夕暮れのフクロウ

―――すべての理論は灰色で、生命は緑なす樹。ヘーゲル概念論の研究のために―――(赤尾秀一の研究ブログ)

§ 283〔君主と諮問機関とその官僚〕

2018年10月06日 | 法の哲学

 

§ 283〔君主と諮問機関とその官僚〕

Das zweite in der Fürstengewalt Enthaltene ist das Moment der Besonderheit oder des bestimmten Inhalts und der Subsumtion desselben unter das Allgemeine. Insofern es(※1) eine besondere Existenz erhält, sind es oberste beratende Stellen und Individuen, die den Inhalt der vorkommenden Staatsangelegenheiten oder der aus vorhandenen Bedürfnissen nötig werdenden gesetzlichen Bestimmungen mit ihren objektiven Seiten, den Entscheidungsgründen, darauf sich beziehenden Gesetzen, Umständen usf. zur Entscheidung vor den Monarchen bringen. Die Erwählung der Individuen zu diesem Geschäfte wie deren Entfernung fällt, da sie es mit der unmittelbaren Person des Monarchen zu tun haben, in seine unbeschränkte Willkür.

 

君主権に含まれている第二の要素は特殊の要素であり、もしくは、規定された内容であり、そしてそれを普遍の下に包摂することである。規定された内容が一個の特殊な存在を含む限り、それは最高の諮問機関であり諸個人である。それらは発生する国家業務の内容や、あるいは既存の必要性から客観的側面において必要とされる法的な規定、意思決定の根拠、それに関連する法令、様々な諸状況などを君主のもとに決するために持ち来る。これらの職務のために個人を選任することは、解任する場合と同じように、彼らはそこで君主の直接の人格と関係することから、君主の無制限な恣意に任される。


ヘーゲルの弁証法的な論理は、概念の進展に従ってつねに、普遍 ⎯→ 特殊 ⎯→ 個別 へと展開されます。普遍的な存在としての君主は、その概念の展開に即してさらに統治権へと、特殊な諮問機関としての内閣や官僚などを含む行政や立法、司法などの特殊な領域へと進展してゆきます。その概念が動的に立体的に必然的に展開されてゆく点がモンテスキューたちの三権分立論などと大きく異なるところです。また、ヘーゲルの概念論を誤解し、観念論Idealismusを理解しなかったマルクスなどの唯物論者たちは、このヘーゲルの弁証法論理をもって「論理的汎神論的神秘主義」とよび、倒錯しているとか神秘化しているなどと批判しています 。

※1

指示代名詞 es を、とりあえず「規定された内容」として訳しました。das Allgemeine が正しいのかもしれない。

 

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

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