイレクトシュート(右サイドネット外)と、再びフィニッシュ地獄を浴びせにいく鹿島。
そして続く22分、藤井が左サイドからドリブルで突き進みカットインからクロス、これをGK大谷がセーブするも左CKに。
するとキッカー樋口のクロスを鈴木が合わせヘディングシュートと、再度CKから仕留めます。
強烈なシュートにGK大谷も止めきれず、ダメ押しに成功した鹿島。

直後に飲水タイムが挟まれても、中々交代カードの使用に踏みきれない札幌のミハイロ・ペトロヴィッチ監督。
ようやく動いたのが29分で3枚替えを敢行、浅野・荒野・菅に代えてスパチョーク・小林・青木を投入(駒井がボランチに回る)しましたが、正直2点差のうちに刷新を図りたかった所でしょう。

代わった人員は左サイドからの攻めに使われ、細かなパスワークで前進を図る姿勢へと傾倒する札幌。
33分その細かい繋ぎを経て、スパチョークのラストパスが左ポケットの小柏へ。
しかし須貝に腕固めのような形でチャージされると、倒れて肩を痛め続行不能に陥ってしまいます。(反則無し)
古傷へのチャージとはいかにも鹿島っぽい陰湿な……(ただし移籍したての須貝は知らなかった可能性あり)という事を考えさせながら、ピッチを後にする事となった小柏。(キムゴンヒと交代)
これと同じタイミングで、鹿島も最後の交代を敢行し一挙3枚替え。(関川・溝口・鈴木→昌子・舩橋・荒木、佐野が左SBに回る)

それでも泣き言は言っていられない札幌、直後の36分に決定機。
再び左サイドを細かなパスで繋いだ末に、またもスパチョークが左ポケットへ送ると、受けた青木はさらに奥を突くスルーパス。
走り込んだ中村からマイナスのクロスが入れられ、ディフェンスを掠めた所に後方から小林がシュートを放ち。
しかしこのシュートも昌子が頭部でブロックと、身体を張って止められます。
防いだ昌子は倒れ込み脳震盪も疑われましたが、直ぐに起き上がりプレー続行と、気合を見せ。

その後も攻め続ける札幌、小柏に代わって入ったキムゴンヒをフィニッシャーとしつつ、押し込み続け。
39分小林の縦パスを(駒井のスルーを挟み)受けたキムゴンヒ、そのままエリア内に進入してシュート。
しかしこれも須貝がブロックと、昌子の気迫に乗せられたかのように良く防ぐ鹿島ディフェンス。

どうしても1点が奪えない札幌、44分に最後の交代を敢行し駒井→福森。
しかし既に状況は何とか一矢報いたいというものでしか無く、その後鹿島の逆襲を受ける等気合負けは否めません。
45分にCK、ATに右からのフリーキックとセットプレーを獲得するも、既に3点差だったためか通称「鹿島る」絵図は見せない鹿島。
これらの好機も、ターゲットとなるセンターバックを前に送ってクロス攻勢に。

何とか打開しようとしたのが小林で、その後パスワークからエリア内を突いてフィニッシュを放つ事2度。
それでもゴールは割る事が出来ず、結局3-0のまま試合終了の笛を聴く事となりました。

選手交代以降は、特定の選手に頼らず全員で崩すという姿勢が見えた札幌。
ルーカス一辺倒の攻めではマークされたら厳しいという印象で、その方が組織的にも健全といった所。(問題はビハインドになる前にその姿勢に入れるかどうか)
ただしそれは前半の荒野のような、何処か気の抜けたプレーをしてしまう選手が居れば成り立たなくなるものでもあり。
個人の力頼みになるにしても、何処に力点を置いてそしてそれを貫くための組織力をどうするのか、最低限整えたい所でしょう。というかインターバル期間に何をやっていたのかという疑問が残るが

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DAZN観戦 2023年J1リーグ第21節 横浜F・マリノスvs川崎フロンターレ

