GOGO三国志!

2014年に復活した白井恵理子先生の劉備くんシリーズや長池先生の「破龍」(完結)他三国志作品を応援しています!

偕成社版三国志

2005-04-29 21:57:47 | 三国志/小説(演義ベース)
三国志(全4巻)一「英傑雄飛の巻」 二「臥竜出廬の巻」 三「三国鼎立の巻」 四「天命帰一の巻」/渡辺仙州 編訳 佐竹美保 絵/偕成社/刊行中/各1600円(本体価格)

内容とコメント「三国志演義」に「正史」の記述を加えて補完した作品で、特色としては、多くの小説では省かれがちな孔明の死後から三国滅亡の経緯までをも描いています。
人物・地名(呼び名が多い)の表記を統一し、「演義」での地理的誤りの注釈を入れて読者の混乱を防いでいます。役職や用語の説明、人物の再登場時には過去の略歴を、ページごとには今登場している人物の挿絵を入れるなど、とことん読みやすさを追求しています。勢力地図も年代ごとにいちいち更新され(このこだわりが嬉しいです)、人物の挿絵も年を取っていくのが芸が細かいです。文字も大きいです。
巻末には各巻ごとの解説もあります。

この武将がキラキラ♪
陸抗(りくこう・陸遜の子)と晋の羊祜(ようこ)。偽計の応酬や保身に走って他人をおとしめるなど、人物的魅力に欠ける「三国志」後半において、彼らは一服の清涼剤。敵将ながら互いに認めあい、酒や薬を贈るなど、敬意を払いつつ対峙しますが…。もう少し、彼らの活躍を見たかったです。蜀のために最後まで戦った、姜維と諸葛瞻(しょかつせん)・尚(しょう)父子(孔明の子と孫)も努力賞です。

この武将がキラリ!
張遼、太史慈、荀、趙雲…他、実力派武将、軍師たち。この作品で武勇や智略、信念など、そのかっこ良さを再認識してしまいました。

真・三國無双4

2005-04-27 20:40:40 | 三国志/ゲーム
真・三國無双4/ω‐フォース 開発/コーエー/発売中/通常版7140円(込)/データ保存にはPS2用メモリーカード(150KB以上の空き容量)が必要です

内容とコメント総勢48人もの武将が操作できるPS2用アクションゲーム。一騎当千の爽快感、美しく個性的なキャラクター、感情移入しやすいイベント演出でゲームファン、三国志ファン、女性ファンなど幅広い層に人気があります。主にステージを攻略していくモードと得点を競うモードがある他、作品中の音楽やムービーを楽しむ事も出来ます。クリア後のお楽しみもあります。
「三国志(演義)」のあらすじと人物紹介が見られる事典があるのが、恒例ながらありがたいです。
「無双モード」は武将一人一人が自ら語る列伝式のストーリーモードで、戦に臨む心境や大切な人の死を乗り越えて生きる前向きさなど、武将の内面を描いています。
また、親子の会話があるなど、小説ではなかなか見られない演出も嬉しいです。

この曲がキラリ!
合肥の戦い。ハードロックな曲で戦の烈しさ、奮戦する武将達の躍動感が伝わり、戦場を一層盛り上げています。

この新キャラがキラキラ♪
凌統と、張飛の娘・星彩(せいさい)。皮肉屋で素直な言葉が出ない凌統。キャラより攻撃の速さが魅力。
斜陽の蜀に寄る辺無く生きる事をさだめられた星彩。彼女の決意と力強さに心打たれます。
新キャラは全体的に扱いやすく、キャラ付けも好感が持てるものになっています。

この武将がキラリ!
新キャラの関平と曹丕。そして魏延。曹丕は今までの陰険なイメージを見事払拭してます。決して嫌味にならない冷徹さが成功してます。おかげで父・曹操がお茶目に見えます
関平は予想以上に好青年です。関羽との会話や思慕、星彩との爽やかな交流が描かれ、好感度アップしました。
魏延は、見方によって異なる人物像の持ち主ですが、今作ではある人のために戦うという新たな面が描かれています。

この武将が惜しい!
孫堅・策・権父子と、新キャラのホウ徳。ホウ徳は、主将(レギュラー)入りやデザインがかっこ良かったのが嬉しかったのですが、唯一声に違和感があります。思い入れのある武将だけに惜しいです。
孫父子は虎皮の腰巻に引いちゃいました…

泣き虫弱虫諸葛孔明

2005-04-25 21:23:46 | 三国志/小説(演義ベース)
泣き虫弱虫諸葛孔明/酒見賢一 著/文藝春秋/刊行中/1905円(本体価格)

