GOGO三国志!

2014年に復活した白井恵理子先生の劉備くんシリーズや長池先生の「破龍」(完結)他三国志作品を応援しています!

川本喜八郎 特集本

2007-09-21 20:46:02 | 三国志/関連本
別冊太陽 川本喜八郎 人形―この命あるもの/平凡社/刊行中/2520円(込)

内容とコメントNHK人形劇「三国志」などでおなじみの川本喜八郎氏の手がけた作品を写真入りで紹介する他、関係者の証言、対談、本人の回顧録などから氏の人物像や作品の魅力に迫った大型本。氏のアトリエや貴重な人形制作工程などの貴重な写真もあります。

「三国志」に関しての事だけを書くと、「人形劇三国志」に登場した劉備たちの写真を大きく掲載し、人物紹介と制作エピソードが付記されています。
作品関係者からの寄稿は諸葛亮孔明他の声を担当した森本レオ氏、音楽担当の細野晴臣氏がアフレコ現場の様子や音楽製作当時を振り返った内容です。

巻末には、紹介ページには登場しなかった「三国志」の人形(他にも全作品の人形)が小さいながらも網羅されています。モノクロ写真なのが惜しいですが、それぞれの個性が良く現れたポーズをとっていて、愛嬌があります。

「三国志」にしても「平家物語」にしても、どんな人物を表現したのかと言う説明文があるのですが、改めて読むまでも無く人形の顔や衣装にそのまま現れている事に感嘆させられます。
アフレコ現場は、とても楽しそうな雰囲気です。見得を切る芝居がやはり照れてしまったり、セリフを言っている陰で他の人が笑いをこらえていたとか。

川本さんの人形制作の工程は興味があったので、この本での紹介の仕方はかなり大まかでしたが、それでも今回見る事が出来て良かったです。関係者の寄稿では舞台背景についての記述もありました。
文楽の人形遣い吉田文雀氏との対談でも人形制作のこだわりや原料に触れた話をされていました。
それ以前に氏が過去に影響を受けた人物・技術・原作や手がけた作品が実は人形師・川本喜八郎氏自身を作り上げていると言う印象を受けます。
今までの人形作品やそれ以外のアニメーション作品の写真があるのも貴重です。

とにかく内容が濃い1冊です。人形アニメーションに強く興味のある方や芸術に造詣が深い方が読まれると、より川本氏と作品の奥深さに浸れる事と思います。

ここでお知らせ
三国志とは関係ないのですが、去年上演された「死者の書」(原作:折口信夫)がDVD化されるそうです。
2007年秋(10月24日)予定で、価格は税込み3990円。
発売元はジェネオンエンタテイメント。
収録内容は「死者の書」の他、「ひさかたの天二上」、メイキングオブ「死者の書」。







三国志画集3種

2006-04-18 20:09:41 | 三国志/関連本
現在刊行中の画集2冊とこれから刊行予定の画集のご紹介です。
残念ながら実物はまだ見た事も無いのですが、せっかく発売されているので概要だけまとめてみました。

百花三国志/正子公也 画/発行:魁星出版株式会社、発売:株式会社學燈社/刊行中/3360円(込)
正子公也氏の三国志画集。サイズはAB版。「三国志マガジン」(創刊号~白眉最良号)や「呉・三国志」(伴野朗 著 集英社)の文庫版カバーにも掲載されたリアルさとパステル画のような淡さを持つ美しいイラストが画集になりました。
「三国志マガジン」では呂布と貂蝉の絵がちょうど人物の部分が中央にある為「ノド」(本を閉じる部分)にかかって見辛くなってしまったが惜しかったので、今度は見やすく1ページ掲載に変更されているといいのですが…。
俳優の丹波哲郎さんにあまりにもそっくりな司馬懿も載っている事を期待します。(これは文庫版「呉・三国志」の表紙を見た方が早いかも…)
情報源:朝日新聞

長野剛 人物イラストレーションワークス/長野剛 画/コーエー/刊行中/3570円(込)
「信長の野望」や「三國志」シリーズなど、コーエーのシミュレーションゲームのパッケージイラストでおなじみの長野氏の初の画集。サイズはA4。コーエーのHPによるとゲーム作品だけでなく書籍の挿画も収録されるようです。ミリタリー、SF作品も手がけているそうです。
巻末にはファンには嬉しい長野氏へのインタビューや作品リストもあります。