2023-07-17 16:02:09 | サッカー視聴記(2023年J1)

<両軍スタメン>

飲水タイムのガイドラインがニュースになるなど、真夏の中の試合という実感が沸く時期となり。
日曜は関東地方で日中40度越えの地域も現れるなか、密度の濃い試合が演じきれるかどうか。

そんな状況で、土曜に開催された強豪同士の一戦。
川崎は序盤の出遅れが響き、優勝争いの輪に加わるにはデッドライン上という状況で、暑さが……などと泣き言を漏らすのは言語道断であり。

不振の最大要因はセンターバックの人員不足で、谷口の移籍・ジェジエウの長期離脱が合わさってできた大穴は、チャナティップを活かせず今夏に放出というのが些細に感じるぐらい王者奪還という目標を掲げる余裕すら無くす程でありました。
田邉の(J2千葉からの)レンタルバックなど慌てて行った弥縫策も、その田邉本人の故障で無に帰すなど、チグハグぶりはまさに残留争いを強いられるチームのそれという趣も感じられ。
その他のポジションも故障者が膨らみチーム力は明らかに下降線ながら、何とか白星を拾い望みを繋がんとする状況で迎えた、マリノスという王者を奪還すべき相手と相対しました。

前半2分の川崎、シミッチの縦パスを山田が倒されながらもポストプレイで繋ぎ、右へ展開されたのち家長が右ポケットを突く好機に。(その後パスワークから山根がクロスもシュートは撃てず)
その後も山田がポストプレイに入った所を潰され倒されるシーンが目立つという具合に、新人ながらセンターフォワードを立派に努めんとする山田の姿が何かと印象的な前半となり。
しかしどちらかといえば、故障者続出という川崎の苦境を如実に表した絵図の方が強かったでしょうか。

対するマリノスは、前節は名古屋との首位攻防戦で死闘の末に引き分け。(2-2)
それでバーンアウトしてしまったのか、水曜の天皇杯3回戦では町田相手に惨敗(1-4)と、状況は決して首位に居る成績に余裕を持てるものでは無く。
ホーム(日産スタジアム)故に先にリードを奪うのは必須条件と言わんばかりに、川崎の隙を探しつつ、見つけた時は縦に素早く運んで裏を突く攻撃を繰り広げます。

11分最終ラインでボールを持つマリノスに対し川崎はプレッシングを掛けるも、エドゥアルドの縦パスを受けたマルコスをフリーにしてしまうなどそれに連動性は見られず。
その後エウベル→ロペスと経由して、エリア内を突いたロペスのシュート(ブロック)に繋げられるという具合に、曖昧なプレスは死を招くものであり。

その直前の10分には、永戸→マルコスポストプレイ→永戸裏へミドルパスという流れで、オフサイドギリギリで抜け出して受けたエウベルが左ポケットを突いて横パス。
これを逆サイドで走り込み合わせたマテウスのシュートが右サイドネット外を揺らすなど、最終ラインのコントロールもやや乱れがちといった川崎の守備。
逆に15分の川崎の攻撃は、自陣での脇坂のスルーパスに抜け出した家長、その位置はエリアラインから僅かに手前に見えたものの(その後グラウンダーのクロスを山田がシュートしたのち)ディレイでオフサイドを取られ。
オフサイド絡みでの判定では、割かし不運を強いられていた感がありました。(主審はこの日もカタール人のカミス・モハメド・アルマッリ氏)

ともにフィニッシュを放つ一進一退な流れとなっても、マリノスが優勢に見えたのは上記のような主体的な崩しのシーンが多かったからであり。
川崎はイーブンなボールを拾ったのちの、マリノスの陣形が乱れていた隙を突いての好機が多かったのもそんな印象でした。
マリノスは19分にマテウスの右ポケットからのマイナスのクロスを、ニアでエウベルが合わせシュート。(GK上福元キャッチ)
24分にはマテウスが右ワイドから細かいタッチでカットイン、エリア内中央を窺ってシュート(ブロック)という具合に、ボックス内でのフィニッシュを膨らませ。

