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仏像を巡って 24: 中国の神像の始まり 2

2015年07月07日 | 連載中 仏像を巡って

< 1. 中国紫禁城の龍   >

今回は、中国の神話が誕生する様子を簡単に見ます。
神像は神話から生まれのであって、その逆はありません。





< 2. 主要な神々 >

はじめに
中国の神々は無数に存在し、後に道教に統合されていきます。
ここでは代表的な神々を紹介します。

図Aは天地開闢の神で、人類創造の女神「女媧」と帝王の男神「伏羲」が同じ蛇身人首の夫婦で表されている。
図Bは単独で描かれた「伏羲」で、中華民族人民の始祖とされています。
図Cは、医術の歴史にも出てきた「黄帝」で、最初の帝(架空)にあたり、道家の始祖とされる。


神話生成のおおまかな流れ
中国の先史文化は一辺2000kmの中国の平原に数多く誕生しました。
前回、概説しました。
それを担った様々な民族は、それぞれ独自の文化と神話を持っていましたが、やがて漢民族が優勢になるにつれて、彼らは僻地や奥深い山へと移り住むようになりました。
これらの民族の多くは文字を持たず、神話を口頭伝承しました。
こうして神話は分散して残ることになりました。
現在、55の少数民族が存在し、最大のチワン族の人口は1600万人です。




< 3. 中国の多様な民族 >



< 4. 山海経に出てくる伝説上の動物や神々 >
山海経は中国最古の地誌で、紀元前4世紀頃から書かれ始めた。
中国全土の地理や産物、動植物が記述されているが、空想的なものが多い。

いち早く文字を持った漢民族は、紀元前1千年紀中頃には神話の体系化を始めました。
例えば孔子は、さらに約2千年も遡る伝説の王や帝である、禹・黄帝・堯・舜などを引用して教えを説き、経典(四書五経)を遺しています。

また漢の司馬遷は歴史書「史記」(紀元前1世紀)に、黄帝より五帝を経て夏、殷、周の各王朝が始まったと記した(夏以降が実在)。
彼らは自説や王朝に権威を付与する為に神話を利用した。

しかし、他の文明に比べ、中国の神話は体系化されていません。
元来、中国の人々は現世・政治優先であり、多くの王朝は他の文明ほどには神の家系であることを重視しませんでした。
もっとも無視もしませんでしたが。
孔子の言葉に中国人の宗教観がよく現れています。
「民の義に努め、鬼神を敬いて之に遠ざかる、知というべし」
論語にこう書かれており、その意味は下記のようになります。
「人としてなすべきことに専念し、神を尊敬しながらも、これから遠ざかるのが、知者にふさわしい態度である」
これが中国を代表する思想家の姿勢だったのです。

また広い国土には、すでに無数の神話が語り継がれていました。
したがって、国家統一が成されても神話の体系化は進まなかった。
結局、中国では数多くの神々と神話を必要に応じて取り込み、増えるばかりだった。


次回は、先史時代から紀元前後までの人物表現の変遷を追います。





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