これから刊行予定の画集

諏訪原寛幸作品集 REBIRTH~再誕~/諏訪原寛幸 画/コーエー/5月下旬予定/2940円(込)
「真・三國無双」「戦国無双」と、「無双」シリーズのキャラクターデザインを手がけた諏訪原氏の作品集。サイズはA4。収録作品はゲームの限定版に付属のキャラクター設定画集の男性武将の設定画とイラストと予想されます。CGとは違う顔つきの武将たちが見られる貴重な画集になると思います。
その他、新紀元社でも人物イラストの表紙を数点描いているのでそれも収録されていると嬉しいです。カラーなのに渋い柳生十兵衛や爽やかな前田慶次とか。

こんな画集も欲しい!
景由昌美さん(コーエーCG部)の画集。諏訪原さんと同じく、「無双」シリーズの女性武将のデザインとイラストを担当しています。油彩のようなタッチと明るく華やかな色使い、何より女性の肌の質感はドキドキさせられるほどの美しさです。イラストはCGに忠実に再現され、特に祝融はイラストそのままの姿です。
女性武将は人数が少ないのですが、イラストが溜まったら是非画集化して欲しいです。
CGのCがOに見えますが、アルファベットのC(シー)です

セガのアーケードゲーム「三国志大戦」のカード画集も出して欲しいです。担当するイラストレーターさんが多いので権利等で難しいかもしれませんが(汗)。






正史三國志 群雄銘銘傳

2005-10-06 20:53:48 | 三国志/関連本
正史 三國志 群雄銘銘傳(ぐんゆうめいめいでん)/坂口 和澄(さかぐち わずみ)著/光人社/刊行中/3800円(本体価格)
内容とコメント「正史」(魏書・蜀書・呉書に分かれた歴史書)に登場する「三国志」の登場人物に裴松之の注釈や「後漢書」、「晋書」、「世説新語」「華陽國史」などからエピソードの補足、子孫の略述を加えた人物事典。本は分厚くて重く、ページ数が726Pと、とにかく多いので、著者が薦めるように好きな人物の項から読むのが効率がいいかもしれません。
人物伝は魏・蜀・呉・後漢に分けられ「演義」に登場しない人やあまり目立たなかった人、また、当時の異民族についてもきちんと紹介しています。
年代は読者が混乱しないように元号ではなく西暦が使われ、巻末には人物の生・没年も加えた年表もあります。
人名や一部の漢字には原典どおりの表記(旧字体)が使われています。例:欠く→缺く
「まえがき」を読んで覚えておかないと、漢字が出たときに焦ります。
人物のエピソードに矛盾した記述がある場合などには著者独自の考えも記されています。
無名の(失礼ですが)人物の清廉さや忠臣ぶり、とばっちりで命を奪われる運命の皮肉さ、あるいは保身に走る見苦しさといった数々の記述、占いで孫権などの有力者に頼られていた人々の存在、正しい音楽の復興に尽くした人、各分野で才能を発揮した発明家たち、「演義」には登場しないものの、馬超をあわや刺し殺す寸前まで追い詰めた武将(閻行‐えんこう‐)、黄忠をしのぐ活躍ぶりの老将(呂岱‐りょたい‐)、諸葛亮が崔州平(さいしゅうへい)や徐庶と親しかった背景、陳寿は人物の不名誉なエピソードにはその人物伝での記述は避け、関連する人物伝の中で記述している、など、色々と新発見をする事が出来ました。
有名な武将の新たな一面にも触れる事が出来、より好感度が増しました(笑)。
老将も沢山出て来て、本当に「三国志お達者くらぶ」が作れそうです。

この武将がキラキラ♪
主君を陰で支える人たち。間引きを行っていた人民に農地を開墾させて生活を安定させた鄭渾(ていこん)、屯田制を進言した任峻(じんしゅん)、棗祗(そうし)と韓浩(かんこう)や異民族の侵攻を武力で防いだ牽昭(けんしょう)、誠実な人柄で防いだ馬忠と張嶷(ちょうぎょく)、その他の人々…。こうした人々がいたお陰で、曹操や諸葛亮、孫権が国事や外患に煩わされる事なく三国間での戦に明け暮れる事が出来たのかもしれません。
彼らを現地に赴任させた曹操たちの頭脳の凄さも改めて思い知らされます。(謀臣の献策かもしれませんが)

