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DAZN観戦 2024年J1リーグ第1節 サガン鳥栖vsアルビレックス新潟

2024-02-27 16:00:39 | サッカー視聴記(2024年J1)

<両軍スタメン>

カテゴリが上がっても、身に付けたポゼッションスタイルを貫く事で名を上げている新潟。
「金の切れ目が……」という訳では無いものの、そのスタイルが維持されている間は、定点観測的に注目していこうと思います。

迎えた新シーズン。
既に本間・伊藤といった中心選手の海外移籍に晒されている中、集めた新戦力がどれだけスタイルに適応できるかがそのカギとなり得ると言っても過言では無く。
早速、いわきから加入した宮本がスタメンに名を連ねる事となりました。
「筋肉系クラブ」として有名ないわきで、数少ない柔軟さを醸し出す選手として中心軸になり得ていた存在。
早期にフィット出来れば、J1でも活躍は決して不可能ではありません。
高の移籍したボランチの穴に収まり、その相方には秋山。

入りの流れを落ち着かせ、早速持ち味の最終ライン・ドイスボランチからパスを繋ぐ土台を築かんとする新潟。
前半3分、ボールを持った秋山は左サイドを選択し、パスを受けた新井がスルーパス。
その先で小見が原田に反則を受け、早速フリーキックを得るとキッカーの位置には小見。
高木・島田・堀米悠斗が未出場の際のプレースキッカーが誰か、という点も重要だと思わされるシーンとなりました。
このキックは、中央のクロスに舞行龍が合わせにいくも、オフサイドで終了に。

しかし直後の5分、再び最後方から繋がんとした所で乱れを見せ。
バックパスを受けたGK小島から再度作り直すという所で、あろう事かミスキックでタッチラインを割ってしまい。
すかさず右スローインに入る鳥栖、右奥に投げ込まれたボールに堀米勇が走り込んで素早く低いクロス。
慌てて防ぎにいく新潟ですが、クリアも小さくなった所に、ダイレクトで福田がミドルシュートで打ち抜きます。
舞行龍のブロックに当たった末にゴール左へと突き刺さり、相手の隙を突く形で立ち上がりの先制点に辿り着いた鳥栖。
この日のピッチ(鳥栖のホーム=駅前不動産スタジアム)は強風に晒されていたため、必要以上にナイーブとなっていた感のあったGK小島。
それが綺麗にスコアに直結してしまいました。

優位に立った鳥栖、その後は新潟のパスワークを遮断してからの鋭利なカウンターに活路を見出し。
7分、自陣でマルセロがプレスバックして奪うと、樺山から受け直してそのままドリブルで単騎突撃の体勢に。
そして一気に左ポケットに進入、切り返しで舞行龍を剥がした末にシュートを放ちましたが惜しくも左ゴールポストに嫌われます。
直後の8分にもプレッシングから、デンの苦し紛れの縦パスを原田がカットしてカウンター、スルーパスを受けたマルセロがエリア内を突いてGKと一対一に。
そしてループシュートで小島を抜いたものの、ゴール右へと外れて惜しくも追加点ならず。

後者のシーンに見られるように、最後方の乱れが波及した感のあった新潟。
2センターバック+ボランチでの繋ぎが対処されており、1年経った事で良く研究されていたでしょうか。
鳥栖の守備時は、堀米勇がFWに位置取っての4-4-2へと変形。
そしてマルセロがボランチをマークし、堀米勇が舞行龍を、右サイドハーフに位置する長沼が前に出てデンを見るという前線の守備隊形。
これにより新潟は思うように中央で繋ぐ事が出来なくなり。
まだ試運転の段階と思われる宮本はそれに対処できず、彼がアンカー(例によって攻撃時は縦関係になるドイスボランチ)に位置した時が危険といった感じに。

そのため対処法をピッチ内で考える必要性が生まれ。
17分、ボランチを経由せずにデンは直接左へ渡すと、新井はボールコントロールで原田を剥がしたのちに前進。
前年最終節(セレッソ戦、1-0)での先制点のシーンが思い起こされるプレーぶり(あの時ボールキープしたのは渡邊でしたが)から、サイドで敵陣に運ぶ事で、中央重視・前掛かりの鳥栖を突かんとします。
中央も微調整がなされ、ひとまずはボランチの片割れが最終ラインに入る姿勢、つまり3枚でのビルドアップの形を見せる事で急場凌ぎ。
その間に意思統一したようで、アンカーの位置に入るのは秋山でほぼ固定。
一方その一列前に位置する宮本は、主に最前線へスプリントし、後方からのミドルパスを受ける役回りへと比重が置かれました。