今夏必須となった飲水タイムが挟まれた(25分)のちも、マリノス優勢の流れは変わらず。
29分にロペスへの反則でカウンターを阻止する格好となったシミッチが警告を受ける等、劣勢ぶりが記録に反映されるようになった川崎。
その後も裏狙いのパスに難儀する事態を受け、前半の終盤は自陣でのブロックを重視する守備へと切り替えを強いられます。

フィニッシュを重ねるマリノス、34分にはロングパスを収めたロペスがエリア内を突き、こぼれたボールを拾ったマテウスがミドルシュート。
登里のブロックに阻まれるも尚も繋ぎ、エウベルの右ポケットからのクロスをファーサイドでマルコスがボレーシュート(左サイドネット外)と、前線4人の助っ人が川崎ゴールを脅かし。
しかし有利な時間帯で得点出来なかったツケが、のちに大きく響く事となります。

川崎の守備重視の立ち回りを受け、全員(GK除く)敵陣に入り込みポゼッションを高めるシーンが膨らむマリノス。
しかし相対的に崩しの難度の上昇に苦しむというお決まりの流れは、例え強豪のマリノスでも付いて回るのは避けられずとなります。
39分の永戸のミドルシュート(GK上福元キャッチ)以降、何度もポケットを突く攻めを見せるもフィニッシュは生まれず。

そしてアディショナルタイムにはアクシデントにも塗れます。
敵陣でこぼれたボールに松原が走り込み、ヘッドで繋がんとした所を登里とパッティングする形となってしまい倒れ込み。
登里がノーダメージななか、1分以上起き上がれずとなってしまった松原。
脳震盪チェックを経て何とか復帰するものの、ハーフタイムで交代の憂き目に遭ってしまいました。(脳震盪による交代なためカード消費は無し)

スコアレスで迎えたHT、その松原に代わって畠中を投入し、上島を右サイドバックに回す事でカバーを図ったマリノス。

後半はともに中々ボールが繋がらない中、先制攻撃はマリノスで後半4分、マテウスが右サイドをドリブルで持ち運んだのち切り返しでカットイン。
右ポケットに入っての横パスで、中央でマルコスが受けるも前を向けず、戻しからの渡辺のシュートは枠を捉えられず。

後半に入っても強力な両翼からの攻めは健在と思われましたが、以降マテウスは足を痛めた(放送席の談より)ようであり、その後もプレーを続けたものの精彩を欠き。
上島のコンバートも相成って、突如として右サイドが硬直状態を強いられる格好となります。

その隙を突く川崎、5分に登里がそのマリノスの泣き所(つまり川崎から見て左サイド)をドリブルで突き進む攻撃を仕掛けます。
宮代に託したのち、中央でフィニッシャーになるべく入り込んだ登里でしたが宮代の横パスがズレてしまい撃てず。
しかしここを突破口とし、7分にはGKを含めてのビルドアップでマリノスのプレッシングを引き寄せ、上福元がエリア内でロペスのプレッシャーを剥がした後のフィード。
ここから左サイドを前進し、中央→右へとサイドを変えて家長クロス→ファーで瀬古折り返しと好機に繋げます。(フィニッシュは撃てず)

川崎のストロングポイントが出た事で、一気に劣勢となるマリノス。
9分にはチマがパスを受ける瀬古に対し寄せるも奪いきれず、繋がれて川崎の好機となり。
家長が右ポケットに入り込んでパス、登里のスルーを経て走り込んだ山根が最奥からシュートを放ち、GK一森が足でセーブ。
運動量の低下を表に出してしまうと、直後に持ち込んだカウンターでも、右サイドで持ったマテウスはやはり精彩を欠きスピードダウン。
12分には川崎の自陣左サイドでのパスワークに寄せるも、サイドチェンジで脱出されてフリーの高井から攻撃。
右ワイドで持った家長が永戸を剥がしてカットイン、右ポケットを突いたのちの横パスを瀬古がシュートするも、ふかしてしまい決められず。

