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東京都大田區中央五丁目、池上本門寺裏を行く高臺の道を大森方面へ下る途中で、真新しい鳥居が目に入り、氣になって立ち寄る。
扁額には「黒鶴稲荷」とあり、令和五年の建立云々。
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境内は新築の高齢者施設の裏手にあたり、芝生で綺麗に整地されたなかに、鳥居に背を向けた形で白木の社殿あり。
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どふやら鳥居と参道が、裏手に面してゐるらしい。
社號の“黒鶴”とは聞き慣れないが、郷土史によれば天正十八年(1590年)に德川家康が江戸入りした後、當時このあたりの領主だった山本氏が稲荷境内で捕へた黒い鶴を家康に献上したところ、吉兆なりと大いに喜び、その稲荷社は“黒鶴”の號を賜はる云々。
境内は道沿ひの高齢者施設を建設する際に併せて再整備されたらしく、すべてが真新しいなかに天保四年に奉納と刻まれた手水鉢のみが、
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土地の長い歴史のにほひを、私に語りかける。
その時代その時代の人々によって守り繼がれ、今日に至る永續さが、なにやら私には羨ましい。