Scientific Boxing

国内、海外のボクシング界の状況や試合の観戦記などを絶対的主観で書き綴るブログ

観戦記~バフラム・ムルタザリエフ vs ティム・チュー~

2024年10月25日 | BOXING
IBFスーパーウェルター級タイトルマッチ
王者:バフラム・ムルタザリエフ vs 挑戦者:ティム・チュー
結果:ムルタザリエフ3RKO勝ち

■分析~ムルタザリエフの場合~
ロシアでは髭面が流行っているのか?
ロシア人ぽく見えないな。
華奢に見える体躯は昔ながらのジワジワ型のウェイト方式なのか。
左フックは肘を上げて力を入れて打つ。
相手が早々に効いたから後は攻撃を強めるのみ。
強い王者と評価されるには更なる実績が必要。

■分析~チューの場合~
2R、3度目のワンツーに左フックを合わされた。
湯場海樹 vs 佐々木尽と被る。 ( 湯場親子にとって”佐々木”名は鬼門なのか )
早々に芯に残るダメージを食っては後の構築が難しい。
同じオージーのジェフ・フェネックがアズマー・ネルソンⅡの1R食った右フックのダメージと被る。
ボクサーの1敗の大きさ。
Zボーイズの敗者と被る。
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観戦記~アルツール・ベテルビエフ vs ドミトリー・ビボル~

2024年10月19日 | BOXING
WBA・WBC・IBF・WBOライトヘビー級タイトルマッチ
WBC・IBF・WBO王者:アルツール・ベテルビエフ vs WBA王者:ドミトリー・ビボル
結果:ベテルビエフ判定勝ち

■分析~ベテルビエフの場合~
ソリッドパンチャーのようにヒットポイントにインパクトを設けて打つものでなく、
パンチの軌道のどこで当たってもインパクトとなる。
フックを打つ時の肩から大胸筋にかけての肉筋の躍動は鋼のワイヤーでも入っているかのようだ。
その筋肉はウェイトトレーニングで作ったものでなく、原始的な投擲、例えば円盤投げ砲丸投げとか。

ジャブによる距離の測定が巧く、修正しながら戦っている。
どのパンチも硬質で重いので意図的なコンビネーション、構成を築かずともシンプルな攻撃で攻勢を取れる。
とは言えロッキー・マルシアノのようなシンプル過ぎるものではないが。
相手も巧かったのでガードを崩された。
フェイントで崩されたのでなく、攻防の中で空いたところを狙われ食っていた。

■分析~ビボルの場合~
オスカー・デラホーヤがvsへナロで披露した3次元ディフェンス。
顎を引き上目使い ( これ重要 ) 、オンガードでの左右ステップ、前後ステップバック、そして上下ダッキング
それらの融合。
管理人的にこのスタイルは完成型のひとつで将来トレンドになると予想したが、そうでもなかった。
身体能力で劣る日本人など効果的に思うが。

3次元の中でコンビネーション、連打後のダッキング、あるいはその逆、が効果的だった。
右フックはブロックさがちだったが左フックは相手の顎、テンプルにヒットしていた。
5R終盤の右ストからの左フックはカウンターとなり、クリーンヒット ( ダメージングヒット ) となった。
その左フックは軸を回転させず、右腕を残して左肩を回す打ち方でパンチを効果的にしつつ、続くどの行動にも有効に進む。
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観戦記~中谷潤人 vs ペッチソー・チットパタナ~

2024年10月15日 | BOXING
WBCバンタム級タイトルマッチ
王者:中谷潤人 vs 挑戦者:ペッチソー・チットパタナ
結果:中谷6RKO勝ち

■分析~中谷の場合~
生まれ持った天賦の才。
それを評価される者は 「 努力の結果 」 と憚らないが
強大なアドバンテージ。

■分析~ペッチの場合~
バンザイKO負けのタイ人。
ポーン
パヤオ
ジョムトーン
そしてペッチ

その瞬間は、歪んだ視界、レロレロな顎、背中にマットの冷感。
「 あ~気持ちいい~ 」とやら。
クォーリーフジにKOされたボクサーが語っていた。

■PS
サウス vs サウスてのはScienceが見えない。
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観戦記~アンソニー・オラスクアガ vs ジョナサン・ゴンサレス~

2024年10月14日 | BOXING
WBOライトフライ級タイトルマッチ
王者:アンソニー・オラスクアガ vs 挑戦者:ジョナサン・ゴンサレス
結果:1RNC?

