
先日の表慶館の更に奥まった場所にあるのが法隆寺宝物館。谷口吉生の設計、大林組の施工で1999年に竣工。日本建築学会賞の作品賞を受賞しています。
アルミハニカムパネルとそれを支える細い柱。空と建物を反射する薄い水面を囲む御影石のアプローチ。谷口吉生作品の典型のひとつ。

谷口吉生の建物はとにかくカッコいい。
このブログで見てきたのだと丸亀の猪熊弦一郎現代美術館とか金沢の玉川図書館や鈴木大拙館。新しいところではGINZA SIXなど。

無機質っていえばそうなんですが、それだけじゃない私には居心地のいい無機質。

最近の美術館や博物館は開放感や親しみやすさなんかが強調されていますが谷口吉生の作る空間は厳かで緊張と静寂を求められます。
ここにあるのは明治初期の廃仏毀釈のために廃棄されそうになった数百点の宝物。皇室に寄贈することで破壊の運命から逃れることができた貴重な宝物です。
正直私には仏像や仏教古美術を見る目がありませんので展示品の価値はあまり分かりません。でもその経緯とこの空間には感謝しています。

見学コースの外に資料閲覧室。ここでようやく開放感を得ます。

書棚に並んでいた資料は全て別の場所に移されていて、現在この場所はなんでもないただの場所。イームズの椅子やデスクライトが素敵。

エントランスホールから水盤を眺める。表慶館のドーム屋根が見えます。やっぱり上野って面白い。
法隆寺宝物館は他の博物館のチケットがあればこちらは無料です。混雑もまったくありませんので東博に御用の際は帰りに覗いて見て下さい。
一部関係者の間では、興福寺は、明治のはじめにさっさと逃げやがって、宝物も皇室に一万円で売りつけて、的なイメージもあったりするんですけどね。
でも、去年から何回も興福寺の境内をいろんな時間に通るようになったんですが、興福寺・春日大社が昔のままの規模で残っている姿を一度見てみたいものだと思ってます。
ガラスケースの隙間を2周くらいして次の部屋に行きました。
たくさんお勉強されてうらやましいです。
法隆寺宝物館に興福寺のものだったものもあるんでしょうか。
興福寺から流出したものは、ボストンやサンフランシスコ、東博などに散逸しています。
流出、散逸は惜しいけど、壊されたり燃やされるよりはいいですよね。
調べている途中に見た中で、10年程度廃寺同様だった伽藍から
子供が仏様を持ち出してタダ同然で売りさばいていたなんて記述も見ました。
こわいですね。皇室に売るなんていい方ですよ。知らんけど。