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Scientific Boxing

国内、海外のボクシング界の状況や試合の観戦記などを絶対的主観で書き綴るブログ

観戦記~WBAバンタム級~

2011年12月10日 | BOXING

王者:アンセルモ・モレノ vs 挑戦者:ビック・ダルチニヤン
試合結果:モレノ判定勝ち

●所見~モレノの場合~
管理人的にこの選手の評価は非常に高いが唯一疑問があった。
それはタフネス。
蓄積のダメージでは無い。
何故ならパンチを多く食わないから。
一発パンチをスパーンと食った時のダメージによるものだ。
それを証明するにはこの相手がうってつけ。
それでも7:3で王者予想だが。
そしてその予想通りに展開した。
序盤に危うさは感じられたがそれは相手の左フックによるもので本人によるものでは無かった。

いつも書いているが尻をクイッと引いたスタンスで後に歩きながらジャブを打ち、パンチを交わしている。
フットワークはスリ足、ステップで無く、大きな歩幅で後ろに歩いている。
相手の踏込みにより前足が交錯する事もあるがバランスを崩す事は余り無い。
それは尻を引いたスタンスによるものだろう。
足腰と軸をしっかりと決めたスタンスは片足が崩れるとバランスを失うが、スタンダードを崩したスタンス
は崩れを想定しているので崩れ難い。
この選手はまさにそれで尻の引き具合が良いバランスとなっているのだろう。

後半は攻撃的になり、普段見られないワンツーからアッパーの強振も出た。
ディフェンスが良過ぎる選手は攻撃を過少されがちだが余り出さない、或いは強調されないだけ。
攻撃的センスがあるから自身のディフェンスが良くなるのだ。
あのディフェンス王、P・ウィテカも攻撃モードの時は鮮やかKOを見せた。

●所見~ダルチニヤンの場合~
引き腕のフック、ストレートをサンデーパンチとする選手は多いが
( 例えばL・ホームズ、JM・コッジ、LH級のM・スピンクス、尾崎 ( 富士雄 ) 氏 ) 、
どの選手も上質なジャブを持っていた。
基本的に引き腕のフック、ストレートが決まのはジャブありき。
ジャブで相手のディフェンスを崩し、タイミングを計り、距離を測る。
この選手はどれもやらない。
何時でも打ち込める構え、態勢からプレッシャーをかけ、打ち下ろし気味に思い切り打ち込む。
足腰のバネは余り使わず上体のパワーで打っている。
日本人の様なモンゴロイド人種には無い先天的な上体のパワーがあるから出来るものだ。
例えば総合格闘技でマウントを取った選手が打ち込むパンチで欧米、或いはブラジルの選手のそれは
強烈なパワーを感じさせるが日本人などはポコポコ叩いている様にしか見えない。
上体のパワーが違うからだ。

B級ではそのパワーのスケールがやや落ちた感がある。
F~SF級で強烈なKOを演出したのはその階級では超抜の威力で、左の威力がフェイントにも見えない
プレッシャーにもなっていたからだろう。
ジャブを打たず、左を打ちたいのならば構えをオーソドックスにしてみてはどうだろうか?
今更変えるのは無理だろうが ..。
左利きで左が強ければ前に置いた方がより決まり易く、連打も出る。
J・フレージャー、吉野 ( 弘幸 ) 氏、等はそのスタイルで左フックしか打たなかった。
( 信じられない程に左フックだけ )
恐らくこの選手がオーソドックスに矯正し、トレーニングで完璧に仕上げたとしても試合になったら
本来の姿に戻ってしまうのだろう。
7、8R辺り、左が当たらない苛立ちから 「 あぁ、またか 」 の表情がこの選手の今後を表す様に思えた。  

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