2019年、スペインはマドリードでのライヴ。
「使い捨ての英雄(ヒーロー)」なんて言いますと、私は幕末の暗殺要員、謀略要員として使うだけ使われて、用がなくなると見捨てられた人たちのことを思ってしまいます。彼らはある時期までは間違いなく英雄だった。しかし
時の流れとともに徐々にその存在は邪魔なものとなっていく。そうして彼らは、使い捨てられる。
土佐の橋本以蔵や、赤報隊の相良総三など、使い捨てられた者たちの無念、怒り、恨み、悲しみ。暗殺と恫喝で作られた明治の新しい世は、そんなものたちをはじめとする多くの武士たちが流した血と汗と涙の上に作られた。
しかし出来上がった明治の世は、そんな武士たちをも容赦なく切り捨てる世だった。
一部の支配層以外、ほぼすべての武士たちは、使い捨てられたと言っていい。
西郷隆盛が起こした西南戦争は、そんな武士たちへの、せめてもの償いだったのかも知れない。
いくさで使い捨てられるのは、いつも末端の兵士たち。今日もまた、世界のどこかで、
多くの兵士たちが英雄に祭り上げられ、そして
使い捨てられる。
そんな使い捨てらの無数の兵士たちの犠牲の上で今の平和があることを、せめて私たちは忘れてはいけない。
戦争が一日でも早く、終わりますことを。