たまらずベンチが動き、12分にチマ・マテウス→喜田・宮市へと2枚替えしたマリノス。(エウベルが右ウイングへシフト)
何とか運動量を担保し巻き返しを図ります。
一方の川崎も、15分に瀬古・山田→橘田・遠野へと2枚替え。(宮代がCFへシフト)

マリノスは前半、激しい攻撃を幾度も仕掛けたもののそれが仇となったようで、2人代えただけでは中々エネルギーを保つ事はままならず。
逆に川崎は家長のボールキープを重視とした攻めで、体力的に効率が良かったのが差となって表れたでしょうか。
特に後半は、家長が逆サイドでのボールタッチが増え、チーム全体に落ち着きを齎していたようでもあり。

共に交代カードを切ったのち、マリノスはボールポゼッションを膨らませるも、川崎の4-5-1ブロックを切り崩す事に難儀。
20分にトランジションを突いての好機が生まれ、マルコスのパスカットからすかさずスルーパスがロペスに送られるも、完全にオフサイドポジションという位置で受けてしまったロペス。
その後GKと一対一から放ったループシュートをゴールに入れるも、後の祭りでオフサイドディレイで無効となってしまいます。
前半とは一転して、オフサイドに悩まされたのはマリノスの方となり。(川崎は22分に宮代→瀬川へと交代)

そんな流れで挟まれた後半の飲水タイム。(23分)
マリノスは前半同様の流れに持ち込みたいものの、既にそれを許すフィットネスは無いという状況であり。
迎えた26分、空中戦からシミッチの落としを拾った橘田に対し、エドゥアルドが前に出て阻んだものの奪いきれず。
そして瀬川のスルーパスを遠野が走りながら足下で受けて抜け出され、前に出たGK一森がかわされた所を引っ掛けてしまい、遠野が倒れて反則を告げる笛が鳴り響き。
エリア内なので当然PKが齎され、一森には決定機阻止(と与PKによる割引)により警告を受ける事となりました。

これで先制の絶好機を得た川崎、キッカーは攻めの中心を担う家長。
何ともチグハグなマリノスの流れでしたが、このキックをGK一森がナイスセーブ、バーに当たって跳ね返ったボールを抑えて寸での所で防ぎます。

このビッグセーブで勢いに乗った一森。
尚もマリノスに勢いが出ない中、32分に遠野の左からのカットインシュートをセーブ。
直後のCKでも、直接狙ったような脇坂のゴールへ向かうクロスをセーブと、ゴールを守り続けます。

守護神の奮闘に応えたいマリノスでしたが、尚もアクシデントに苛まれ。
29分にマルコス→植中へと交代したのち、さらにカードを切らんとした所で永戸が足を痛めてしまいます。(33分、瀬川に反則を受け)
続行不可能となりましたがベンチも想定外だったようで、交代を取り下げたうえで、喜田が左SBに回る事で一時的な10人での凌ぎを選択。

しかしその10人での戦いのなか、エウベルが右サイドをドリブルで突き進み、右ポケットへ進入してグラウンダーでクロス。
これをニアでロペスが合わせる決定機となりましたが、シュートはゴール右へと外れたうえに、勢い余ったロペスが(高井のスライディングを受けたのち)ゴールポストに激突する事態となってしまい。
更なる不運かと思われましたが、何とか無事でプレーを続けたロペス。
彼がピッチ外で待機する最中に、ようやく永戸→水沼へと交代を果たすマリノスベンチ。(同時にエウベル→杉本へと交代)
しかし懸案の左SBは喜田がそのままで、両SBを失ったうえでの試合はやはり辛い展開に。