■分析~バッティングによる終了~
1分も経たずの試合は通ならばへナロ vs ヒバロを思い出すだろう。
あの試合は全く交錯ない内に終わったが
この試合は2分足らずでも見るべきところはあった。
いかに見るべき価値を捉えるか、も通である。
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観戦記~田中恒成 vs プメレレ・カフ~

2024年10月14日 | BOXING
WBOスーパーフライ級タイトルマッチ
王者:田中恒成 vs 挑戦者:プメレレ・カフ
結果:カフ判定勝ち

■分析~田中の場合~
パンチは軽いが攻撃は多彩。
考えながらできて、本能でもできる。
しかし有意義な攻撃をしても体の小ささとリーチの短さ、顔が前に行き急所が空くところがビハインド。
少しばかりタフで我慢強いので激闘ではドランク状態に見える。
数年前の勝利後、車椅子で会場を後にしたが今もそのスタイルなのだ。
6Rダウン後の7Rボディ集中攻撃で観衆が各パンチに 「 オーゥ、オーゥ 」 とシンクロする光景はタイの歓声を見るようだ。
健康を顧みないボクサーは感情移入してしまうが見ていて切ない。

■分析~カフの場合~
1R見た瞬間、プロポーション、スタイルから長谷川氏に挑戦した同じアフリカンのペチェカを思いださせた。
同様に消極的戦法かと思わせたが左フックをカウンターで積極的に狙うスタイルだった。
長身で手足長い選手の左フックはバランス崩し易いと言われるが、この選手は広いスタンスで腰を落とし腰を入れて打つので崩れない。
スピード、キレもありタイミングも良く、軌道を守り当て急がない。
右も打った後、ヒットしても空振りしても戻したスピードのままにハイガードに戻すところも徹底されている。
おそらく整った環境でトレーニングできて性格も素直なのだろう。
ハングリーを維持したならばソウェトあたりから大きな尊敬を得られるだろう。
一瞬の快楽に溺れたならば20年後はソウェトのトタン屋根で眠ることになろう。
あるいはセコンドのジェントルマンらに採取されるか。
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観戦記~井上拓真 vs 堤聖也~

2024年10月13日 | BOXING
WBAバンタム級タイトルマッチ
王者:井上拓真 vs 挑戦者:堤聖也
結果:堤判定勝ち

■分析~井上の場合~
相手を舐めてもなく甘く評価もなかっただろうが、余裕を見せたかったか。
1Rアッパーをクリーンヒットしたりで、よい立ち上がりだったが乱戦に引き込まれた。
ボクサータイプの場合、立て直しが難しい。
シュガーレイ・レナード vs ロベルト・デュランⅠで中盤あたりから抜け出せなくなった。 ( 2R効かされたのもあるが )
序盤はロープを背にボディワークとL字ガードでフロイド・メイウェザー vs フィリップ・ヌドゥ5Rのようなディフェンスを見せたが
その辺も余裕を見せたかったのだろう。
やり過ごしている内に効かされ、スタミナ消耗し、焦り、ジリ貧となった。
終盤は何度も上方に目を向けていたのは時計を気にしていたのか、モニタで自身の顔の状態を確認していたのか、注意が散漫だった。

■分析~堤の場合~
入場曲 " born to be wild " はいいね。
誰もが知る曲の方が盛り上がる。
ラウンド重ねるごとに乱戦に巻き込むのは真骨頂。
死に体のようなバランスからすぐに立て直し、その態勢からパンチ打てる体幹はボクシングを超えて体操選手、いや曲芸師のようだ。
タフネスも相当なもので顎、テンプルにまともに食ってもカウンターで食ってもバランス崩した後、すぐに戻る。
先天的な要素は大きなアドバンテージであり、頑丈に生んでくれた両親に感謝すべし。

