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中東に平和を! 14: 映画に見る中東とアラブ世界 7: 海と大陸

2016年05月24日 | 連載完 中東に平和を

* 1

今日は、イタリアの小さな美しい島で撮影された映画「海と大陸」を取り上げます。
日本で難民があまり問題になっていない2013年に、私はこの映画を見て、衝撃を受けました。






< 2. 映画の舞台 >
上の地図: 青い星印が、映画の舞台になったリノーサ島です。
下の写真: リノーサ島。


映画の概要
―制作―
イタリア、2011年。

―内容―
舞台は現代、観光で賑わう小さな島の若い漁師フィリッポがアフリカから流れ着いた難民を救ったことから話は展開する。

この島は衰退の一途をたどる漁業から観光に転換しようとしていた。
フィリッポは漁師を続けようとする祖父、観光業に転じた叔父、本土で新生活を始めたい母との間で戸惑う。

この海域には、日増しにアフリカからの難民が漂流し、島に死体が打ち上げられることも度々だった。
そんなある日、フィリッポと祖父は難民で身重の母子を救い、家で匿うことになる。
この尊い行為が波乱を呼ぶことになる。


ストーリ




< 3.主人公と家族 >
この青年が主人公のフィリッポ。
下の写真: 母は祖父の漁業継続に反対する。





< 4.難民の母子を救出 >

ある日、出漁していて難民のボートを発見します。
海の掟を重んじる祖父は躊躇することなく母子を救い、法に違反して家に匿う。
そして、その身重の母は出産します。





< 5.観光で賑わう島 >

フィリッポは叔父さんの観光業を手伝い、また自宅を改造し母と共に民宿を始めた。
下の写真: 海水浴客で賑わう浜辺に、アフリカの難民が多数流れ着いた。




< 6. 難民問題 >

上の写真: 浜辺に漂流した難民を連行する警察官達。
真ん中の写真: 強制送還される難民。
下の写真: 真ん中に座る祖父と村人が難民について話し合います。
「難民を助けてやりたい気持ちもあるが、見つけ次第、警察に届けなければならない」
「頻繁に流れ着く難民や死体は、島の観光にダメージを与える」
多くは難民に否定的である。






< 7.最後に >
難民を匿うことに反対だった母も、やがて母子に共感するようになる。
ある日、祖父はこの母子を彼女の夫がいる本土に密航させることを決断する。
フィリッポは真夜中に小さな漁船に母子を乗せて出港し、映画のラストになる。




YouTubeの映画全編1時間29分、日本語ではありません。
https://youtu.be/R19t5mrZ2GM


感想
映画は、ハッピーエンドで終わることなく、私達に難問も投げかけ、あることを深く印象付けた。
それは死を賭して渡航する難民、それを救わずにはいられない人間の存在です。

私は切実な難民問題と解決の困難さを知り、2年後のクロアチア旅行で思い知ることになった。


難民について
難民を人道的立場から救出すべきか、それとも社会不安を助長しないように拒絶すべきか?

現在、欧米が極右化しているのは、歴史的に繰り返されて来たスケープゴート、難民拒絶が強まっているからです。
拒絶の根拠は難民が治安悪化と失業率の増大を招いていると言うものです。
これを偏見と無視することは出来ませんので、救出を人道的な絵空ごとと捉えてしまえば、身も蓋もありません。

次回、この問題について考察します。














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