一方の川崎も同じタイミングで、登里・脇坂→佐々木・大南へと2枚替え。
CBを1枚増やした事で、3バックへシフト(3-3-2-2)とここに来てフォーメーションを弄ってきた鬼木達監督。

物理的にギャップを生み出す策は、既に汲々としていたマリノスの足をさらに止めるに実に効果的となり。
敵陣でサッカーを展開し続け、フィニッシュに繋げていくその川崎の姿に、アウェイの立場ながら観衆の声援も大きくなる一方の流れに。

41分に山根が右ポケットからカットインシュート、GK一森がセーブした跳ね返りをさらに佐々木がシュート、しかし一森が再度セーブ。
44分にはCKから、クリアボールを橘田がダイレクトでミドルシュートを放ち、またもGK一森がセーブ。
マリノスは既に、当たっている一森が持ち応えるかどうかという展開に追い込まれます。

一方これだけ攻め立てながら得点出来ない川崎。
順位的に追う立場だけに、引き分けで終わる事は避けたい状況ではありますが既に時間はATへ。

遠野の右からのカットインでアタッキングサードを崩しにかかる所を、エドゥアルドが倒してしまい反則。
直接狙っても良い位置ながら、素早くリスタートを選択した川崎、スルーパスでポケットを突くも山根のクロス(シュート?)をGK一森がブロックとこれも防ぎ。
そして移行した右CKからの二次攻撃で再び遠野が右から仕掛けるカットイン、中央へ託したのち瀬川のスルーパスが完全に裏を取り、右ポケットに走り込む大南。
その折り返しをGK一森は今度は止められず、中央に流れた所を車屋が跳び込み、ディフェンスと縺れながらも合わせたボールがゴールに吸い込まれ。
絶対に決めたいという執念が勝り、とうとう川崎がリードを奪いました。

ホームで諦めは許されないマリノス、その後ロペスのシュートがブロックされてCKに持ち込み、GK一森も前線に加わり。
しかしクロスがクリアされて川崎のカウンターとなり、瀬川が無人のゴールにシュート(ゴール右へ僅かに外れる)、と更なる失点の危機を招くに終わってしまいました。

結局そのまま0-1で試合終了、川崎が勝利を挙げ。
個人的には、攻撃サッカーが織り成す撃ち合いの好試合を期待しただけに肩透かしとなった感がありましたが、夏場が生み出す消耗戦には逆らえなかったようでもあり。
ともかく川崎にとって、上位に向けての足掛かりの構築は王者の足をすくう事で果たせたでしょうか。

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DAZN観戦 2023年J1リーグ第20節 アビスパ福岡vs北海道コンサドーレ札幌

2023-07-10 16:01:34 | サッカー視聴記(2023年J1)

<両軍スタメン>

先週の神戸戦で、Jリーグからの移籍を表明していたアンドレス・イニエスタの送り出しを務める事となった札幌。
その試合の感想としては、前年同カードを観た際とほぼ変わらぬものであり。
札幌が誇る(?)「オールコートマンツーマン」のサッカーに対し、素早い寄せに難儀するイニエスタが機能する場面はあまり無く推移する、といった印象でした。

今季はその神戸も、激しいプレッシング・素早いトランジションを重視したサッカーに舵を切るという具合に、J1を戦うには避けては通れないのが近年のJリーグの事情。
そんな変化、そしてイニエスタの居場所も無くなっていくのは必然という流れは誰にも止められず。
個人的には神戸の「バルサ化」への取り組みは好きにはなれなかったですが、こうした結末となってしまうのは寂しい限りであり。
もう少し何とかならなかったのか……という思いと、そうした流れが(神戸が)現在上位に居る要因なのだから仕方ない、という割り切りが交錯するこの夏となりました。

