Scientific Boxing

国内、海外のボクシング界の状況や試合の観戦記などを絶対的主観で書き綴るブログ

観戦記~エイドリアン・ブローナー vs マルコス・マイダナ~

2013年12月15日 | BOXING
WBAウェルター級タイトルマッチ
王者:エイドリアン・ブローナー vs 挑戦者:マルコス・マイダナ
試合結果:マイダナ判定勝ち

●所見~ブローナーの場合~
十分に有り得る内容、そして結果と思われたが、まさかそれが現実になるとは。
L字ガードはガード上に打たせるので前戦の様にパンチが軽い相手ならば構わない所はあるが、
この相手の様な重量系パンチには腕が痺れ、内臓にダメージを受けるだろう。
また、F・メイウェザーの様にフット&ステップワークが豊富で無く、1R相手のラッシュに急な
対応が出来なかった。
2R左フックを食いダウンしたがL字ガードは左ショルダー、スウェイありきのディフェンスで
そのスウェイの目測を誤った様に見えた。
SFe~L級では相手の体格から左フックの軌道を把握し、スウェイ出来たがW級ではまだ相手の
体格への対応が自身の感覚に馴染んでおらず、
更にはこの相手が左フックの軌道を変化させてきたので余計に目測を誤った感じ。
4~7Rはペースを戻した様に見えたが相変わらず左フックに対するスウェイは際どいタイミング。
そして8R再び食った。
2R同様にダブルの2発目。
攻撃は良い所もあり、この相手には下がり距離を置くよりも敢て詰め先にパンチ打つ戦法が有効で
実際、それを実行し、何度か良いパンチを当てたが決定的ダメージングブローにはならなかった。
相手が頭の位置を多く変化させた事もあるがW級ではパンチを効かせるヒットポイントが馴染んで
無いからだろう。
11,12Rは右ショート左フックをクリーンヒットしたがダウンを取れる程では無かった。

この試合で証明したものは?
タフネスは有るのか無いのか。
パンチも有るのか無いのか。
スピードはあるが活かす術は有るのか無いのか。
8R演技力は無かった。

ひとつ言える事はメイウェザー2世は現れない、て事か。

●所見~マイダナの場合~
1Rから凄い攻撃。
この選手のパンチの質はロイヤル氏がW・ゴメスのそれを称した ” 柔らかく重い ”
体の柔らかさから繰り出す各パンチは変化があり、
右は絞った上体から回転を利かせ真直ぐ打つもの、
序盤に多く見られたショートレンジで上から真下に叩き落とすもの、
ミドルレンジで肩肘を柔らかく使い角度を変え打つフックと相手はディフェンスを迷わされる。
左フックも肘の曲げ角度を変化させ、距離を変える。
意図的に変化させるとパワーを損ないがちだが関節の柔らかさにより損なわ無い。
ディフェンスではロープを背にしても頭の位置を常に移動し相手の右アッパーを殆ど空振りさせた。
また、攻撃に迫力が有り過ぎ、相手も腕が伸びきって無かった。
それは強者が持つ見えない圧力だ。
この日はラックング、パンチングとパワーが漲り、後半動きが落ちる心配もあったが杞憂だった。
管理人的に意外な大差だったが勝利は間違い無い。

しかし何と言う試合だろうか。
80年のモントリオール、R・デュランがゴールドメダリストを乱戦に引摺り込み判定をものにした
試合があったがそれと遜色無し。
パナマ同様にアルゼンチンでは今後この日付が国民の休日になるかもしれない。
それ程偉大な勝利だった。 ( ちと大袈裟か )
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12 コメント

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ブローナ― (hanasora)
2013-12-15 15:36:37
膝がぐらつく強烈なダウンをとられながらも3R以降持ち直すところはやるなと思いました。マイダナはやはりパワーがありましたね。ダウンとってからのラッシュが行き過ぎて後半バテたのは仕方ないところでしょうか。
それにしてもブローナ―。メイと比較されますが、L字であんなに左フックを食っては…。L字の意味がありません。管理人さんおっしゃるように体格による距離の測定がなってないのかな。ガルシアとやったら、左フックを12R被弾せずに済むでしょうか。。。
Unknown (デマーカセコーキー)
2013-12-15 15:52:22
メイvsモズリーの2ラウンドが一瞬脳裏をよぎりましたが、結果は違うものになってしまいましたね。
メイは事も無げにその後ペースを掌握してしまいましたが本日は皮肉にもやはり本家の次元の違い、底力を再確認してしまいました。
Unknown (ok)
2013-12-15 21:31:47
本家ならどういうボクシングをするのかマイダナメイウェザーが見てみたくなりました
Unknown (シオウユニ)
2013-12-15 22:08:26
面白い試合でした

