トレード備忘録 & MT4/MT5インディケータ及びEAの開発

日々のトレード備忘録及びMT4/MT5に関する事項

MT5(MetaTrader 5)急がば回れの学び方(1)

2017-09-24 13:49:31 | 投資

 余資の運用或いは一寸したゲーム感覚でFXを始めた人も、数ヶ月も経てばそのトレードの難しさや不確実性に翻弄されることになる。FXは2国通貨間の交換レートであり、その本質は当該2国の相対的なマクロ経済比較で決定されるはずなのだが、現実の為替レートの動きは、一見そのような分析とは無縁であるかのような動きをみせる。最終的には、購買力平価等のマクロ経済分析(ファンダメンタル)で均衡が達成されることになるはずだが、その実現は2年先になるのか、3年先になるのか、現実の為替市場は何も教えてくれない。 

 デイトレに代表される短期取引ないしはせいぜい数週間単位の中期FX取引では、現在及び過去の為替レートの動きを分析すること(テクニカル分析)で近未来の動きを予測することが重要になってくる。FXトレーダーにとって、テクニカル分析の中心であるチャート分析なしには、売買戦略は考えられない。上記のファンダメンタルによる将来予測も、通貨の需給要因も、市場参加者の心理的要因も、それらのすべてが現在の為替レートに反映されているとみるのである。 

 FX会社(ブローカー)は例外なく自前のチャートシステムを提供している。そして、どの会社も代表的なテクニカル指標を20個程度搭載している。例えば、移動平均線、ボリンジャーバンド、RSI、一目均衡表などがその中心である。ところが、世の中には何百、何千というテクニカル指標が存在するから、そのすべてを網羅することはできない。また、会社ごとに採用するテクニカル指標が異なっているので、個々のトレーダーが取引をする会社に自分が好むテクニカル指標が搭載されているという保証はない。 

 この問題を解決してくれたのが、メタトレーダー 4(MT4)であった。MT4は汎用性・拡張性に優れていて、極言すると世の中に存在するありとあらゆるテクニカル指標をそのチャートシステムに取り込むことが可能なのだ。それだけではない。もし、貴方の脳裏にあるトレードアイデアが閃いたとしたら、その考えに基づくテクニカル指標を簡単にプログラムにできるような環境が提供されている。自分だけのテクニカル指標を作ることも可能なのである。その結果、テクニカル分析は無料で使用できるMT4システム上で行い、実際の取引は各自が口座を有するFX会社で行うトレーダーが多くなってきた。 

 トレーダーの夢は尽きない。ある手法に基づくFX手法が好成績を収めているとする。それならば、「その手法そのものを自動売買プログラム化してシステムで勝手に取引させることができないか」という夢であろう。MT4では、こんな夢も既に現実となって久しい。出来上がったプログラムが過去の実相場に照らして、実際に利益を生み出すのかどうかの事前検証まで可能になっている。この自動売買プログラムはMT4ではEAと称されるが、今やEAは全世界で自動売買プログラムを意味する普通名詞のように使われている。 

 ここまでのお話しはMT4に関してのものであり、これの学習にはパンローリング社から刊行されている「FXメタトレーダー入門」と「FXメタトレーダー実践プログラミング」(豊嶋久道著)がMT4教科書としてはバイブル的存在として欠かせない。この教本はプログラミングには疎い文科系の読者にも、知らず知らずのうちにC言語の基礎を教えてくれる。「好きこそ ~ 」の例えで、全くの門外漢である筆者にもいまやインディケータやEAのプロフラミングが数少ない趣味の一つともなっている。 

 本題はMT5の学び方であった。なぜMT5かというと, 近い将来MT4がMT5に吸収・統合されることが予想されるからである。この間の事情は、以前のブログで詳しく述べているので参照していただきたい。 

 MT4とMT5では処々に互換性がないため、MT5でテクニカル指標やEAをプログラムするには、新しくMT5用の言語MQL5を学習し直さなくてはならない。テクニカル指標については、MT4と若干仕様は複雑になるが、プログラムの行数にして10行程度追加する程度なので、それほど学習には支障はない。問題は、EAである。MT5のトレード関数は極めて複雑になっていて、新規注文、注文変更、注文キャンセル、決済等の全てをOrderSend()関数1本で済ましてしまう。関数の引数は2個の構造体で構成され、2個の構造体の中身はそれぞれまた15個以上のデータ(メンバ)で構成されているため、素のままではとても扱うことのできない代物である。ベテランのプログラマーであっても、何か工夫を凝らさなければやっていけないはずだ。これまでMT4で楽しくIndicatorやEAを作成していた人も、もはや自前でプログラムすることを諦めることにもなりかねない。 

 これまで通り自分でインジやEAを作成したいと考えるならば、いまから学習を開始するに越したことはない。MQL5サイドでもFXの取引実態に即した内容に更新されてきており、また、利用者サイドでも種々の工夫がなされつつあるので、勉強を始める環境が整ったといえる。しかし、やみくもにMT5の学習を始めても迷路に入りこむという危険な状況にある。MT5の学び方にも工夫が必要になってきた。 

 MT5(MetaTrader 5)急がば回れの学び方(2)に続く



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