札幌に話を戻すと、「リーグ屈指の攻撃力」と「あっさり失点する脆さ」が同居するという、そのチームの特色が色濃く表れている今季。
得点・失点の出入りが激しすぎるその姿は、先週のようにイニエスタの持ち味を消す程の日本サッカーのスタイルをある意味象徴する、とは言い過ぎか。
しかし2巡目となり相手の研究も進んだのか、3戦未勝利と再び衰退気配が漂っている現状。再びの小柏の故障離脱という要素が最も大きい気がする
そんな中で、相手の良さを消す戦いを繰り広げる福岡との一戦となりました。

1巡目で自分も現地で観戦したカードなので、その福岡の対策ぶりに注視する事となり。
立ち上がりの様子見の時間から、その変化を実感させられます。
札幌はストロングポイントである金子にボールが回る事は稀であり、これまでの「良い形でロングパスを金子に供給する」というサッカーを敢行する事は出来ず。
そのため、早い時間帯で2点リードを奪った前回対戦時の再現は全く成り立たなくなりました。

4-4-2のオーソドックスな布陣により、前線では要所でのハイプレスをチラつかせながら、しっかりとゾーンを固めて相手のロングパスを抑制する福岡の守備。
その姿勢に札幌は綺麗に出鼻を挫かれる事となった、という印象でした。
安易に金子にボールを託せず、かといってショートパスによる中央からの突破も難しい。
仕方無く、金子とは逆のサイドに居るルーカスへのロングパスへの供給が中心となり。
ルーカスの突破に対し、福岡もサイドバック・サイドハーフの2枚で対応して防ぎ。
攻撃の中心を期待される事となったルーカスですが、前半13分のミドルシュート(ブロック)ぐらいが見せ場となり、過度の期待による重圧の方が目立ってしまっていたでしょうか。

それでも徐々にボールポゼッションを高め、攻撃権を支配する札幌。
そんな中でルーカスは、サイドチェンジで何度か金子へとボールを託さんとするものの、福岡サイドもそのケアは欠かさず悉くカットされ。
攻められてはいるものの流れは決して良くなく、困っていた風でもあり。
それ故に焦ってダイレクトパスの連続で前進を図るも、それが繋がらないという具合に、「イニエスタの送別試合で何を学んだのか」と言いたくなる(言い過ぎか)ような絵図を描く事となります。

その打開は、中央への縦パスを通す事だったでしょうか。
29分、札幌は中盤~敵陣でのパスワークによりプレスを誘い、井手口を釣り出したうえでそのスペースへ宮澤が縦パスを通す攻撃。
受けたスパチョークが右へ展開する事で、(その後福岡のカット→再奪取を挟み)ようやく金子に良い形でボールが渡る好機となります。(右ポケット奥へ切り込むもシュートは撃てず)
これで不穏な流れが融解出来た感があり、続く30分にも岡村の縦パスが通ったのち、中央をワンツーで突破した荒野がシュートに繋げ。(ブロック)

そして続く31分でした。
ここも田中駿→スパチョークへと縦パスを送り、エリア内で受けた所をクリアされるも繋いで継続し、中村桐が左奥へと切り込んでカットインからグラウンダーでクロス。
井手口がブロックするも跳ね返せず、流れた所をニアサイドで受けたスパチョーク、すかさずシュートしてゴールネットを揺らします。
福岡の対策を上回るように、先制点に辿り着きました。

一方またもリードされてしまった福岡。
立ち上がりから続けていたロングパス・ミドルパス攻勢は変わらず、何とか得点を狙いにいき。
福岡のターゲット狙いに対し、札幌サイドも完全対応が期待できるのは岡村のみという状況故に、割と有効となっていたその立ち回り。

そして36分そのロングパスによる攻撃で、セカンドボールを繋いで山岸に渡った所、荒野に反則を受けた事でフリーキックの好機に。
右ハーフレーンから直接シュートも狙えるという位置で、それを窺わせつつ、キッカー金森は指示を出している体勢から意表を突いてヒールで蹴り出し。
後方から前がシュートを放ち、グラウンダーでブロックをすり抜けた末にGK菅野がセーブ、その跳ね返りを詰めたグローリがネットを揺らします。
しかし飛び出しがオフサイドを取られてしまい、(VARチェックを経て)無念のノーゴールとなり。