それでも流れを変えるには時間がかかり、20分台は鳥栖が攻撃権を掴み。
それも中盤~敵陣でのボールカットからの好機が目立つという、新潟にとって厳しい状態は続き。

すると31分、新潟は再び左サイドからの運び。
新井がマークに遭いながらも剥がした末に縦パスを送ると、鈴木ポストプレイ→宮本ダイレクトで裏へミドルパスという流れで、抜け出す新井。
一気にエリア内に運ばれたそのボールは、GK朴に抑えられた末に、勢い余った新井がキーパーチャージを犯してしまい反則・警告。
残念な結果に終わったものの、苦しい時は基本に立ち返るという格言のように、「縦パス→ポストプレイ→スルーパス」の定番の流れで崩しかけた事で光明が見えたでしょうか。

それでも34分、再び新井縦パス→鈴木ポストプレイ→宮本ミドルパスという流れで攻めるも、藤原のクロスが跳ね返されると鳥栖のカウンター。
長沼→マルセロへのスルーパスを何とか防ぐも、その後のコーナーキックから、ショートコーナーを経て長沼がミドルシュート(枠外)と脅かされ。

鳥栖は自らのビルドアップからの攻めは今一つなので、カウンターの脅威に負けずに何とか同点にしたいという新潟の状況。
次第に左の新井のみならず、右の藤原もポケットまで進入できる流れが生まれ、分厚い攻めの姿勢を見せます。

しかし0-1のまま時間はアディショナルタイムへ。
宮本が何度か足を痛めるシーンも作られ、このまま終わるかという流れの中で最後の攻撃に入る新潟。
こぼれ球を拾った藤原から、鈴木ポストプレイ→宮本ダイレクトで裏へミドルパスという、やはり不変の流れを経て裏を突いて抜け出した谷口。
遠目ながらも果敢にダイレクトで撃ちにいった結果、GK朴の左を破り、左ポスト内側を叩いてゴールに吸い込まれるボール。
鮮やかなスーパーゴールとともに、前半終了の笛が鳴って同点で締められる事となりました。

結果論になりますが、最後の最後に即時奪回を狙った前掛かりの隙を突かれて追い付かれた鳥栖。
そのショックを振り払えないまま、後半に臨む事を強いられます。(ともにハーフタイムでの交代は無し)

鳥栖のキックオフで始まるも、ロングパスを藤原が遮断してあっさり攻守交替になると、パスワークを経て松田が右奥を突いてCKに持ち込む新潟。
ここでのキッカーは秋山で、ファーへのクロスから舞行龍が折り返し、クリアされるも小さくなった所を松田がダイレクトでシュート。
GK朴にセーブされると今度は左スローイン、直接エリア内へ投げられたボールを谷口がフリック。
これもクリアが小さくなった所を小見がボレーシュートを放ち、再びGK朴のセーブに阻まれるも、フィニッシュの矢を浴びせます。

そして後半4分、鈴木のシュートが山﨑にブロックされて左CKになると、今度はキッカーは小見。
中央へクロスが上がると、跳んだ谷口は触れられずもその奥で山﨑が腕に当ててしまい。
完全に開いた左腕に当たる格好で、クリアボールがタッチラインを割った所でVARが介入。
その結果、OFRを経てハンドの反則となり、新潟は押し込み続けた末のPK獲得という絶好の勝ち越し機を得ます。

キッカーは鈴木、小さく変化を付けた助走を経てゴール右へシュート。
しかしGK朴はこれを読みきり、左へ飛んだ末のファインセーブでエリア外へと跳ね返します。(その後藤原が拾い継続もシュートは撃てず)
後半開始からセービングを続けている朴、ここでもチームの窮地を救い。

しかしこの流れを反撃体制に繋げられない鳥栖。
8分に最終ラインから組み立てるも、縦パスを秋山にカットされて再び新潟の攻撃。
そして再びの右CKとなり、キッカーは小見。
先程の秋山とは逆にニアへのクロスを選択すると、鈴木フリック→中央で新井ヘディングシュートという完璧な流れでゴールネットを揺らします。
専守の姿勢を跳ね返せなかった鳥栖、新井のみならずその奥のデンもフリーになっており、集中力が切れた感もあり。

