國學院大學博物館の「土御門家がみた宇宙─江戸時代の天文観測─」展を觀る。
安倍晴明の子孫にあたる公家の土御門家が遺した江戸時代の天文觀測の古文書を通して、三百年前の人々が目にした夜空の壮大な煌めきを仰ぐ。
祭祀祈祷の元締のほか、天体の表情から吉凶を讀み取り、ミカドへ密奏することも家職としてゐた土御門家の天体觀測術は、世界的にも水準の高かったことが近年の研究から明らかになっており、
(※案内チラシより)
さうした日本人独自の知恵や知能も、明治の“御一新”で土御門家が職を失ったことによりほぼ斷絶したことは、性急な西洋追従政策が招いた大きな損失と云ふよりほかないだらう。
(※同)
しかも、肉眼による觀測でも正確な數字を彈き出してゐたとは驚嘆ものであり、江戸時代の星空がいかに美しく、なにかの存在を信じたくなるものであったか──
東日本大震災の一年半前に岩手縣一關市で仰ひだ壮麗な天体繪巻を、私は久しぶりに思ひ出す。