アクアコンパス 3   世界の歴史、社会、文化、心、読書、旅行など。

カテゴリー「案内」に人気記事と連載の目次があります。Twitter に yamada manabuで参加中。

仏像を巡って 23: 中国の神像の始まり 1

2015年07月04日 | 連載中 仏像を巡って

< 1.道教の聖地茅山、江蘇省(南京)   >

今回から7回に分けて、中国の神像がどのように誕生したかを見ます。
中国の豊かな神話と、さらに外来の仏教が道教と交わり、やがて形となっていきます。
そこには人間と宗教の普遍的で不思議な関わりがあります。
先史時代から7世紀の唐の時代まで約1万年を駆け抜けます。
今回は、中国文明の誕生を簡単に見ます。




< 2.中国古代文明が生み出したもの >
左図:殷の時代の青銅器。紀元前2千年紀後半。
中央:儒教の創始者孔子。紀元前6世紀。
右図:秦の始皇帝の兵馬俑。紀元前3世紀。


はじめに
中国の人物像も、他の世界と同様にビーナス像(裸婦像)や土偶から始まりました。
やがて中国独自の神像が道教から生まれますが、その道程は長い。

中国の宗教では儒教や仏教、道教が大きな役割を果たしました。
仏教は外来の宗教で、儒教は紀元前6世紀に孔子が唱えた道徳の経典に始まります。
しかし道教は、各地の中国古来の巫術と神仙思想が徐々にまとまり出来た宗教です。
従って道教には非常に数多くの神話が混じり、多数の神々が含まれています。


< 3. 新石器文化から初期王朝の地図、BC5000~BC1000頃 >


中国文明が誕生する大まかな経緯
稲作文化は長江中流域で紀元前1万年頃から始まり、農耕や土器作りは各地に広まりながら北上した。
一方、外来文化は最初に北方、次いで北西から、二つのルートで流入した。
前者は主に北京の北方を指し、氷河期のビーナス像に似た石の像が紀元前7000年頃に最初に出現し、広がりながら南下した。
この後、中国は幾たびも北方民族の侵攻を受けました。
後者は西安の西方を指し、中央アジア経由で西方文明が流入し、その痕跡は紀元前1千年紀には明瞭になります。
この後、ここは交易路シルクロードとして重要な役割を果たします。



< 4. 中国最初の王朝「夏」の誕生、橙色が「夏」の領域 >

中国最古の王朝は、上記の三つの文化と民族の動きを受けて黄河中下流域に誕生しました。
最初の「夏」が紀元前2000年頃に誕生し、それ以降、「殷」「周」「秦」「漢」まですべてこの地域に本拠地を置き、興亡を繰り返した。
この地域を中原と呼び(図3の橙色部分)、この地に住んでいた人々が後に漢民族と自称するようになった。




< 5. 漢の領域、ブログ「地球人の歴史」より借用 >
赤線は漢の初期、黄線は最大領域を示す。紀元前202年~紀元後220年。

こうして中国文明が誕生し拡大していきました。

次回は、この文明と並行して誕生した神話を見ます。








最新の画像もっと見る

コメントを投稿