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朝香祥 三国志 「旋風は江を駆ける」

2005-05-10 21:23:04 | 三国志/小説(正史ベース)
コバルトシリーズ旋風(かぜ)は江(こう)を駆ける 上・下巻/朝香 祥(あさか しょう) 著 桑原祐子 イラスト/集英社/再刊行中/各533円(本体価格)

内容とコメント孫策と幼なじみの周瑜が衝突やすれ違いを繰り返しながらも、盟主である袁術のもとから独立し、幾多の戦いを経て江東を平定するまでを描いています。孫策と周瑜のすれ違いに、既存のイメージを崩されますが、目的・役割を持たせた人物描写が丁寧です。戦局もおろそかにせず、最後まで書ききっています。江東を取り巻く情勢から小道具まで、時代考証も徹底してます。

この武将がキラキラ♪
呂蒙。「NHK人形劇(演義)」で定着してしまった極悪人のイメージを見事に払拭してますが、読者層を意識してか、「正史」の呂蒙ファンでも戸惑うかわいらしさで描かれています。
当人が一番驚いてしまうかも

この武将がキラリ!
程普と、敵将の樊能(はんのう)と于麋(うび)。軍事には私情を挟まない程普、孫策と周瑜を好敵手と感じていた樊能、その気質を慕う于麋の忠節など、「三国志」らしい所もちゃんと見せています。

この武将が痛恨!
太史慈。彼なりに天下泰平の方法を考え、目指す姿勢が新鮮で、孫策との一騎打ちも作品で唯一の、なんのわだかまりも無いすがすがしい場面になり、ここでは孫策も従来のイメージを損なわずいきいきと描かれていて大変良かったです…が、太史慈の心を揺らすのは孫策(だけ)にして欲しかったです。孫軍に招くため彼の理念を挫(くじ)くのは確かに上策で、周瑜の見せ場にもなり、この作品では説得力がありますが、
太史慈の心を揺らしていいのは孫策だけという固定観念があるために非常に抵抗を感じます。