本日がこのテーマの最終編です。5月からの新時代に向けた、日本人として、日本企業としての覚悟をどう持つべきかというお話で締めたいと思います。
日本人にとって平成は「経済的には停滞した時期」と言えますが、別の角度から見ると、さまざまな試練(金融危機・デフレスパイラル・阪神大震災・東日本大震災など)と向かい合って、自力で生き抜く鍛錬を重ねた30年だったとも言えると考えています。
再編を繰返し生き残った金融機関の事例は、もうここではお話をしませんが、その他で、象徴的な事例が自衛隊の海外での活躍です。湾岸戦争において、お金を出すだけの日本が、世界からもの笑いの対象にされたのが平成3年。それが平成27年にはソマリアへの派遣で、初めて多国籍部隊の司令を務める立場にまで至りました。
戦後の高度成長期が「アメリカの保護の下、すくすくと身体だけが大きくなった少年期」だとすると、そのあとの平成時代は「米国1強時代の中で、悩みながら内面を鍛えた青年期」に当たるのかもしれません。そうだとすると「令和」は、身体も心も晴れて成人となった日本が、大人としての責任を背負って生きていく時代だと言えます。
我々を取り巻く環境は、古い力と新しい力が渾然一体となったカオスです。すなわち、古い力とは、中国・アメリカ・ロシアに代表される「自らの野心や欲望を満たそうとする力」、新しい力とはSDGsに代表される「世界をサステナブルに変えようとする力」です。この2つが渾然一体となったカオスの時代が現在です。
「令和」の時代は、日本人が、日本の企業が、大人としての責任を背負って生きていく時代であり、「新しい力」の中核になっていく覚悟こそが、「令和」に向かう心構えなのだと思っています。