この武将がキラリ!
夏侯惇と夏侯淵。夏侯惇は大旱魃(かんばつ)と蝗(いなご)の害で苦しむ民の為に太寿の河をせき止めて堤防を作り、自ら土を担いで運び、将校・士卒にも稲を植えるように指導したそうです。当時の将が自ら労働する習慣が無かった点でも(あったとしても想像する事も無かったです)貴重ですし、土を担ぐ将軍の姿もかなり貴重です。合戦中とはまた違う凛々しい姿かな、と想像しちゃいます。
夏侯淵は曹操が家にいた頃、彼の身代わりで重い罪を被り、そして救い出されたそうです。
一体どんな罪状で、何故罪を被ったのでしょうか?想像するのも楽しいですし、小説や漫画でも読んでみたいです。
それも気になるのですが、兗州(えんしゅう)・豫州(予州・よしゅう)の大混乱で飢餓に見舞われた時、夏侯淵は自分の幼子を後回しにしてまで亡き弟の遺児の面倒を見たというエピソードが新鮮でした。でも正直、実子と“同様に”、が良かったのですが…。
凌統も若いながら誠実さを伝えたエピソード(留贊‐りゅうさん‐の項)を知る事が出来て良かったです。そして、若くして亡くなった事も…。著者が紹介した説では享年29歳。若すぎます…。少しイメージが変わったかも。高順も良かったです。彼の軍の渾名(あだな)・「陥(かん)陣営(敵の陣営を陥‐おと‐す)」がかっこ良いです。
あとは、太史慈! 理由は後述します。

この武将がトホホ
周不疑(しゅうふぎ)。幼い頃から聡明で、曹操にも「自分の娘を嫁がせたい」ほど気に入られていた人ですが、やはり幼くして聡明だった曹沖がわずか13歳で亡くなると一転して疎まれ、ついに刺客により殺害されてしまいます。「彼の才覚は曹沖以外には御しきれないほど後の脅威になる」と曹操は暗殺を止めようとした曹丕に言うのですが…暗殺時の彼は17歳。単純に考えるとやはり曹操が才能にあふれたまま成長した彼に嫉妬したように見えます。…子供の頃から思いやりのあった曹沖がそれを喜ぶとは思えません。

このエピソードがキラリ!
孫策との一騎打ちが有名な太史慈ですが、この本では黄忠もビックリの弓の腕前や孫策に登用された太史慈のその後のエピソードも紹介されています。
その中には、なんとあの曹操にスカウトされた話も!太史慈の評判を聞いた曹操は彼に手紙を送ります。文面には何も記されず、ただ当帰(とうき)という薬草が入っているだけ。
これは「当(まさ)に帰(き)すべし」という謎かけで、曹操の粋な一面を伝えています。
この話も色々考えると面白いです。太史慈の事は遠くまで聞こえた武名の他、配下の孔融からも聞いているかもしれません。(孔融とはかつて母の面倒を見てもらった事や、その恩で彼の危機を救ったなど、色々縁があったので)
配下への誘い方もいつもと違います。いつもの「捕縛後に説得や賛辞、人柄で魅了」ではなく、馬超と韓遂の時にあった離間の計でもなく、謎かけで呼びかけたのは、学問を好んだ太史慈の教養を知って(或いは聞いて)、試したのでしょうか?
配下に欲しくても強引に離間をしなかったのは、関羽の時のように心証を悪くしたくなかったのかもしれませんね。あの時は馬超と韓遂(のどちらか)を配下にする気は無く、不仲が目的で、しかも入れ知恵で、年代も違います。
太史慈の場合は将に恋する(吉川英治 三国志 参照)パターンだと思います。
薬草というのも太史慈が母親思いであるなら効果的です。謎が判らなくても母の為に薬草を送るか使えばいいですし。まさかいきなり毒草は贈らないでしょうから。それこそ印象は最悪になってしまいます。
曹操に認められる太史慈も凄いですし、目を付けた曹操も流石です。どちらも嬉しく思います。



英傑たちの三国志

2005-07-01 20:22:03 | 三国志/関連本
英傑たちの三国志/伴野朗 著/NHK出版/刊行中/1400円(本体価格)
内容とコメント過去に放送されたラジオ番組のテキストの加筆・修正版。
三国志の人物のエピソードを、所出の資料と共に紹介し、著者の思い入れを交えています。
「呉・三国志」の裏話も明かしています。
また、著者が実際にゆかりの地を訪ねた際の検証や推測した事も語られています。