現メイと比較するとやはりディフェンス技術の差
引き出しの差はあったかと思います

23歳の段階のメイが同様に
マイダナのような破壊的で柔軟性、回復力のある相手と相対していたならば同じ結果があり得たのか。

叶わないですが楽しい考察です

Unknown (ジョー)
2013-12-16 01:45:15
ブローナー負けましたね!1Rを見た感じでは、負けそうな予感が走ったのですが、まさかそのまま本当に負けてしまうとは・・・
管理人さんの言うとおり、フットとステップワークが本家と違ってなかったですね。
メイのすごさが改めてわかる試合でもありました。
これでマイダナがキースサーマンとやったら強打同志なので楽しみです。
Unknown (鶏肉)
2013-12-16 20:57:37
メイはコラレスに芸術的な域で完勝しましたしね
ただそのメイにしても階級を上げた直後ではあまり
調子が出ていなかったと思います

飛び級した上であのなめくさった姿勢では
いずれこう言う結果になるのは必然だったとも言えるかも

素材としてはまだ格別とは思いますが
今後の動向しだいでしょう
Unknown (管理人)
2013-12-16 21:39:07
>hanasoraさん
12R見直しましたがブローナーは3R以降の前半、そして終盤と、よく立て直したと思います。
チャラチャラしてますが朝走り、2時間のトレーニングと、仕事はしっかりしているのでしょう。
L字は長所ばかりクロースUPされますが、今後は短所も明らかになるかもしれません。

>デマーカセコーキーさん
コメントはこっちですよね。
勝ち続ける事が如何に凄く、難しい事であるかを改めて認識しました。
やはりメイは凄いのですよ。

>okさん
この勝利でメイの対戦者候補に急上昇の筈です。
メイの次々戦ですかね。
メイは次戦が誰だろうと勝つでしょうが
もしもその間にマイダナが試合をするならばクレバーな選手は避けるべきです。
寧ろ試合せずにvsメイに絞った方が良いでしょう。

>シオウユニさん
差は感じました。
ブローナーはメイにはなれないと思いました。
メイの23歳はまだSFe級でしたね。
ブローナーは急ぎ過ぎた感があります。
L級からW級に転向した同例のR・デュラン、S・モズリーも数試合チューンUPを行ってますから。

>ジョーさん
1,2Rを見るにKO負けも有り得るかと思いましたが、よく持ち堪え、立て直したと思います。
ブローナーにメイの様なフットワークが無いからエキサイティングな試合になったと
思う所もあります。
サーマンの現在は誰かの前座に肖る程度です。

>鶏肉さん
現代は階級をどんどん上げる事がトレンドになってますが、やはりリスクは大きいです。
ブローナーの今後は負けた事により、プロモーターとしても使い勝手が広がったと思います。
私はvsパッキャオがある気がします。
Unknown (ゲート)
2013-12-16 23:32:17
元来、攻撃寄りの気質、スタイルだと思いますね、オンガードの方が迫力ありましたし
兄貴分のスタイルを追い求めるよりスピードとパワーを活かす方が絶対強いです
そのためにもスーパーライト、なんならライトに戻して出直した方が良いと思います
Unknown (アッパー)
2013-12-17 00:38:50
ブローナーは階級の壁を感じていると思います。
元々この選手はメイのコピーと言われてますが
この試合を観てトラブルに陥ったとき、劣勢になったときの3枚目が無く、フィジカルありきのスタイルなのでそれが通じなくなるこの階級が限界(現時点での)だったのでしょう。
Unknown (管理人)
2013-12-17 20:11:19
>ゲートさん
パンチングパワーはあると思われるのでスタイルによっては良くも悪くもなるでしょう。
ウェイトついて、寧ろW級に留まると思います。
本人も負けた要因にウェイトは影響無しと思っているでしょう。
L級はウェイインでのシェイプされた体を見るに考えられないです。

>アッパーさん
私もW級が馴染んで無いと思いますが、本人は現時点でW級がベストと思っている筈です。
階級下げた方が良いと言う考えは日本人のメンタリティです。
3枚目が無い、てのは判る気はします。
しかし、改めて見直すと1,2Rのダメージから本当によく盛り返したと思います。

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