
板橋から羽田空港に行くのに三田線三田駅乗り換えで都営浅草線から直通で京急の羽田線という行き方がここ5年ほどの主流になりました。
京急蒲田駅の直前で車窓から見えるちょっと変わった造形の大きな建物が長年気にかかっていました。呑川散歩の終盤で寄り道してようやく近くで見ることができました。
大田区総合体育館。2012年にできました。石本建築事務所。

京急線と体育館の間は100mほど離れていたので電車から見るのと近くで見るのとではかなり印象が違って、正直最初は少しがっかりしました。
建物の外観全体は白と濃淡2種類のグレーの斜めの線が交差しているのですが、遠くから見た時にはもう少し立体的に交差し合っているように見えました。
例えていうならば東京スカイツリーのようにパイプもしくは角柱が奥行きを持って立体的に編まれているような構造を期待していたので。

ところが近くで見ると全ての斜めの線は建物外壁と同じ平面にあって表面上は交差したように見える2次元的なものでした。なんだ書き割りかいと思ったのでした。

それは私が勝手にこうだろうと期待していただけなので大田区にも石本建築事務所にもなんの問題もありません。
そしてこうやって建物に沿って歩いて来るとやはり石本建築事務所らしいとても素敵な建物でした。
全体の構成としては右が4800人収容のメインアリーナ、左が200席のサブアリーナと弓道場。この二つが地下と屋上で繋がっています。

二つの棟の間から京浜線の高架を見ているところ。今まではあちらからこっちを見ていたのでした。

メインアリーナ1階の入り口から中を覗く。今日はプロレスの試合が行われるようでその準備が進んでいました。

上下の移動は3つ目の小さな独立した塔に階段とエレベーターが収容されています。
先ほど外観の斜めの線の交差を「書き割り」などと評しましたが、裏側から見えれば決して書き割りではなく鉄筋コンクリートの構造そのものだと分かります。
巨大な施設の外周を斜めの柱だけで支えるという独特の構造なので、表面上の見せ方をもう少し立体的にすれば良かったのにな。

例えば北京オリンピックの鳥の巣スタジアム。こんな感じに柱としての抜け感が欲しかった。個人の感想ですが。

階段棟からガラス越しに。第一京浜に面して建てられています。

地下に入って地下エントランスからメインアリーナ。フロアを地下にしたので建物を高くしなくても高い天井を得ることができました。

メインアリーナとサブアリーナの間の空間。「森と海と人の賛歌」と題されたレリーフが飾られています。

サブアリーナ。奥に見えている光が地上1階にあるカフェテラス。

すぐ近くの歩道橋からよく眺めることができます。屋上は緑地化されて普段は公園として公開されていますが、この日はイベントがあるので立ち入れなかったのが残念。
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