夕暮れのフクロウ

―――すべての理論は灰色で、生命は緑なす樹。ヘーゲル概念論の研究のために―――(赤尾秀一の研究ブログ)

六月も終わり

2011年06月28日 | 日記・紀行

 

六月も終わり

後二日もすれば六月も終わる。さる三月十一日、忘れるはずもない。東北に起きた地震と津波と原子力発電所の事故から、すでに三ヶ月が過ぎた。失われた十年、あるいは失われた二〇年とさえいわれる、人材も枯渇して疲弊した日本に、追い打ちをかけるような痛手となった。災い転じて復興の契機となし得るのか、それとも泥船のように、ただ沈み行くのみなのか私にはわからない。

戦後民主主義文化の日本と日本人に絶望している者には、すでに同時代人らともほとんど別世界に、異教徒のような立場に生きているようにも見える。それでもただ、自己と国家と民族に対してなすべき義務と使命と考えるところのみは、極力果たして行こうと考えている。同時代の国家と国民に対しては本質的な関心はない。その理由も明確である。真に興味と関心の対象として値するものとは、事物の概念のみがそうだ、といえる。その他の多くは、ほとんどむなしく、かつ馬鹿馬鹿しい。『伝道の書』のコヘレートと同じ眼で世界を見ることを宿命づけられているのか。

テーゼ→アンチテーゼ→ジンテーゼ、正→反→合という、事物の螺旋的な発展を認識することを、我が哲学は目的としているといえる。今年の東北大震災とその津波による原子力発電所のメルトダウンほどに、その具体的な事例としても、深刻なアンチテーゼはこれまでなかった。これほどまでに、原子力発電に対して『否定』を突きつけたられたことはこれまでなかった。この「アンチテーゼ」、「否定」をいかにして克服、アウフヘーベンして行くかが課題になる。この否定の意義を高く評価したのもヘーゲルである。

原発推進派の世人や多くの国民は、その否定的な側面には頬被りして、原子力発電のもつ、その利便性や快適性、また利潤といった観点から、積極的に支持していると考えられるのに対して、私の立場は、原子力発電については、どちらかと言えば「消極的な支持」というものだったろう。

アメリカに国防の首根っこを押さえられ、真の独立のために核武装さえ許されない哀れな日本国のこの現状で、将来の日本国の真の独立の実現という観点から、原子力発電に伴う核技術は、唯一核兵器開発の技術を担保できるものとして、必要悪として消極的に肯定してきたといえる。

しかし、今回の福島原子力発電所の事故を契機として、西尾幹二氏らは、「原子力発電所の存在こそが、日本の核武装、少くとも日本の国防の合理的強化を妨げている」という見解を主張している。
「脱原発こそ国家永続の道」について(二)
http://www.nishiokanji.jp/blog/?m=20110628

こうした見解について、今のところ批判し、論評するだけの知識も能力も私にはない。
これまでの論考で、一通り私の立場は明らかにしており、さらなる全面的で広範な客観的な調査と研究なくしては、新しい段階で論考を展開してゆくことはできないと思っている。ブログ投稿の頻度が落ちているのも、そのせいでもある。

先日、軒下のアジサイに剪定鋏を入れる。乾燥した空気の、明るい日差しの下で見るアジサイは、色彩も濁って見える。梅雨の滴るなかでこそアジサイはよく似合う。

梅雨の合間を縫って、山の畑に行く。その巨大な樹木や竹林の叢生の凄まじい生命力に自然の威力の一端を思い知らされる。暫く山に足を踏み入れない間に獣道は失われ、雑草や雑木の凄まじい成長に、見慣れた山野辺の光景は一変している。

植えた後、一度か二度雑草取りをしただけで、ほとんど植えたことも忘れかけていたニンニク畑に足を踏み入れると、ちょうど茎が枯れていた。引っこ抜いて見ると、白く美しい球根が現れた。植える時とその後の二三度の雑草取りだけで、「最高級」のニンニクが手に入る。これこそ、ずぼらな私の目指すべき理想の農業である。早速、五、六株引っこ抜いて帰った。まだ畝には多く残っている。去年は見るべき成果はなかったので、記念に写真を撮って帰る。

ショウガと違って、ニンニクはあまり好きな作物ではない。臭いが気に入らない。それでも、せっかくの収穫だから、何とか美味しく食べる方法を調べてみようと思う。

ネットで少し調べてみると、「醤油漬け」と「蜂蜜漬け」などがあるらしい。何とかここ、二、三日の新鮮な内に実験してみようと思っている。

今年は青紫蘇の成長はよくないらしい。昨年は掃いて棄てるほどあったのに、今年はほとんど自生しているのを探すことができない。去年イチジクの木の脇に植えた名残の青紫蘇が少し葉をつけているだけ。その貴重な葉を四五枚冷や奴に添えるために摘んで持ち帰る。

 

 

               

                                                           

                

                                                      

 

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