ともかく勝ち越した新潟、11分に再び右CKと、攻撃の流れは尚も続き。
後半一度も攻撃機会を得られない鳥栖は、このCKの前に2枚替えを選択し、福田・樺山→手塚・富樫へと2枚替え。
このCKからの攻めは防がれるも、好循環が止まらない新潟は、続く13分GK小島から右サイドでの前進を経て松田が中央へ縦パス。
これを谷口がダイレクトで裏へ送ると、抜け出して受けた鈴木がそのままエリア内を突いた末にシュート。
ゴール右上へ突き刺し追加点、という流れでひとしきり歓喜に沸いた新潟サイドでしたが、VARチェックを経てオフサイドを取られたためぬか喜びとなります。
これによりようやく新潟の流れも落ち着きを見せ。

先程の交代により4-2-3-1へと変更した布陣(富樫は右サイドハーフに入り、長沼が左SHに回る)から反撃したい鳥栖ですが、ビハインド故に前半のようなカウンターに持ち込める場面はほぼ無くなり。
マルセロをサイドに開かせながら、人数を掛けての前進の末に何とか深めに運び。
そこから2度得たCKで、河原のミドルシュート(18分・ブロック)・長沼のヘディングシュート(20分・枠外)と、新潟同様セットプレーでゴールを狙いにいきます。

それでも主体的な攻撃に活路を見出さなければならない鳥栖、その苦しさは明らかであり。
その状況に陥った相手の心理は良く解っているという具合に、要所でボール奪取を見せる秋山を軸に反撃を仕掛ける新潟。
21分敵陣でボール奪取し、拾った松田が右ポケットを突くというショートカウンターは防がれるも、その後長らく敵陣でパスワーク。
そして再び松田がカットインを仕掛けてエリア内へラストパス、谷口が切り込むチャンスシーンとなるも、GK朴が前に出て防ぎ。
直後に再び自陣で秋山がパスカットすると、今度はスルーパスで速攻に入り、走り込んだ谷口が遠目からループシュートを狙い。(ゴール左へ外れる)

鳥栖のプレッシングも効かなくなり、良い所が無くなった相手に対し、散々ボール保持中心に掻き回す新潟。
そして27分に交代カードを切り、一挙に3枚替えを選択(松田・小見・鈴木→ダニーロ・高木・長谷川元希)したその姿はまさにお役御免というベンチワークに映りました。

そんな相手の盤石な体制を上回りたい鳥栖、ゴールキックから短く繋ぐ組み立ても駆使し、好機を作らんとします。
28分に丸橋・マルセロ→上夷・横山へと2枚替えし、これで富樫の1トップとなり2列目は右から長沼・堀米勇・横山の並びに。

そして31分、ここもゴールキックからの繋ぎで新潟のプレッシングを剥がすと、左からの運びで代わった横山・上夷の2人で崩す体勢に。
上夷がカットインから中央へパスを送ると、河原がダイレクトでエリア内へ叩き、待ち構える堀米勇がさらにヒールパス。
ポケットで受けた横山がカットインからシュート、新潟のブロックを掻い潜る強烈なフィニッシュを放ったものの、GK小島のファインセーブに阻まれ同点はなりません。
(鳥栖は34分に最後の交代、堀米勇→ヴィニシウス・アラウージョ)

前線ではボールキープを重視するなど、スローペースになってきた新潟に対し焦りを拭えない鳥栖。
36分に藤原のボールキープに対し横山が反則を犯してしまい、このFKからセットプレー攻勢に入られた事で、さらに時間を浪費する破目に。
FK→左スローイン→左CKという流れを経て、キッカー高木ニアにクロス→宮本フリック→谷口ヘディングシュートと、2点目の再現を果たさんとするもサイドネット外に終わり。

盤石な流れを保つ新潟ですが、直後の39分に再び最終ラインから繋ぐ流れになるも、舞行龍が横山のプレッシャーを受けた結果右奥で奪われてしまい。
そして横山を反則で止めてしまった舞行龍により、一矢というべき鳥栖の左奥からのFKに。
キッカー手塚ニアにクロス→上夷ヘディングシュート(威力に欠けGK小島がキャッチ)という具合に、どんなに巧いゲームコントロールを見せていても、一瞬の隙から点を失っては全てが台無しになるのがサッカーであり。

その後再び新潟のボール支配は続き。
42分にFKから長谷川元のヘディングシュートがゴールを脅かす(GK朴セーブ)など、リスクを掛けずの好機が訪れたものの最後まで追加点は生まれず。