目にかかりもしない前髪をシャカシャカかき上げる癖は愚行の極み。
その先駆者が両国でKO食らった瞬間は館内拍手大かっさらいだった。

■PS1
グローブ、トランクス、シューズと両者黒。
その辺は選手ファーストにする意味などないだろう。
マイク・タイソンが世界初挑戦で黒のトランクスを譲らず5万$払ったとか金が動くなら仕方ないが。

■PS2
カネロは残っていたんだね。
意外に律儀だのう。
アメリカ人なら用が済んだらさっさと帰るし。
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観戦記~寺地拳四朗 vs クリストファー・ロサレス~

2024年10月13日 | BOXING
WBCフライ級タイトルマッチ
寺地拳四朗 vs クリストファー・ロサレス
結果:寺地11RTKO勝ち

■分析~寺地の場合~
八の字ガードでボディがら空きだが前後ステップワークで相手にボディストレートを打たせない。
3Rの右カウンターはラッキーでなく狙ったものでもなく、交錯の中で優位性を認識した上でのナチュラルカウンター。
3R終了ゴング前、もう一発打ち込んでダメージ与えたく、コーナーに追い込んだが相手がデカすぎて攻め手を失った。
リディック・ボウvsイベンダー・ホリフィールドⅢでボウに痛烈なダウンを与えたがその後、攻められなかったシーンと被る。

相手がサウスポーにスイッチは想定外だったのか、とたんにジャブが出なくなったのが興味深い。
相手がロングレンジから打つオーソドックスからのワンツー、サウスポーからの左スウィングは立ち位置を誤ると
大きなトラブルに陥る危険はあった。
それにしてもストレート系のコンビネーションは素晴らしかった。

■分析~ロサレスの場合~
開始早々、ジャブのスピードの無さに驚いた。
これでは長リーチはアドバンテージとならない。
長い腕と高いガードで顔面に隙は無さそうだが正面からガンガン食っていた。
相手のフェイントで空パリングでガード崩されたのだろうが。
3R効かされ4Rスイッチしたのは苦し紛れと思ったが意外にサウスポー巧い。

リングサイドの女性が良く通るスペイン語で 「 バモバモ 」 と連呼していたが
試合中のボクサーにかける声はシンプルな単語がよい。
「 ガードガード、 ジャブジャブ、距離距離 」 など
脳で理解を必要とする具体的な指示は逆に混乱する。
鬼塚氏がvsカストロで 「 鶴さん。左左、それだけ言って 」
鶴太郎は 「 左左、オニ、左よ左 」 12Rそれだけ言っていたらしい。
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観戦記~ユーリ阿久井政悟 vs タナンチャイ・チャルンパック~

2024年10月13日 | BOXING
WBAフライ級タイトルマッチ
王者:ユーリ阿久井政悟 vs 挑戦者:タナンチャイ・チャルンパック
結果:阿久井判定勝ち

■分析~阿久井の場合~
顎を引いたハイガードフォームからのコンパクトな右、地を這うようなシフトウェイトでの左フックは軸がブレずスピードもある。
しかし何故か相手の額あたりにヒットする。
相手が長身を踏まえてトレーニングしたのか、相手がそうさせたのか。
額へのヒットは相手の頭が後方に弾け飛んだりして見栄えは良かったりするがダメージは与えられない。
同じフライ級の寺地の右ストレートを比較しても肩の入れ、伸びがない。 ( フォロースルーとはやや違う )