この武将がキラキラ♪
姜維。彼の謎の半生に著者は思いを巡らせているようです。
言われてみれば、この方は不思議な人物です。

この武将がキラリ!
張飛。この本では彼が美人画の名手であったという伝承を紹介しています。
彼の作といわれる美人画も、実際に残っているそうです。
張飛の意外な一面に驚きつつも、その絵を見たくもなりました。
もう一人は、高順。呂布や張遼の存在感に押されがちですが、この方も勇猛さと人柄では決して遅れは取りません。
呂布の配下にはこれほど強くて立派な人がいたのに…。






幻の三国志 その1「人形劇三国志脚本」

2005-06-22 23:58:47 | 三国志/関連本
幻の三国志では現物入手不可能な作品を紹介します。

コバルトシリーズ人形劇三国志(上・中・下)/小川英・田波靖男 著/集英社/絶版?/価格不明

内容とコメントNHK人形劇三国志の脚本集。こちらは存在したという事しか判っていません。
少女小説のイメージのあるコバルト文庫が版元ということに驚きました。
この作品は現在、復刊ドットコムで復刊をリクエストされています。


三国志読本(北方三国志・別巻)

2005-05-07 22:02:37 | 三国志/関連本
三国志読本(とくほん)北方三国志別巻/北方謙三 監修/角川春樹事務所/刊行中/571円(本体価格)

内容とコメント「北方三国志」の文庫化に際し、発行された手引書。「三国志」への深い思い入れを語った著者インタビュー、三国志時代の地理的検証、軍事、戦闘艦、武器、鎧の解説、官職と給与の紹介、曹操の詩作や食文化といった資料、「北方三国志」の内容に沿った人物の精神論、人物事典、年表、新聞「三国志通信」(単行本各巻付録を改訂)を収録しています。
戦闘艦の解説は図が欲しいところですが、その他の資料と共に興味深い内容になっています。

この項目がキラリ!
北方氏ロングインタビュー。武将一人一人に対して好意的で、書いてて楽しかったり、思い入れが強すぎたために先の執筆が非常に辛かった事を語られていたのが嬉しいです。
執筆当時の、西村京太郎氏や角川春樹氏とのエピソードがほほ笑ましいです。

この武将がキラリ!
張遼。彼の人物像はある武将の人格をフォローする役割があった事が明かされ、正直ショックですが、それだけに留まらない独自の軍事センスの持ち主と想定されていたのが嬉しいです。
個人的には張遼は関羽の人格もフォローしていると思います。張遼の生きる理由が関羽のあの台詞に尽きると見ていますので。

三国志早わかりハンドブック(偕成社三国志・別巻)

2005-05-02 20:51:34 | 三国志/関連本
三国志・別巻三国志早わかりハンドブック/渡辺仙州 編著・佐竹美保 絵/偕成社/刊行中/1000円(本体価格)

内容とコメント「三国志」全4巻の解説書。巻頭は群雄のカラー絵から成り、本書に沿ったあらすじや年表、主要人物の系譜、度量衡の換算値を掲載する他、当時の中国の情勢(異民族や政治体制、暦など)を解説しています。
面白いのは官位の名や位の高さ、役割を解説した「官職早わかり表(50音順)」と、武将同士のつながりを列挙した「登場人物おもしろ組み合わせ」。三国志を深く楽しめる趣向になっています。

この項目がキラキラ♪
出師の表の原文と訳文掲載。諸葛亮が魏へ北伐する際に蜀主・劉禅にあてた上奏文で、先代・劉備に受けた恩義や蜀の内政の充実を忠言するなどの内容をわかりやすく訳しています。

この項目がキラリ!
巻末の三国志人物事典。「三国志」(全4巻)に登場する500人あまりをほぼ挿絵つきで紹介しています。例え話に登場する春秋・戦国・前漢時代などの人物まで出て来ます。

中国の歴史04 三国志の世界

2005-03-30 20:55:43 | 三国志/関連本
中国の歴史04 後漢 三国時代三国志の世界/金 文京 著/講談社/刊行中/2600円(本体価格)

