ありゃりゃサンポ

近現代の建築と一日八千歩の散歩の忘備録。美味しいご飯と音楽と。
東京都全域を徒歩で塗り潰す計画進行中。

石神井公園ふるさと文化館と旧内田家住宅

2020年09月18日 | 美術館と博物館

石神井公園の南側の傾斜地に建つシャープな建物。こちらが練馬区の歴史資料館として2010年に開館した練馬区立石神井公園ふるさと文化館です。
設計は山下設計。

巨大なガラスの壁面に石神井公園の緑を写して公園との一体感を図っています。

エントランス。一番奥に武蔵のうどんを食べさせる食堂がありました。

2階がメインの郷土資料館。練馬の地質、出土した石器や土器から始まりますが、それよりも多きな面積で大根に関する展示があるのが練馬らしい。
練馬大根、大根の漬け物がこの地にとっていかに重要な産業であったかが分かります。

もうひとつ練馬として特徴的なのは「ジャパンアニメーション発祥の地」としての練馬の紹介。
日本で最初のアニメーション制作会社である東映動画や日本初の連続TVアニメ「鉄腕アトム」が作られた手塚プロダクションが練馬にありました。
その後も次々とアニメ関連会社が練馬に結集し日本アニメの中心地帯となります。ちばてつやや松本零士など原作漫画家も多く練馬に居住しました。
練馬区としては文化と産業の両側面から練馬をアニメの町として様々な事業を展開しています。
上の写真は初期の東映アニメーションで使用されていた草創期のアニメーション専用のマルチプレーン撮影台。

45年前のくらし。私が中学3年の頃の生活はすでに歴史資料館に展示されるようなものになってしまいました。昭和は遠くなりにけり。

一番面白かったのがこちら。練馬区は東京23区の中で最後に誕生した区なのですが、誕生の経緯が唯一他の区からの独立だったのです。
それまで板橋区の一部だった現在の練馬区は大戦をはさんで20年以上にわたる独立運動の末、昭和22年にようやく区としての独立が認められます。
このため区制が発足した日のことを練馬区だけが23区で唯一「独立〇周年記念」として今でも他の区より盛大に祝っているようです。
板橋区民としてそんなことはちいとも知りませんでした。

ふるさと文化館と並びの敷地のふるさと池淵史跡公園。その中にふるさと文化館の屋外展示として明示20年代の民家が建っています。
練馬区中村で解体される2007年まで使われていた農家のものですが、状態も良く様式としても格式の高い物でした。

下座敷から右が前座敷、左奥が上座式。上座式との欄間の組子や藍色で染めた書院の壁など、普通の農家というより数寄屋的な文化趣味が漂います。

床の間の脇もご覧の通り。

土間に面した囲炉裏のある板間は曲がった松の梁が力強い。この部屋は解体時には和室に改装されていたのを明治期の状態に戻しています。
石神井公園に行く際にはふるさと文化館と旧内田家住宅もぜひセットで見て来て下さい。
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