入場のいで立ちは宣伝で報酬発生するなら仕方ないが趣味ならばマイナスだわ。
ローカルジムだからアピールは必要だけれど。

■分析~タナンチャイの場合~
下がりながら、サイドにサークルしながらのジャブはクラシカルだ。
もしも相手も同じスタイルならば70年代15R制のボクシングのようになるだろう。
体の撓いが利いて防御に効果をもたらせている。
防御とは言え、食ったダメージを撓いで逃がしている、て言うか吸収するものだが。
その撓いを攻撃に転じたならばフェリックス・トリニダードのようなパンチになるかも。 ( それは無いか )
現在空前のバーツ高だからタイのプロモーターがオプション買い取ればチャンスありそう。
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観戦記~ダニエル・デュボア vs アンソニー・ジョシュア~

2024年09月22日 | BOXING
IBFヘビー級タイトルマッチ
王者:ダニエル・デュボア vs 挑戦者:アンソニー・ジョシュア
結果:デュボア5RKO勝ち

■分析~デュボアの場合~
相手はストレートパンチャーなので両腕を前に置いたガードポジションは理に適っている。
打たないジャブのフェイント、打つための右手のフェイントは効果的。
1Rテイクダウンは追いながらの右で、村田氏がデビュー戦のそれと同様。
終始アグレッシブなスタイルを選択したのは作戦だったのか、それが奏功した。
5Rコーナーを背に
1発目のカウンターはストロークをつけて筋力を利かせ
2発目のカウンターはウェイトを乗せて合わせた。

両者の体格体形およびスタイルの比較から91年のレノックス・ルイス vs ドノバン・ラドックを彷彿させ
結果も似たようなものを予想したが逆だった。
レノックスが両者と戦ったならばレノックスKO勝ちしかイメージできない管理人は懐古の極みか...

■分析~ジョシュアの場合~
弱気になると明らかに動き、表情に表れる。
ボクサーとしては大きなビハインド。
相手はパンチャーでカウンター巧く、狙っているのを判ると攻め難くなるが、戦いながら手段を模索する術が上手でない。
3R交錯するタイミングで右アッパーを狙ったが空振り。
3R相手のジャブの引きに右ストレート合わせたが浅い。
どれも腰が引けているからクリーンヒットしない。
5R相手が効いて攻めに行ったが慌てている。
メンタリティはボクサーに向いてなかったか。

英国は世界戦線にボクサーがどんどん出てくる。
競技志向の人民が球技などでなくボクシングを選択する意図はどこにあるのだろう。
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観戦記~佐々木尽 vs カミル・バラ~

2024年09月05日 | BOXING
某ウェルター級タイトルマッチ 
王者:佐々木尽 vs 挑戦者:カミル・バラ
結果:佐々木7RTKO勝ち

■分析~佐々木の場合~
一流選手のスタイルを取り入れるのは悪くはない。
それを実践できるのはセンスである。
80年代はそんな日本人ボクサーが多くいた。
タイソンのボディからアッパー
レナードが右手を上げてから踏み込んでの右フック
フレージャーのボビング
まさかのハーンズのフリッカー
サンチェスのアフロ
など、その時代は如何にもモノマネだったが現代はリアルコピー。
この選手は誰をイメージしているのか。
打たせるのはこのままでいくのだろう。
て言うか、本人は打たせてる打たれてる感はないのだろうが。
前記事でも言ったが王者への挑戦よりも決定戦に持ち込めば史上初が見えてくる。

■分析~バラの場合~
筋骨隆々の体形がボクシングに必ずしもアドバンテージにならないのは40年前にも知れたこと。
フランク・ブルーノの対戦者が後に 「 あの体を見て戦意が半分削がれたね 」
そのブルーノの挑戦を受けた時のヘビー級王者ティム・ウィザスプーンは
「 ボクサーとしてどんなもんなんだい? そんなに筋肉つけたきゃ顎につけたがいい 」 と皮肉った。
両者スペックは同等だったが各要素の利は全て王者にあった。

この選手は生計の主はインストラクターであるらしい。
如何にもフィジカルトレーナーぽい。
体つきを見るに十種競技の選手のようだ。
戦前はその筋肉と余裕な言動から強者感あったがボクサーとしては評価通りだった。
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