その後札幌もリードを奪った事で余裕が出来たでしょうか、ないしは激しくなる雨脚故の無理攻めの自重か。
ボールを受けたスパチョークが、ゆっくりとしたボールキープを挟んでチームに落ち着きを齎す立ち回りを演じる(41分)等、イニエスタが伝えたかったであろう(しつこいって)「パウサ」の要素も取り入れ。
しかしその流れも田中駿のハンドを切欠に途切れ、アディショナルタイムに福岡が猛攻を仕掛けるも実らず。
前半は0-1で折り返す事となりました。

前回対戦時とは違い善戦はしているという流れの福岡、巻き返しを図りたいのと、バランスを崩したくないという思惑が交錯するハーフタイムだったでしょうか。
結局動かない事を選択した長谷部茂利監督。

しかし後半は入りから札幌の猛攻が始まり、その始まりはやはり右サイドで金子がボールを持つ事で、クロスとカットインの二択に晒される攻撃。(後半2分・クロスを選択もフィニッシュには繋がらず)
流れを掴んだ札幌、直後に中村桐のロングパスで福岡のクリアミスも絡み、スパチョークがエリア内に切り込む決定機が生まれます。
放たれたシュートは奈良がブロックして辛うじて防ぐも、ここからコーナーキック攻勢も受ける事となり。(2分間で3本)

こうなると「何とか防がんとするも付いていけず、アフターチャージを頻発させる」という、お決まりのラフプレーへの傾倒を強いられる福岡。
流れを変えようと、9分に小田→湯澤へと交代させるもののそれは果たせず。
11分にスパチョーク、ルーカスが相次いでアフターチャージで倒れ込み、札幌サイドにもフラストレーションを生みかねない流れとなる試合絵図。

そして13分、右からのスローインでの攻めで、サイドチェンジを挟んでルーカスから攻め込む展開に。
一旦遮断されるも縦パスをルーカスがカットして継続し、スパチョークの中央へのパスが急所を突き、エリア内中央で駒井がボールキープ。
たまらず福岡はグローリが防がんとし、倒してしまうも反則の笛は鳴らず。
しかし2分後にプレーが途切れると速攻でOFRに持ち込まれ、VARに委ねられる事となります。
そして判定が覆り、際どいながらもエリア内での反則という事でPKを得た札幌。

前回の福岡のPKシーンを彷彿とさせる流れが、今度は札幌に齎される事となりましたが、喜ぶのはまだ早かったか。
チーム得点王の金子(8点・浅野と同着)がキッカーを務め、細かい助走を経てゴール左へとシュート。
しかしGKの逆は付いたものの、ゴールポストを直撃してしまい跳ね返り。
追加点はスルリと手中から逃げてしまいました。
一方九死に一生を得た福岡は、直後に佐藤→ウェリントンへと交代します。(19分・山岸が右SHへシフト)

その後も20分にロングパスを金子が折り返し、浅野のキープを経て再度金子にボールが渡り、右ポケット奥へ切り込んでクロス。(ニアで田中駿が合わせるもゴールならず)
金子にボールが渡る回数も増え、札幌の流れは変わらないという印象を抱かせるも、やはりPK失敗という結果による不穏ぶりは防げなかったでしょうか。

21分、駒井のスルーパスがカットされると、そこから前向きのベクトルを突かれ一気にロングカウンターを受ける札幌。
グローリのスルーパス一本で(宮澤がカット出来ずに)裏を取ったルキアン、右ハーフレーンを持ち上がってそのままポケットへ進入した末にグラウンダーでクロス。
札幌サイドが防ぐ術を持てないまま、ファーサイドで走り込むウェリントンが合わせてゴールネットを揺らします。
リードしている側が絶望的なカウンターを受けるという、やってはならない失点を演じてしまう札幌。

