三国演義(全六巻)/安能 務(あのう つとむ) 著/講談社/未確認(刊行中?)/各1900円(本体価格)
内容とコメント物語の展開は「演義」のままですが、人物の性格は「正史」で見られるものを著者なりに若干変えて描いています。(劉備や孔明を冷めた目で見る簡雍(かんよう)の人物像は何となく著者自身を反映しているような気がします。)
それでいて、時折武将の描写(特に性格)が矛盾しているような印象も受けます。
例えば、諸葛亮に余裕を見せておいて後で悔しがる周瑜。まるで情緒不安定のように見えてしまいます。
文章は言葉を辞書を引かないと判らないほど堅いです。漢和辞典を引く回数も多かったです。2ページに1回は引いていたような…。
文章はシリアスなのですが、会話になると「やあ、きみ」や「そうだね」など途端に表現が軟らかくなり、肩すかしをくらったようで戸惑います。数々の緊迫した場面もこれで台無しになっていると思います。
劉備の馬になるはずだった「的盧」(てきろ)が別の武将の愛馬になって活躍したり(ホウ統が劉備の馬に乗って落命する点は同じ)、張飛と関羽が孔明に逆らって自分で兵を養う具体的な方法、関羽と張遼が幼なじみ、など、他にも豊富な著者独自の設定が新鮮なので難解な文章の中、投げ出す事無く読み続けられます。
この武将がキラキラ♪![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/shootingstar.gif)
呉の武将たち。「三国志」ものではその活躍がおざなりにされている事が多いのですが、この作品では比較的出番が多く描かれます。
特に甘寧は呉のエースとして活躍する姿がたくさん見られます。
この武将がトホホ![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/hiyo_cry1.gif)
孔明と陳宮。陳宮は呂伯奢一家殺害後に曹操と別れてからさっぱり出なくなってしまいます。てっきり徐州で曹操が行った大量虐殺をやめるよう忠告に訪れたり、あるいは呂布のもとに走るのかと思っていたのですが…。完全に忘れ去られているようです![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/kaeru_shock1.gif)
孔明は呉に説客に来た時や劉備軍にいる時などは周瑜たちに見守られる「道化」のような役回りになっています。十万本の矢の集め方は周瑜にも判っていたけれど、あえて放っておいたり、関羽たちを従わせようとやたらとはりきっている孔明の場面は何だか気の毒に思えてしまいます。その割に後半は立派な人物に書き換えられていて、矛盾を感じてしまうのです。
この武将がキラリ!![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/star.gif)
趙雲。こんな所にも?と思うほど出番が多いです。この作品では心打たれる武将が多かった中、かっこ良さだけでなく設定の点でも良かった事が決め手になりました。
張飛を兄のように慕い、関羽の弔い合戦を宣言する劉備を諫める場面では言葉の裏に、死に物狂いで孫権を討とうとする張飛を止めようとした意図があった事が演出されています。
この場面がキラリ!![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/star.gif)
甘寧の死の場面。大木の下に座ったまま迎えた最期は穏やかでまるで絵をみているかのような印象的なシーンになりました。
諸葛亮の子諸葛瞻(しょかつせん)・尚(しょう)父子が「孔明の名声」という首枷(くびかせ)に苦しめられながらも潔く死を覚悟する場面や折り重なって戦死する場面に涙ぐみます。
この女性がキラリ!![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/kaeru_rain.gif)
劉備の第五皇子・劉(りゅうじん)の妻・崔(さい)夫人。潔い気質と、柱に頭を打ち付けて自殺する、ちょっとビックリする最期、それ以上に劉に見せた微笑みが魅力的です![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/face_heart.gif)
内容とコメント物語の展開は「演義」のままですが、人物の性格は「正史」で見られるものを著者なりに若干変えて描いています。(劉備や孔明を冷めた目で見る簡雍(かんよう)の人物像は何となく著者自身を反映しているような気がします。)
それでいて、時折武将の描写(特に性格)が矛盾しているような印象も受けます。
例えば、諸葛亮に余裕を見せておいて後で悔しがる周瑜。まるで情緒不安定のように見えてしまいます。
文章は言葉を辞書を引かないと判らないほど堅いです。漢和辞典を引く回数も多かったです。2ページに1回は引いていたような…。
文章はシリアスなのですが、会話になると「やあ、きみ」や「そうだね」など途端に表現が軟らかくなり、肩すかしをくらったようで戸惑います。数々の緊迫した場面もこれで台無しになっていると思います。
劉備の馬になるはずだった「的盧」(てきろ)が別の武将の愛馬になって活躍したり(ホウ統が劉備の馬に乗って落命する点は同じ)、張飛と関羽が孔明に逆らって自分で兵を養う具体的な方法、関羽と張遼が幼なじみ、など、他にも豊富な著者独自の設定が新鮮なので難解な文章の中、投げ出す事無く読み続けられます。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/shootingstar.gif)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/shootingstar.gif)
呉の武将たち。「三国志」ものではその活躍がおざなりにされている事が多いのですが、この作品では比較的出番が多く描かれます。
特に甘寧は呉のエースとして活躍する姿がたくさん見られます。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/kaeru_shock2.gif)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/hiyo_cry1.gif)
孔明と陳宮。陳宮は呂伯奢一家殺害後に曹操と別れてからさっぱり出なくなってしまいます。てっきり徐州で曹操が行った大量虐殺をやめるよう忠告に訪れたり、あるいは呂布のもとに走るのかと思っていたのですが…。完全に忘れ去られているようです
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/kaeru_shock1.gif)
孔明は呉に説客に来た時や劉備軍にいる時などは周瑜たちに見守られる「道化」のような役回りになっています。十万本の矢の集め方は周瑜にも判っていたけれど、あえて放っておいたり、関羽たちを従わせようとやたらとはりきっている孔明の場面は何だか気の毒に思えてしまいます。その割に後半は立派な人物に書き換えられていて、矛盾を感じてしまうのです。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/star.gif)
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趙雲。こんな所にも?と思うほど出番が多いです。この作品では心打たれる武将が多かった中、かっこ良さだけでなく設定の点でも良かった事が決め手になりました。
張飛を兄のように慕い、関羽の弔い合戦を宣言する劉備を諫める場面では言葉の裏に、死に物狂いで孫権を討とうとする張飛を止めようとした意図があった事が演出されています。
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甘寧の死の場面。大木の下に座ったまま迎えた最期は穏やかでまるで絵をみているかのような印象的なシーンになりました。
諸葛亮の子諸葛瞻(しょかつせん)・尚(しょう)父子が「孔明の名声」という首枷(くびかせ)に苦しめられながらも潔く死を覚悟する場面や折り重なって戦死する場面に涙ぐみます。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/hiyo_uru.gif)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/kaeru_rain.gif)
劉備の第五皇子・劉(りゅうじん)の妻・崔(さい)夫人。潔い気質と、柱に頭を打ち付けて自殺する、ちょっとビックリする最期、それ以上に劉に見せた微笑みが魅力的です
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