浅井久仁臣 『今日の中東』

1971年のパレスチナ初取材から、30有余年中近東を見続けてきたジャーナリストが独自の視点をお届けします。

ガザで多数の死者

2005年01月17日 | Weblog
 イスラエル軍は15日、前日に完全封鎖したガザに侵攻、地元武装勢力との間で銃撃戦を行なっています。13日以来、これまでに18人のパレスチナ人が殺害されたとの情報があります。  完全封鎖の中での市民生活は、悲惨なものです。買物どころか、家に病人が出ても病院に行くことすらできません。子供達は学校に行けない日々が続きます。自爆攻撃や銃撃戦にマスコミの目が行きがちですが、そういったイスラエル軍の侵略の実態 . . . 本文を読む

アッバースが就任演説

2005年01月16日 | Weblog
 先に行なわれた自治政府議長選の当選を受け、ラマッラの議長府(ムカータ)で15日、就任式が行なわれ、アッバース議長はその席で就任演説を行ないました。  アッバース氏は演説の中で、イスラエルとパレスチナ双方が和平に向けて停戦するよう強く呼びかけています。ただ、演説を行なうアッバース氏に選挙戦で見せた元気は見られなかったとの事です。恐らく前日、イスラエルのシャロン首相が、アッバース体制が具体的な「テロ . . . 本文を読む

イスラエル政府 パレスチナとの交渉拒否

2005年01月16日 | Weblog
 パレスチナ武装ゲリラの検問所におけるイスラエル人襲撃事件は、イスラエルで大きな波紋を呼んでいます。これまでにも同様の事件は多くありましたが、アラファト前議長の死去に伴って選出されたアッバース議長への期待があっただけに、落胆は大きいようです。国際社会もそのような反応が少なくありません。  イスラエル政府は、ガザ地区を封鎖するだけでなく、外出禁止令を布き、「テロリスト狩り」に入っています。ガザ地区各 . . . 本文を読む

イスラエル軍 ガザを完全封鎖

2005年01月15日 | Weblog
 ガザのカルニ検問所で13日に起きたパレスチナ武装3勢力によるイスラエル人に対する自爆攻撃を受けて、イスラエル政府は14日、ガザとイスラエル、そしてエジプトを結ぶ3箇所の検問所を全て閉鎖しました。  これらの検問所はガザの住民にとっては生活物資を運び入れたり、西岸地区やエジプトに出かける「生命線」です。つまり、ガザの住民は、東京23区より少し広い地域に封鎖された状況に追い込まれたことになります。国 . . . 本文を読む

お粗末な議長選報道

2005年01月13日 | Weblog
 朝日新聞が今日になって、「議長選 投票率4割 改革に陰」と題する特派員報告を掲載しています。  その内容は、今回の選挙の総投票数は約77万5千票にしか過ぎず、有権者で割った投票率は約43%。アッバース氏が得票したのが約48万票で、自治政府の言う「住民登録台帳の実数130万人程度」という数字を基にして、「アッバース氏の得票は4割に満たない」としています。  堀内特派員よ、もう少し勉強しようよ。あな . . . 本文を読む

治安部門に大きな動き

2005年01月12日 | Weblog
 これまで多くの問題の根幹部分とされてきた、自治政府の治安機能にこのところ大きな動きが出ています。  治安組織の2人の実力者、ジャブリル・アル・ラジューブとムハンマド・ダハラーン両氏が議長選挙を機に会談、数年前からのギクシャクした関係の正常化をはかりました。  会談後、ラジューブ氏は議長顧問の職を自ら解くと明らかにし、その意図が、アッバース議長への配慮であると説明しています。額面どおりに取れば、確 . . . 本文を読む

イスラエル新政権 国会承認

2005年01月11日 | Weblog
 与党リクード党(右派。40議席)と労働党(左派。21議席)が組み、宗教政党のユダヤ教連合(5議席)が加わり、新たな連立政権が誕生していますが、イスラエル国会は10日、58対56の僅差で連立政権を承認しました。  これで2年3ヶ月ぶりに、大連立政権が誕生したわけですが、リクードの中には、シャロン首相の「ガザ撤退計画」に反対する造反派議員も少なくなく、前途多難といえましょう。 . . . 本文を読む

投票を助けたカーター元大統領

2005年01月11日 | Weblog
 パレスチナ自治政府議長選は、ほぼ無風状態で“無事”終了。穏健派のアッバース氏が60%を上回る得票を得たこともあり、安堵感に満ち溢れているかのように伝えられています。しかし、そういった報道の陰に隠れて、東エルサレムでは心配された事態が起きていました。124,000人の有権者のほとんどがイスラエル側に妨害されて午後2時半まで投票できなかったのです。  前にもお伝えしたように、イスラエルはパレスチナ人 . . . 本文を読む

アッバース氏、勝利宣言

2005年01月10日 | Weblog
 9日に行なわれた議長選挙の投票は、小規模のいざこざなどがあったものの概ね順調に運ばれ、予想以上の投票率になったと地元マスコミは報じています。  開票結果は今日中にも明らかになる見込みですが、各種出口調査によると、アッバースPLO議長が約7割の得票率を勝ち取っている状況で、他の候補を圧倒的に上回っています。それらの情報を受けて10日、アッバース氏は「勝利宣言」をしました。  確かに、出口調査の数字 . . . 本文を読む

今日議長選挙

2005年01月09日 | Weblog
 今日行なわれる予定の自治政府議長(パレスチナ側は大統領と主張)選挙に関しての簡単な説明をしておきます。  議長選挙は、十一月に死去したアラファト前議長の後継者を選ぶものです。アラファト氏は生前、自治政府、PLO(パレスチナ解放機構)、アル・ファタハ(自民党に相当)の議長職にありました。  PLOの指導者にはマハムード・アッバース前首相が、そしてファタハの指導者にはファルーク・カドウミ元PLO政治 . . . 本文を読む