同点に追い付いた福岡、尚も虎視眈々と相手のベクトルの逆を突かんとする姿勢は変わらず。
そしてその時は早く訪れ、24分に札幌のロングボールをグローリが跳ね返した事であっさりとそれが齎され。
拾った山岸が右へとスルーパス、受けたルキアンがまたも右ポケットを突くという先程の再現のようなシーンとなると、今度は札幌ディフェンスの戻りを見た事で短いマイナスのクロスを選択するルキアン。
そして後方から走り込んだ湯澤がシュートを放つと、地を這いゴール左へと突き刺さるボール。
短期間であっという間に逆転を果たしました。

一気に追う立場へと切り替わってしまった札幌、直後にルーカス・宮澤→菅・福森へと2枚替え。(25分)
福岡は前から圧力を強めにいくも、勢い余ってルキアンが2連続でのアフターチャージを演じてしまい、警告を受ける事に。
しかしそれにより札幌もヘイトが溜まってしまったか、27分には福岡が左サイドアタックを仕掛けた所、スリップしてボールロストした金森が奪わんとして仕掛けたスライディングが荒野を倒してしまい反則。
これにより両者縺れ合い、ヒートアップして手を出した金森に対し荒野も応戦する、という具合に不穏な空気が爆発。
雨が依然として激しく降り注ぐなか、反撃の機運を高められない札幌。

何とか流れを変えるべく、33分に駒井→小林へと交代。
するとその直後、中央~右ハーフレーンをパスワークによる前進で、小林のエリア内へのスルーパスに浅野が抜け出してシュート。
ゴールに突き刺すものの、オフサイドを取られて無情にも同点はなりません。
直後の36分に福岡も、CKからウェリントンがフリーになってヘディングシュートを放つもゴール右へと外れ。
お互い決定機が交錯するも得点は生まれず。

最後の交代は、札幌は37分にスパチョーク→キムゴンヒ。
福岡はそれに対するように39分、山岸→井上とともに、井上を右センターバックに入れる3-4-2-1へとシフト。
つまりは5バックシステムと、逃げ切り狙いが明白な体勢となります。

押し込むものの、要所でかつての同僚・奈良のナイスディフェンスもありその守備を崩せない札幌。
こうなると頼みは飛び道具と言わんばかりに、CKを獲得した際のキッカー福森の才知に全てを託すといった状況に。
それでも崩すのは容易では無く、42分のCKではセカンドボールを拾ったのち、敵陣でパスを繋ぎ続けて何とか隙を窺わんとする体勢に。
そして金子が右ポケット奥を突くも、入れたクロスはGK村上の正面と実りません。
そして岡村を前線に上げ、パワープレイへと舵を切り。

執念が実ったか、45分にエリアからすぐ手前でキムゴンヒが(井上に)反則を受け、絶好の直接FKのチャンス。
当然蹴りにいく福森でしたが、放たれた直接シュートは壁を直撃とモノに出来ず。
その後福岡も敵陣で反則を受けた事で、左コーナーでボールキープの時間を作るも、何とか断ち切り最後の攻撃に入る札幌。
例によって金子がボールを持つも、既に時間は無く仕掛けずに手前からクロスを入れると、ニアサイドに走り込んだ田中駿が足で合わせ。
しかし乾坤一擲というこのシュートも、GK村上のセーブに阻まれてしまい万事休すとなった札幌。
その後のCKでの攻めが途切れた所で、福岡に勝ち点3を齎す試合終了の笛が鳴り響きました。

これで4戦未勝利、いずれも得点は1のみと、ストロングポイントを消されかけているような札幌の近況。
「たまに攻撃陣爆発の期間が出来るも、長続きせず結局2桁順位に」という近年の札幌のパターンも定番化しつつあり、その流れは今後覆せるかどうか。

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