そのままATへと突入。
何とか流れを生み出したい鳥栖、左サイドからパスワークで前進を図り、遮断されるも手塚が奪い返して継続という具合に強引ながらも運び。
そしてクロスが上がり、こぼれ球を拾った原田がシュート、ブロック→クリアされるも尚も手塚が繋いで継続。
粘り強さを見せた末に、これを拾った横山が再び左ポケットからカットインを経て強烈なシュート。
しかし舞行龍のヘッドでのブロックに阻まれ、どうしても同点にする事が出来ません。
一方新潟も、これにより舞行龍が脳震盪の疑いで倒れ込んで交代に陥る(早川が出場)など、決死の守備。

そして最後の攻勢を掛ける鳥栖、キムテヒョンの長いスローインも使って形振り構わない押し込み。
これを受けた長沼に対し新潟は即時奪回を狙うも、それを剥がした長沼がアーリークロス。
最後の最後に前掛かりとなった相手の隙を突けたものの、走り込む富樫の奥でGK小島がキャッチと、実らずに終わります。

試合終了の時を迎え、1-2で新潟が勝利。
大きくない規模をピッチ上の組織力でカバーするクラブ同士の戦いで、新潟は幸先良いスタートとなったでしょうか。

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DAZN観戦 2024年J1リーグ第1節 名古屋グランパスvs鹿島アントラーズ

2024-02-26 16:00:40 | サッカー視聴記(2024年J1)

<両軍スタメン>

待ちに待ったシーズンイン。
一ファンである自分とは違い、当事者の思い入れの方が遥かに強いのは言うに及ばず。
それはホーム開幕戦という立場である名古屋の、試合前の演出を目の当たりにして痛感する事となりました。

とはいえ、それはテンションを上げる要因にはなっても、今後の見通しを明るくするのはやはりピッチ内での事象。
つまりはサッカーの内容であり、現状を把握しながら、勝ち点の積み上げを果たさなければならない長い長い作業が今年も始まる事となり。

前置きはこのぐらいにして、この試合のホームチームである名古屋。
大補強を敢行したうえ、下位カテゴリの選手を数多引っ張って来る豪腕ぶりを発揮し、今季こそ優勝をという意気込みは存分に感じられる編成となり。
しかし補強の目玉とされた、FW山岸やDFハチャンレといった選手が故障離脱を余儀なくされ。
特に後者の影響が、藤井・中谷・丸山らDFが一斉に退団したのと噛み合わさり深刻なようで。
最終ラインはJ1経験の薄い選手が過半数を占める状況で開幕を迎えました。

その名古屋の見所は、今季から落とし込まれたという可変式のビルドアップ。
攻撃時は4バックへと変形し、右センターバックの野上が、右サイドバックの位置へと張り出すのが特徴であり。
早速の前半3分中央の三國からパスを受けたその野上、ワイドからのロングパスをユンカーに届け、そこから逆サイドへの展開。
そして上がってきた山中がダイレクトでミドルシュート(ブロック)とファーストシュートに辿り着き。
その後もJ1特有の素早いトランジション・力強いデュエルを制しつつ、立ち上がりの時間を優勢に持っていかんとします。

まずは上々といった新生・名古屋でしたが、8分には鹿島の攻撃。
何とか断ち切った名古屋ですが、自陣深めからの繋ぎを余儀なくされた結果、安西がミドルパスをカットしてさらに攻撃継続。(その後右サイドに展開した末に知念がクロス)
これが文字通りに名古屋の流れごと遮断するシーンとなります。

以降は鹿島が、地上・空中を使い分けてポゼッションを高めつつ、隙を窺う状況に。
16分、その通りにボールを保持しながら、センターバックへ戻して作り直し。
すると知念が最前線へと動き出し、そこに植田が縦パスを送る事で入れられるスイッチ。
これは遮断されるも同じく上がって来た濃野が繋ぎ、土居が右奥を抉ってのポケットへのパスに走り込む濃野。
稲垣のディフェンスに遭い倒される(反則無し)も、名古屋とは違い局面で一気に仕掛ける可変で崩さんとする姿勢を見せ付け。

その流れを維持したまま、迎えた19分の右コーナーキック。
キッカー樋口のニアへのクロスは跳ね返されるも、植田の落としに素早く反応した仲間。
名古屋ディフェンスが明けたスペースを綺麗に突いてのボレーシュートでゴールネットを揺らし、先制点に辿り着きます。

