王者:アミア・カーン vs 挑戦者:ラモン・ピーターソン
試合結果:ピーターソン判定勝ち
●所見~カーンの場合~
先行逃げ切りタイプと言うよりも序盤にペースを取り、Rを重ねて行くタイプで、1Rからそのスタイル
で明確にペースを取った。
その1Rはブレークの離れ際に襲い掛かる程、攻撃的だったが荒々しく無く、強引でも無く、
とにかく積極的だった。
相手の鈍間状態も手伝い、4R辺りに決着するのか? と思わせたがそうも簡単に行く訳は無い。
中盤以降、相手のプレッシャーをもてあます事になる。
大きくサークルするが結局詰められ、ロープに押し込まれるのはステップ技術が足りないからだ。
SR・レナードvsR・デュランⅡ、F・メイウェザーvsD・コラレスで勝者が相手の強烈なプレッシャーに
対して後手にならなかったのはステップにあり、例えば一方向にサークルし、距離が詰まると思いきや
グッとブレーキをかけ、逆方向に切り替える。
すると相手は置き去りになる。
カーンはそれが無い。
大きなサークリングは一方通行で相手に読まれていた。
相手のプレッシャーが想定以上だった事もあるだろうが、試合の中で対応する能力もこのレベルに
なると問われる。
しかし、ロープに詰められても長いリーチが小さい顔とレバーをスッポリ隠し、クリーンヒットは思いの他
食って無かった。
スーパースターになる事は難しい。
スーパースターを育てるのも難しい。
スーパースターになる選手を予想するのも難しい。
●所見~ピーターソンの場合~
相手の序盤の動きの良さに比べ、こちらはスロースタートもいい所。
何をチンタラ戦っているのかとヤキモキした地元ファンも多かったに違いない。
しかし、中盤以降のプレッシャーは圧巻。
特に7R、相手のサークリングの方向に合わせ、駆け足でグイグイと距離を詰め、ロープに押し込む
攻撃は効果的だった。
あの様なプレッシャーはスタンスを崩し上体を起こしていいるので相手がコツンと出す右ストでストーン
と尻餅するリスクがあるがクラウチングは失われていなかった。
惜しむらくはロープに詰めてもダメージを与えられなかった事。
右フックをボディから上へと強烈に放ってはいたが急所に入ってなかった。
時にアンダー・ザ・イヤーを狙ってフックの弧を大きくしていたが、ラビットを恐れたのか、
打ち方がしっくり来なかったのか、その後は余り出さなかった。
終盤は顔が相当腫れていたが序盤に相手のソリッドパンチをしこたま食った証拠。
中盤以降に食ったならば勝利者インタビューは綺麗な顔でいられただろううに。
●所見~レフェリーの場合~
ポイントが際どい事は誰から見ても明らかで間近で見るレフェリーならば判っていた筈だ。
だから12Rのカーンの減点は解せない。
相手にダメージを与えるもので無く、悪質な部類でもない。 ( 1回目も同様 )
あの減点で試合が決まってしまった様なものだ。
例えばFIFAの主審はレッドカードを出すにあたり、同チーム内での3枚目以降は躊躇し、極端に悪質で
なければスルーもするらしい。
人数差があり過ぎ競技が成立しなくなるからだ。
ボクシングのレフェリーも試合の流れを察し、スルーする器量、或いは ” 計らい ” があっても良いと思う。