ありゃりゃサンポ

近現代の建築と一日八千歩の散歩の忘備録。美味しいご飯と音楽と。
東京都全域を徒歩で塗り潰す計画進行中。

徳島県・うだつの町脇町から祖谷渓へ

2024年05月29日 | たびたび旅

二泊三日で徳島空港から徳島県、香川県をぐるっと回って来ました。徳島の地を踏むのはなんと2013年以来です。羽田7時発→徳島阿波踊り空港8時10分。

空港でレンタカーを受け取って最初に見に行ったのが吉野川橋。
徳島県は県公で「橋の博物館とくしま」サイトを運営する橋大国です。特に県を東西一直線に貫く吉野川に名橋がたくさんあります。
17の単純曲弦鋼ワーレントラス橋が連なり、総延長1,017mになる吉野川橋は河口の上流4kmの地点、眉山を背景に昭和3年に架けられました。
設計は増田淳。当時では東洋一の長大橋として評判でした。築後90年経過しましたが今でも補修をしながら幹線道路としての大役を果たしています。
実際に渡ると、ブルーのトラスが連続で17回両サイドの至近距離に見えて非常に興奮しました。

橋を渡って向かったのが徳島城址。現在は徳島中央公園として整備されています。60mほど登って広い本丸まで行けますが、階段はコンクリートの現代の階段。
山を形成している青石の岩肌と石垣の組み合わせなどが面白かった。眺めの良い場所なので、展望台でもあれば良いかも。Rさんは鳥と花を見ていました。

今夜は徳島県の西の端まで往くので徳島市でゆっくりできません。高速で50km走って重伝建を見に美馬市脇町へ。その前にセルフうどんの和ぁさんへ。

かけうどん。竹輪天とごぼ天。Rさんはとり天。美味しかった。この後三日間いろいろ美味しい物を食べるんですが、一番はと聞かれると初日に食べたこれでした。
でもきっと徳島、香川だとこれが普通のレベルなのかもな。でもこれ以上美味しくても私にはそれを判別する味覚もない気がします。

少し道に迷いつつ本楽寺へ。吉野川の作る段丘の上にあるんですが、カーナビが案内したのは段丘の下の国道沿いの場所でした。

ここの見どころは(一般には)吉野川を借景にした枯山水です。枯山水の奥が崖になっていてその下に国道とJRの線路があります。
枯山水庭園を造ったのは先代の住職で、しばらくは奥に普通に塀があったそうです。
ある時の台風で塀が壊されて、奥が見通せるようになったら「これ、いいじゃん!」ということになったそうです。確かにイイ。

客殿の川側の円に座って庭を眺めます。他に人もいなかったので掃除中の住職さん(話好き)にいろいろ話を聞けました。
インバウンドの大陸の人が砂の中に入っちゃうとか、徳島県人は悪い人が多くて比率で言うと6割は悪い人だとか。関西弁で面白かった。

お寺自体は巨大な一つの岩の上に建っています。頂点部分が客殿と茶室の間に露頭していますが、これが敷地全体の下に繋がっています。

一般の人には枯山水の寺ですが、私の主目的は阿弥陀堂と護摩堂の縣造り。今回も絶壁建築巡りのお世話になりました。
どちらも平成期に建てられた新しい物ですが、造りも姿も立派なお堂でした。
こちらの話好きの住職さんはご自身で重機も操り、造成から建築まで関わっておられます。現在は鐘楼堂の基礎工事の途中でした。

本楽寺のある穴吹町から脇町潜水橋で脇町へ。この沈下橋も今回見るべき橋の一つでした。橋長207m、昭和36年に作られたコンクリート製の橋。増水時は水没します。

渡っている最中に反対側から車が来たら怖いと思っていましたが、広くなった袂部分から対岸が良く見えるので、きちんと交互に通行できました。

橋を渡った先に伝統的建築群保存地区であるうだつの町脇町。脇城 の城下町として成立し、藍の集散地として発展しました。

藍で栄えた豪商たちが隣家との境に作った袖壁が「うだつ」です。防火壁ですが家の繁栄の象徴でもあってその大きさを競いました。

住民の高齢化が著しく、建物の保存のために貸し出して観光に利用されています。
こちら、たくさんのBromptonが外から見えました。Bromptonを使ったサイクリングツアーを行う会社でした。
この周辺はもちろん、鳴門、祖谷渓、直島、小豆島あたりでも開催されて、集合場所まで手ぶらで行ってBromptonサイクリングができるそうです。いいなー。

85棟の伝統的建造物が並ぶメインストリートから川を挟んだはずれに古い芝居小屋があります。昭和8年に建てられた回り舞台、奈落などを備えた本格的な芝居小屋です。
戦後、映画館に改装されましたが映画の斜陽と人口減少で取り壊されることに。
しかし、1996年に山田洋二監督の映画「虹をつかむ男」の舞台となったことで町指定文化財として存続されることになりました。

一般公開される際に映画館から創建時の芝居小屋の姿に戻されました。トラボルタなRさんを探せ。舞台下の石垣も見学できます。



うだつの町並みから祖谷渓へ。吉野川沿いの一般道ですがほとんど信号がないので快適ドライブ。途中三好大橋、池田大橋、祖谷口橋の3つを渡りました。
祖谷口から先は渓谷のかなり高い所をくねくね進む一車線の道。ほとんどの場所ですれ違えない感じで対向車が来ないことを祈るのみ。
ホテルの近くの小便小僧まで到達するまでハンドルを持つ手に汗をかきました。

ホテル祖谷温泉にチェックイン。今回、徳島に行くきっかけは2月に旅番組でこのホテルのケーブルカーで行く温泉を見たことでした。

ケーブルカーにはフロントのある階から。乗り場は祖谷渓谷の山なみを一望する展望テラスになっています。奥に見える川の高さまでこれから下ります。

高低差170m、線路長50m。傾斜角度は驚異の42度。片道5分ほどで川原の近くの露天風呂に到達します。
日本一急勾配のケーブルカーは高尾山のケーブルカーで最大勾配は31度18分と言われていますが、祖谷ホテルのケーブルカーは驚異の42度です。

この座席の角度を見ても高尾山ケーブルカーの傾斜とはレベルが違います。

露天風呂は加水、加温なしの源泉そのままかけ流し。ぬるぬる感あり。38度とお風呂とぬるいのですが、いつまで入っていてものぼせません。(写真はネットの拾い物です)
ケーブルカーに乗らなくても本館2階にある展望風呂も素晴らしい物です。

夕食も渓谷に面したレストランで。地元の食材をあれこれと、なんとか完食できる量で美味しかったです。
山奥のホテルでも刺身や魚介の天ぷらを出すところもありますが、こちらは潔く山の物だけで構成されていたのが好感が持てました。
テーブルは8卓のうち5卓がインバウンドのお客さん。こんな交通の便の悪い僻地でも今は外国人旅行者の方が多いのです。

2020年に160ポイント、12の未宿泊県があった経県値。この夜、徳島県に宿泊したことでついに全県制覇となりました。
次なる目標は、夫婦二人で行った経県値。こちらは奈良・大阪・宮崎の3県がまだ残っています。
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