ペースを失って以降、一度も好機を作れずにリードを奪われた格好の名古屋。
動揺を隠せないまま、その後も鹿島のセットプレー攻勢に晒され。
22分には左からのフリーキック、キッカー樋口はクロスでは無く中央へ縦パスを打ち込む事を選択。
ここから土居のポストプレイを経て知念がミドルシュートというサインプレーを見せ、野上ブロック→GKランゲラックがセーブと辛うじて防ぎCKへ。
このCKからもグラウンダーでの戻し→土居ミドルシュート(森島がブロック)と変化を付ける鹿島。
この徹底ぶりは、流石は新監督ランコ・ポポヴィッチ氏のチームらしい拘りを感じる絵図となりました。

追加点の危機を何とか凌いだ名古屋、反撃体制に。
しかし、こちらの拘りである可変式システムによるビルドアップの成果は今一つ。
左サイドからの仕掛けは、山中の所に鹿島・濃野が高く上がってチェックに来るのに面食らい前進出来ず。
勿論スペースを突く隙が出来る表裏一体の鹿島の守備姿勢ですが、それを下がって埋める知念の動きも良く、活路を見出せません。
一方の右サイドも、武器となる久保の突破力も、前年同様J1のカテゴリが壁といった感じ。
何度か良いドリブルは見せるものの、藤枝時代における「得点源の一つ」のような働きはとてもじゃないが果たせずに時間を浪費していき。
そんな訳で、中盤でのデュエル合戦を制した時が主な好機となります。

名古屋は27分に得た右CKで、キッカー山中のクロスが直接ゴールに向かい、パトリックとの競り合いを余儀なくされたGK早川が触れず。
ボールは直接左サイドネットを揺らし、同点かと思われましたがパトリックの動きが早川への反則を取られてノーゴールと、運も敵に回る苦しい状況。

何とか好循環を築きたい名古屋。
最終ラインから繋ぎつつ、浮き球パスで山中に預ける事で鹿島のチェックをいなす姿勢を取り始め。
33分井上が左へミドルパスを送ると、受けた山中がワントラップから中央へさらにミドルパスを送り。
そしてユンカーがワントラップでエリア内を突いてシュートしますが、ゴール左上へと外れ。

以降、単独突破は厳しいが、左足でのクロスという絶対的な武器がある山中にいかにボールを託すかがテーマとなり。
終盤になり鹿島の攻勢が止み、その課題に取り組み始める名古屋。
井上縦パス→ユンカーポストプレイで左の山中に出したり(40分、カットされる)、下がって受けた森島がサイドチェンジ気味に直接山中に送ったり(41分、その後クロスに辿り着きパトリックがファーで折り返すもシュートは撃てず)と、工夫を凝らして攻め込みます。

こうして左からの攻めを作ったうえで、44分には逆の右から好機。
今度は久保は突破では無くダイレクトパスを選択し、更にパトリックのダイレクトでのスルーパスで奥を突き、走り込んだユンカーがさらにヒールパスとワンタッチでの繋ぎ。
受け直した久保がポケットへのパス、そして追い越したユンカーがシュート(ブロック)、跳ね返りをさらに稲垣がミドルシュート。(ブロック)
さらにその後左ポケットを突いてクロス(ブロックされCKに)と、この試合初めてといってもいい波状攻撃を掛けましたが同点弾は生まれず。
結局0-1のまま、前半終了の運びとなりました。

後半開始の前に、リードしている鹿島の方が動き。
土居→藤井に交代し、右サイドに入る藤井により樋口がトップ下へ移動と、微調整を経て迎えました。

ボールが右往左往する入りを経て、後半2分の鹿島。
中盤でこぼれ球となった所を濃野ダイレクトで縦パス→樋口ポストプレイ→藤井右奥へ切り込みと、トランジションを制して作られる好機。
藤井からのマイナスのクロスは繋がらずも、拾った久保がキープできずに仲間が左ポケットで奪って尚も継続。
戻しを経ての安西のクロスが中央を突くと、ディフェンスとの競り合いを制してヘディングシュートを放ったのはチャヴリッチ。
ゴール右へと突き刺し、後半開始早々の追加点を齎しました。

一方久保の球際の軽さと、CB2人(三國・井上)掛かりでもチャヴリッチに競り負けるという、スタメンの時点での懸念が噴出してしまった名古屋。
その後も良い所無く、鹿島の強度の高さに苦しみ、中々自陣から脱出できない状態を強いられます。

