GOGO三国志!

2014年に復活した白井恵理子先生の劉備くんシリーズや長池先生の「破龍」(完結)他三国志作品を応援しています!

長池とも子三国志「破龍」孔明と曹操編

2006-06-30 20:16:04 | 長池とも子「破龍」
三国志烈伝 破龍 第十一話「官渡前夜」/長池とも子 著/秋田書店/刊行中/雑誌価格600円(込)

内容とコメント「プリンセスGOLD7+8月号」に掲載された三国志の少女漫画。今回も曹操が主役の話。董卓暗殺後の混乱の中で力を蓄えた曹操は同じく勢力を広げた袁紹との決戦に備えていた。そんな中、戦で多くの血が流される事を危惧した諸葛亮が停戦を勧めにやって来るが…?

「官渡の戦い」の直前の話と言う事で曹操、袁紹の他、劉表や孫策など各勢力の動きもしっかり描く事で官渡の戦いまでの流れが判りやすくなっています。
それだけでなく侍女の容(よう)や曹操の心情や武人・夏侯惇の信念を絡める事で作品の深みが増しています。毎回「破龍」の見所である人物の描写に今回も引き込まれます。

孔明はあまりにも久しぶりに登場するためか、頭脳の明晰さを物語るエピソードが漫画に出て来ます。絵柄もかっこ良くなっています。…これが単行本1巻のヒョロヒョロ孔明になってしまうのが信じられない程です。

曹操陣営の参謀荀(じゅんいく)荀攸(じゅんゆう)に程(ていいく)や護衛の許チョも登場します。許チョは見せ場もあります。
水鏡先生や袁紹もちょっぴり出ます。

この武将がキラリ!
曹昂(そうこう)。この作品では細面(ほそおもて)の穏やかな表情の青年で、意外な類似点で孔明と曹操を結び付ける他、曹操の決意を固めるなど、実は意外とキーパーソン的な役割を担っています。曹操の心の奥底にいるのは嬉しいのですが、同時に戦禍の原因になっているとも取れる辛い役どころでもあるのがちょっと複雑です。
あと、曹操暗殺を防いだ許チョもかっこ良かったです。

水色孔明~
今回のカラー扉絵の孔明の絵は「崑崙(こんろん)の珠」の時のような絵柄です。絵の色は青系でまとめられ、「三国志烈伝」の文字は藤色、「破龍」の文字は紺→水色へのグラデーション、コピーの文字は赤紫です。水色(青)と紫(ちょっと赤みのある)色の組み合わせがキレイです。
見た目に涼しいイラストです。(夏仕様?)
と、いいつつ縁の下の力持ちは下に挿している黄色(黄土色?)。単純に白に塗る水色や藤色よりやわらかい感じになっています。紫だと高級感をかもし出している気がします。
いつものセピアカラーでまとめた扉絵もごひいきです。





「三国志マガジンVOL.9」その2(終)連載漫画編

2006-06-08 20:14:31 | 三国志/漫画
内容とコメント今回はストーリー漫画、ギャグ漫画などのご紹介です。著者はカッコ内です。

ストーリー漫画
「彷徨う鈴影」(志水アキ)…読みきり作品。水賊として恐れられた甘寧が劉表、黄祖の客将と変遷し、最終的に孫権の元に身を寄せるまでが描かれます。賊として日々無為に過ごす甘寧につきまとう白い影の正体は…?

「火風燎原」(陳某)は文醜VS10人の呂布。影武者ながらも呂布を自称する彼らですが…。本物の呂布は残兵2人を相手に素手で健闘中です。前号で復活を遂げた燎原火は今回出番無しです。展開の仕方が何となく日本の漫画に似てきた気がします。

「呂布が起つ!」(島崎譲)は第3回「飢狼流転編」。董卓を斬り、拠り所となる光を失った呂布はその後の乱に巻き込まれながらも光を求めてさまようが、思わぬ所に光を見出す…。これが前回貂蝉が言っていた事なのですが(汗)。今回は呂布の天然ぶりが目立ちました。

「三国志名言譚」(原作:寺島優、作画:末弘)は第四回「前面に梅林あり」。張繍(ちょうしゅう)を再び攻めた曹操だが、攻める場所を見抜かれ、大量の兵を失う。疲弊した兵と共に逃げる最中、追撃する張繍と行く先の劉表に挟まれる危機に陥った時に「この先に梅の林がある」と兵たちを励ます。
この作品ではこのエピソードを幼少時に阿瞞(あまん)と呼ばれていた事を思い出して発想したという描かれ方をしています。
何故か許チョが力士姿。

「曹操孟徳正伝」(大西巷一)はやっぱり一度しか出番が無かった孫策(汗)の死後、弟の孫権が周瑜と魯粛に励まされ大陸の南の地を治めようと決意する。彼らに恐れられている曹操は北進して袁紹の息子を滅亡に追い込むが、後押しした郭嘉が夭折する…。
今回は頭痛の話に寵姫の殺害、愛息曹沖(そうちゅう)の聡明さなど曹操のおなじみのエピソードも描かれます。
相変わらず曹操誅殺を目論む献帝(ヒゲが生えてきて曹操にそっくりになってきました)。その命を受けた荀の真意は…?

