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ありゃりゃサンポ

近現代の建築、町並みと橋が好き。
一日八千歩の散歩の忘備録。美味しいご飯と音楽と。
東京都全域をGPSで塗り潰し中。

自由学園明日館 講堂

2022年07月06日 | 建築&土木見物

池袋の明日館にリコーダーと木製のフルートだけで編成された合奏団のコンサートを聞きに行きました。
実際の所、コンサートはついでで明日館の講堂の内部をじっくり見てその響きを聞いてみたかったというのがメインの目的ですが。

自由学園明日館の本校校舎完成から6年後の1927(昭和2)年に遠藤新の設計により建てられました。
1921年に完成したF.L.ライト設計の自由学園の校舎の中央部分には集会室の目的で作られたスペースがありましたが、生徒数の急な増加でそこでは手狭になってしまったためです。
1921年と言うと帝国ホテルの工事がライトの完璧主義と頑固さによって暗礁に乗り上げていた時期です。
進まない工事や日本人への不満を鬱積させていたライトにとっては自由学園の仕事はストレスの解消の場にもなったのではないでしょうか。
講堂は1922年のライト帰国後に帝国ホテルの設計責任者となった遠藤新が、ライトの作った本館と同一のテイストとなるように仕上げたものです。

壁面周囲の縁取り、窓枠のデザインなどライトの設計をそのまま踏襲しています。
1951年に亡くなるまで、遠藤新の設計からライトのニュアンスが失われることはありませんでした。本当にライトに心酔していたのか、それが自分の「売り」と考えていたのか。

講堂は2017年に大規模な耐震補強工事が行われ、重要文化財としての価値と姿を残しながらも現代が求める機能を備えるようになりました。



奥に見える小さなテラス部分の飛び出た庇は遠藤設計の南大沢の自由学園女子部講堂葉山の加地邸に引き継がれています。

二階席への階段。

2階席からの全景。

凝った照明デザイン。

テラスから見る外。西武鉄道本社ビル、ダイヤゲート池袋が近い。

ステージ上の大谷石。これだけ大胆にステージに石が見えているというのは珍しいし見栄えがします。

コンサートで使われた珍しい楽器。木管のソプラノフルート。モレーンハウエル社のPicco。正しい音程で吹くのが達人でもかなり難しいそうです。

メックのサブバスリコーダー。一般には頭のはるか上にある吹き口にから細い金属パイプで口に持って来るのですが、これは吹き口自体を下方に捻じ曲げました。
金属パイプを介さない分音のコントロールがしやすいそうですが、見かけはほとんどアナコンダです。
ということで、音楽と建築と一度で二度おいしいイベントでした。
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