迦陵頻伽──ことだまのこゑ

手猿樂師•嵐悳江が見た浮世を気ままに語る。

「偲姿―オモカゲ―」21

2010-02-27 09:23:11 | 戯作
わたしは栗駒駅まで、彼を見送ることにしました。 どうしてもそうしたかったんです。 もちろん、役者としてではなくて、旅先で出逢った一人の人間として。 神社をあとにしようとした時、ちょうど夕陽が地平線に沈んだところで、空はその名残りに、まだ茜色に染まったままでした。 駅に着くまで、彼とは殆ど会話はありませんでした。 彼が前を歩いて、わたしはそのちょっと後ろを付いていく、そんな感じで…。 で . . . 本文を読む
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