ギャグ漫画
「アレ国志」(末弘)…今回は疲労したバチョーが登場します。すっかり疲れているので強いかどうかも不明です。そして迷子。そんな彼を救ったのが五斗米道のチョーロ。何故かかわいい外見でバチョーに入信を脅迫します。外見は本当にかわいいのですが…。
呉では二張がパワーアップしています。リクソンが…魏では曹丕がすっかりグレて(ソウソウはいつもおねむ中です…)、蜀ではこうめいのせいで五丈原が核爆発。とうたくさんは討たれてないのにお腹に火を灯されています。
しゆ(諸葛瑾)イジメはエスカレートして今度は人馬の着ぐるみを着せられています。
今回も描かれたという事は結構好評だったのかも?
ロバを被せられる前のしゆは前号でご覧になれます。(販促?)こちらもかわいいです。

「STOP!劉備くん!」(白井恵理子)…メイドカフェや今年はすごかった黄砂、大人がハマるゲームのDSやおもちゃのチョロQ、お笑い芸人では桜塚やっくんに扮した周瑜が結局雑兵Aにいい所を持っていかれる話など今回も時事ネタがたくさんです。
メール操作に慣れなかったり奥さんに家を追い出される曹操(しかも子供ごと…)や連絡帳に振り回される徐庶やまたしても偽の玉璽(ぎょくじ)をつかまされる孫策やテトリスをやりすぎの馬超ですが、出番があって嬉しいです。
大相撲風の赤壁ネタも面白かったです。一体どこから座布団を…。


三国志マガジンVOL.9その1・コラムと軍師特集

2006-06-03 20:14:48 | 三国志/漫画
コミックフラッパー7月号増刊 コミック三国志マガジンVOL.9/著者はカッコ内/メディアファクトリー/刊行中/550円(込)
内容とコメント1冊丸ごと三国志の漫画雑誌。今回は読み物と特集で取り上げられた軍師たちの漫画作品をご紹介します。

読み物
三国志ニュースCLIP…三国志に関する情報を掲載するコーナー。今回はついに稼動が始まったアーケードゲーム「三国志大戦2」の新カード、新勢力や新要素の他、グッズも紹介しています。排出停止になったカード(使用は可能だそうです)のリスト掲載が親切です。
その他にはこのブログでもちょっと宣伝した京劇の記事などがあります。

三国志新聞(大澤良貴)…今回はスポーツ新聞風と言う事で、孔明の「八陣」を野球やサッカーのような解説で評価しています。結構厳しいです。
その他には「木牛流馬」を名前から想像した記事や海を隔てた邪馬台国の紹介を何故か風俗記事(?)風に書いたものや占いに人生相談まであります。
新聞の4コマ漫画には「アレ国志」のとうたくさんが出て来ました。本編で他のキャラに出番を取られてしまったからかも…?

うまなみ三国志(大澤良貴+荒木風羽)…テーマは「三国志と音楽」。いつものように古代中国の音楽の歴史から音階、楽器、三国志の中の優れた音楽家のエピソードを見やすい漫画で解説しています。

随筆三国志(大澤良貴)…「うまなみ三国志」を補足した作品。占い同様音楽を民衆を操作する事に使ったりと、何でも利用する政治家の器用さに感心しつつも半ばあきれてしまいます。
琴にまつわる話もあり、これを元に想定した孔明が司馬懿に聴かせる為に琴を弾いている解釈が三国志らしくて面白いです。

軍師大特集
諸葛亮(孔明)…中井覺氏による表紙と原色武将図絵Vol.2に登場。「出来る人だけどだからこそ人に任せられない」という見方がなかなか鋭いです。終盤の孔明が正にそんな印象でした。武将図絵の孔明もかなりくたびれた様子に描かれています。
漫画作品「諸葛の魔陣」(原案協力:黒田タケフミ・作画こしじまかずとも)は北伐に失敗し続ける蜀の孔明が武力・機動力で勝る魏を相手に連弩隊や槍兵などで構成された無敵の陣形を取り、敵兵をさんざんに打ち負かす内容。タイトルは「魔陣」ですが孔明の方が「魔人」という描かれ方です。

沮授(そじゅ)…「大不忠者」(原作:大澤良貴・作画:黄十浪)は王を補佐や的確な戦略に自負があった沮授だが、仕えた韓馥(かんふく)や袁紹に聞き入れてもらえず、我が身の不運を嘆く日々を過ごしていた。袁紹が敗れた後に自分に足りなかったのは策を聞き入れさせる事だと気付いた沮授は…。
前号の夏侯惇の話のように、相手の(前作では関羽)姿を通して自分の過ちに気付く描写が良かったです。(ちなみに今回は郭嘉だったのが嬉しいです)
この過ちがタイトルの「大不忠者」の意味に繋がるという流れも良いです。

陸遜(りくそん)…「社稷(しゃしょく)の臣」(中島三千恒)に登場。孫策の戦に巻き込まれ、従祖父を始め一族が死んだ事で呉の名家の一つ・陸家の当主となった陸遜。その重責を実感していた彼は頭を下げてスカウトに来た孫権に同じ物を見た事で孫家への憎しみが解け、幕下に加わり主君の為に尽力する。…が、跡継ぎの問題で忠言した折、孫権が自分を取り上げた本当の理由を知ってしまう…。
沮授の話と同様、最期の場面(心理)が今までと違った印象を抱く内容に描かれています。

魯粛(ろしゅく)…「魯粛シリーズ」の第五話「捕風船」(佐々木泉)は異民族に興味を持った魯粛が作らせた船が呉の水軍の要になる話が様々な人の思惑を絡めながら展開します。
…凌統が結構空回りしています。