内容とコメントその奇行ぶりから、地元ではちんぴらにも恐れられるほどに変人扱いされていた諸葛亮が「臥龍」となり、黄氏を妻に迎え、劉備と出会って出廬するまでを著者独自の屈折したユーモアな文章で描いてます。
「臥龍」「鳳雛」の由来(狙い)のエピソードや天下三分の計は「梁父吟(りょうほぎん)」から着想したと推測しているのが新鮮で面白いです。
ただ、黄氏と結婚してからは世に出ようとする積極性が無くなり、会いに来た劉備に仕えようと思った理由の描写が弱く、「その内」「おいおい」という言い回しや、他の説明で濁されてしまった感じです。それが作品の尻すぼみ感になってしまった気がします。
劉表のいる荊州を劉備に執拗に取らせようとした理由が、叔父を死に追いやったのが劉表だと判った為、というエピソードを仕える理由に結び付けてもいいような気がします。
曹操、孫権との因縁や待遇を紹介しておきながら、安易に出来そうな推測(何故劉備なのか)もされてません。小説なので独断でも著者の推測が欲しかったです。
とにかく、笑える表記が多いので、あまり深く考えず昔話、笑い話として読んだ方がいいのかもしれません。 この作品の孔明のフォローとして、姉弟、叔父など、身内思いであることを挙げておきます。

この武将がキラキラ♪
曹操と郭嘉。この作品では孔明と周りの人々が奇人だったり振り回されたりする設定なのに、この二人はまともな描写で良かったです。

この武将がキラリ!
劉備三兄弟。実は裏表ある劉備の心の中の悪口雑言に笑ってしまい、却って親近感が増しました。
恒例の「桃園結義」披露を嫌がりつつも徐々に乗ってしまう堅物関羽や劉備の裏人格(本性?)と波長が合う張飛と三人で孔明を“訪(おとな)う”(襲撃する?)ノリが楽しいです♪
この作品では三人に対して誰もが抱く鋭いツッコミも成されてます。

この描写がトホホ
徐庶が劉備に仕えていた期間。徐庶や曹仁に良いイメージがあると読んだ事を後悔するような描かれ方です。「演義」でも見所の一つ「八門金鎖の陣」の場面も同じです。
徐庶の人物像は「演義」での彼の扱いよりもイジメ行為に見えるほど酷いです。徐庶~

三国志マガジン 蒼天已死号

2005-04-14 21:08:49 | 三国志/漫画
コミック三国志マガジン 蒼天已死号 ダ・ヴィンチ3月号増刊/大西巷一(曹操孟徳正伝)・荒木風羽(うまなみ三国志) 他 /メディアファクトリー/未確認(入手困難?)/550円(込)

内容とコメント三国志漫画を集めた雑誌。趙雲、曹操、魯粛と周瑜などが主役の作品があります。
全体的な絵柄や演出の面では男性向けと思いますが、魯粛と周瑜の話「江南行」(佐々木泉 作)は女性にも受けそうな内容です。
正子公也氏による三国志絵巻「百花三国志」(今秋画集刊行予定)や、「三国志新聞」、大澤良貴氏の「随筆三国志」、島崎晋氏の「曹操のルーツを辿る旅」といった読み物もあります。

このマンガがキラキラ♪
「火鳳燎原」(陳某 作)。台湾で連載中で、日本でも話題となった、司馬懿がメイン(?)の作品。燎原火や謎の暗殺組織(司馬懿配下?)の「残兵」、この号では顔が見えない呂布の今後の描かれ方に注目してます。

このマンガがキラリ!
「禰衡咆哮」(天真楼亮一 作)。人魚の肝を食べ、不老不死となった禰衡が、三国志の歴史を影で操ったという大胆な発想。コミカルな絵柄と共に個性的な作品です。

この武将がトホホ
「子龍奮迅」(夏秋のぞみ 原作/SHINYA 作画)の夏侯恩。外見も演出も気の毒な描かれ方なので、良いイメージを持っている方はこの作品は読まれない方がいいかもしれません…。
コレはコレ、と受け止める見方も出来ますが…。

三国志平話

2005-04-05 22:11:20 | 三国志/小説(演義ベース)
三国志平話/二階堂善弘・中川諭 (訳注)/株式会社コーエー/未確認(刊行中?)/2400円(本体価格)

内容とコメント
日本に現存する最古の三国志である「至治新刊全相平話三国志」を翻訳し、その他の文献を参考に注釈を加えた作品。
「演義」の種本と言われ、話は漢の劉邦によって殺された韓信らを曹操たちに転生させるところから始まり、蜀の滅亡後に劉氏を名乗った匈奴の劉淵が晋を滅ぼし漢王朝を復活させたところで終わっています。
人名・地名、果ては人物のエピソードの記述に誤りが多く、本書の解説が無かったら読者が混乱してしまう内容です。「平話」という作品として楽しむ分には良いかもしれませんが。

この武将がキラキラ♪
関索。宋の時代には力士などが強者である事を示すためにこの名がニックネームとして広く使われていた事、また勇猛さの象徴・関羽の名と結びついて「関索」の人物が出来上がっていった事などを紹介しています。

この武将がキラリ!
武将ではないけれど、貂蝉。「平話」では既に呂布の妻で、彼と生き別れた後に王允に保護された設定となっています。元ネタは雑劇で、その中では彼女の出生地、父の名、字が紅昌である事、「貂蝉」の由来、呂布との出会いなどの半生が描かれています。
「正史」ではモデルとなった女性、「演義」では謎の多い架空の人物といういくつもの「顔」を持つ貂蝉。この作品でも謎の素顔を一部見せてくれています。