よって、再び攻めの形を作る作業から始めなければならず。
10分の鹿島の左CKからも、クリアしきれず散々に繋がれた末に、最後はチャヴリッチのボレーシュートがジャストミートせず命拾いに終わり。
すると直後のゴールキック、短く繋いで組み立てる体勢を取り。
鹿島が前に出て来るや、戻し→GKランゲラックのロングフィードで前へ送り、和泉フリック→ユンカー→山中と繋ぎ。
奏功すると思われましたが、山中が藤井に奪われて好機は生まれず。

このショートパスからのビルドアップに活路を見出す思惑が見られた名古屋。
しかし直後の12分、井上がパスミスを犯し奪われる失態を演じてしまった(その後鹿島は作り直しを選択)事で、好循環を齎せずとなります。

何とか流れを変えたい名古屋ベンチ、15分に久保・パトリック→中山・永井へと2枚替え。
前年までの主力の永井、早速そのスピードで中山のアーリークロスに猛然と走り込むという具合に、重苦しい雰囲気を変えようという姿勢を見せ。

しかしその効果が表れる前に、17分に鹿島の自陣深めからの右スローインでの攻撃。
名古屋の前掛かりな姿勢を濃野ミドルパス→チャヴリッチ収めでひっくり返すと、樋口とのワンツーを経てドリブル突破の体勢に入るチャヴリッチ。
ポケットまで一気に切り込む彼に対し名古屋は三國が必死に追走するも、最後は転倒してしまった事で、他選手まで引き付けられてのクロスという決定打を許し。
そしてフリーで仲間がヘディングで合わせ、ゴールネットを揺らします。

ホームの場で3点ビハインドと、屈辱感満載で残り時間を過ごす羽目となった名古屋。
20分にさらにベンチが動き、山中・和泉→小野・倍井へと2枚替え。

これにより倍井が左ワイドに張るのが常態となる名古屋の攻撃。
彼の突破力を盾として他選手が動くという、泉澤(大宮)システムのような形に活路を見出す事となります。
一方の鹿島も交代カードを切り、24分に濃野・チャヴリッチ→須貝・鈴木優磨へと2枚替え。

26分、最終ラインが持つなかで倍井が左ワイドでパスを受ける体勢に。
すると三國は一気にロングパスで飛ばすのを選択し、倍井の前に走り込んでいた小野がこれを受け。
そして永井がクロスに辿り着くという具合に、新たなシステムによる崩しを図ります。
これで流れが来るかと思いきや、直後の27分に再び三國のパスミスで自陣で奪われるという失態。
カットした鈴木優がそのままミドルシュートを放つも、ふかしてしまい4点目はならず。

良い形が出来るかと思われた矢先に、最終ラインのパスミスで雲散霧消という流れを繰り返す名古屋。
余程2失点目の、競り負けのショックが大きかったと思われる三國・井上の2名。(シーズン前の練習試合では井上が中央・三國が左CBだったらしく、この試合ではあえて逆にしたのが悪かったという説があり)
35分に最後の交代を敢行、井上が退き吉田を投入する事となり。

その後も鹿島の強度に難儀する時間が続き。
37分には自陣から左スローイン→ユンカー落としを経て、永井→森島→野上→中山と繋いで逆サイドへ展開。
こうしたターゲットの利用で何とか好機を生み出す事が、逆に苦しさを醸し出している風であり。
ここから中山が奥へ切り込んでクロス、跳ね返りを稲垣落とし→野上ミドルシュート(枠外)と、久々のフィニッシュに繋げましたが実る事は無く。

一方、悠々と逃げ切り体制に入る事となった鹿島。
40分に仲間→ギリェルメ・パレジへ、43分に知念→名古へ交代と、着実に(相手の)投了の体勢を築き上げ。

終盤名古屋は何度か倍井が左奥を突く場面が見られ、今後の光明となりましたが、それだけといった感じ。
結局フィニッシュが生まれる事は無く、最後まで閉塞感を振り払えないまま試合終了の時を迎える事となりました。

尚この試合は、奇しくもJリーグ初年度と同じカード。
今季ヴェルディがJ1に上がって来た事で、開幕節でヴェルディvsマリノスのカードを作りたかったという節が感じられる、リバイバルの流れに乗っかった組み合わせであり。
当時(1993年)のこのカードは5-0で鹿島の大勝となり、以降両クラブのその後の歩み(鹿島=1st優勝→黄金期へ・名古屋=低迷期へ)を決定付けるものとなりました。
この試合も内容・スコアともに鹿島が圧倒したと言っても良く、今後あの時のような明暗を分ける一戦となり得るかどうか。

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