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ピケティの資本論 27: グローバル化を越えて 2

2015年06月17日 | 連載完 ピケティの資本論


< 1. 24000年の時を越えて >

前回、グローバル化の弊害を見ました。
今回、グローバル化の流れを見ます。

グローバル化の流れ

「グローバル化」とは活動や視点がより地球規模に広がって行くことです。

グローバル化は人類史と共に始まりました。
連載「原初美術の誕生」「仏像を巡って」「病と医術の歴史」で、文化や文明が地域や国を越え、触発と融合を繰り返しながら発展して来たことを見ました。
ビナース像や壁画のモチーフに始まり、宗教と神像の造形、医術や薬物に至るまで、まったく他の影響を受けず独自に発展したものを挙げることは困難です。
これはあらゆる発展、科学、言語、法、思想、芸術、政治制度に至るまで同様です。
その原動力は、交易、征服、移住、布教、より良く暮らす為の情報収集でした。
それは10万年の時を越えて、今も地球全域に広がりつつあります。



< 2.世界の貿易拡大傾向 >

現在はどうでしょうか。
特に、ここ半世紀、世界の貿易依存度は10%から30%まで増大している。
これは世界の経済を活性化させ、人々の生活を豊かにさせているはずです。
これに連れて、世界はあらゆる分野、政治、軍事、経済・金融、環境で、保護や救済を協同するようになりました。
その代表例が、国連やEU、ASEAN、アフリカ連合、COPなどです。
その背景には、経済交流と平和への希求、さらに情報通信革命がありました。
これら総べてグローバル化の結果とは言えないが、これ無くしては成し得なかっただろう。



< 3.COPの気候変動枠組条約 >

そうは言っても
人々や国家はグローバル化を無条件に受け入れて来たのでしょうか。

人々が外部と遮断する道を選べばどうなるでしょうか。
その顚末を、一部の先住民に見ることが出来ます。
隔絶された地に住むことは、彼らにとって侵略を免れる最善の方法でした。
しかし、最後に、彼らは著しい文明の差を突きつけられることになりました。
その彼らも元を正せば、約1~3千年前には同じ文明を共有していたのです。

国が異国からの文物流入を嫌い、経済的・軍事的防御の為に国交を断絶したりすることはありました。
例えば、中国の明時代の海禁政策、日本の江戸時代の鎖国、1929年の株価大暴落に端を発した各国の保護貿易がありました。
明の政策は、密貿易と倭寇の隆盛を招いた。
日本の政策は、社会の混乱を防いだかもしれないが、文明の後退を招き、明治維新へと向かわせた。
1929年の場合、部分的な禁輸にも関わらず世界経済に大収縮を起こさせ、恐慌をより悪化させた。
特に貿易依存度が高まっている現代ではグローバル化の反動は非常に危険です。

1990年代のソ連邦やユーゴスラビア連邦の崩壊も同様な動きで、現在EUが取り沙汰されています。
反動は非常に起きやすく、弊害は大となります。


ここで見逃してはならない重要な事があります
人類は、紛争を防止し互いの権利を守る為に法(規範、規制)を作って来たのですが、その適用範囲を拡大させて来たという事実です。
初め、法の適用範囲は部族単位でした。
やがて法は国家単位となり、やがて5世紀ほど前から国家の連合、今は地球規模で適用するようになりました、これはまだまだ脆弱ですが。

人類が等しく一人ひとりの安全(経済、軍事、人権)を守る為には、法のグローバル化は絶対に欠かせないなのです。

次回に続きます。







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