内容とコメント歴史書の記述が少ない呉について、近年(80~90年代)の様々な発掘資料をもとに、孫権の海洋展望、、民間による呉と倭の交易の可能性など、当時の情勢を想定しています。
蜀については、やはり「名士」の扱いに困り滅亡を招いたことを紹介しています。
その他、三国時代の宗教、文学、暦などの文化や国際関係も詳細です。
「正史」と「演義」を対比し、「演義」の時代考証の甘さと、地理的誤りを指摘し、その理由を解説しています。
また、三国時代以降の「三国志」書籍が、書かれた当時の政権や民族などの時代背景を反映していることも述べています。

この武将がキラリ!
魯粛。「演義」ではお人よしなイメージを定着されてしまったけど、この本では主君(孫権)には理解されなかった彼の戦略を詳しく述べ、その正しさと先見の明を高く評価しています。
荊州の領有をめぐる「単刀会」のエピソードも、史実では関羽(著者は呉の強硬派と見ています)に激しく叱責し、なおかつ同盟による和平維持に努めたことを紹介しています。
関羽に一言も返させなかった堂々たる態度がかっこいい~

この武将が???
孫権。北方と結んで魏を挟撃する計画や海外との交易を試みたなど、(いずれも失敗したものの)海洋戦略の壮大さには目を見はるものがあります。…が、交易に失敗した派遣隊を処刑するなど、マイナス要素も多い人物です
ともあれ、孫一族に海への独特な感覚があったという著者の見方に、彼らの新たな魅力を垣間見ることが出来ました。


「三国志」の民間説話集

2005-03-20 21:20:35 | 三国志/関連本
三国志外伝 民間説話にみる素顔の英雄たち/湖北省群衆芸術館 (編)/立間 祥介・岡崎 由美 (訳)/徳間書店/未確認(絶版?)/1600円(本体価格)←1990年当時の価格です

内容とコメント
「三国志」の民間伝承を集めた「三国志外伝」(湖北省群衆芸術館・編)を抄訳したもので、関羽の出生、孔明とその妻、張飛のお裁き、軍才に長けた小喬、董卓暗殺のために華佗の「改造」を受ける貂蝉などのエピソードを紹介しています。
他にも、劉備、姜維、周瑜、孫策など、民間に人気のある武将も登場します。曹操の話は、やはり良い話ではありません。
また、イ族に伝わる孟獲の話も収録されています。

この武将がキラキラ♪
花関索(かかんさく)と鮑三娘(ほうさんじょう)の夫婦、そして関羽の三女・銀屏(ぎんぺい)。「正史」には登場しないものの、かなり細かい設定や波乱の人生だったことなど、リアルな人物像が伝えられています。

この武将がキラリ!
関羽と孟獲。関羽は青龍刀、名前の由来、「月下に貂蝉を斬る」など、「正史」や「演義」にも引けを取らない魅力的なエピソードが多いです。「月下に…」は情景が美しいです。
孟獲の伝説も結構ドラマチックです。孔明を五度も捕らえた話もあり、ちょっとイメージが変わるかもしれません。

三国志の舞台

2005-03-17 21:11:16 | 三国志/関連本
三国志の舞台(世界歴史の旅シリーズ)/渡邉義浩・田中靖彦 著/山川出版社/刊行中/2500円(本体価格)

内容とコメント三国志の舞台となった名所を、その地にまつわるエピソードと共に紹介しています。2004年初版の比較的新しいガイドブックなので現在の名所の様子がわかります。
三国志の人物の像の写真が豊富で、カラーであるのも(多くのガイドブックではモノクロが多い中)、とても貴重です。見やすく、色、質感も伝わります。
三国志の歴史や、現代中国での浸透ぶりも紹介してます。
巻末の人物小事典では「正史」と「演義」での違いを、年表では三国志書籍の歴史まで紹介してます。 参考文献の紹介も丁寧です。全体的に親切な内容になってます。

この武将がキラキラ♪
周瑜の赤壁抗戦を支持した魯粛など、名将を陰で支えた「名士」たち。
また、「名士の扱い」をキーワードに、袁紹と公孫瓚、対照的な二人の台頭と没落を解説しています。

この武将がキラリ!
夏侯紅(かこう こう)。魏の女性武将で、張飛とのジェスチャー問答がきっかけで彼の妻となる人。この話は「演義」などにも見られません。ただ、張飛の妻が夏侯覇の従妹である事は「魏略」に記されています。
張飛の唯一の(?)ロマンスなエピソードです。