ハワイ旅行記ブログ 行燈徒然日記

雑多に色々と・・・ 読んでもつまらんよ!

箱根の坂

2005年01月29日 | Weblog

今読んでいる本にについて、書いてみたい。
現在読んでいる本は、司馬遼太郎氏著「箱根の坂」上・中・下巻である。
氏の著書は殆ど読んだ気になっていたが、先日書店にてこの本を
偶然に見かけ購入した。この物語の面白いところは、上巻終わりにきて
やっと主人公が特定できる点である。しかしその一節まで、読者を
飽きさせず引っ張って行く、氏の文書力にも感服する。
他にも、室町期の風俗や人々の思考感は、現在には理解しがたい
ものであり、この点も大いに関心を持つところだ。

私が歴史小説を好むのは、ひとつには過去の事件、事例
に直面した人の行動が、現代に置き換えてみても充分
通用する指針になる事だ。言い替えれば人は、何度も
同じ過ちを犯す生き物であると言える。
つまりその儚さが、なんとも好きなのである。
さらには事にあたり決断の重要性と、反面何もしない事の尊さも教えられる。
そして最後は偶然を含めた、その人の運命のようなものが心に響く。
これは、フィクションでは決して描けないものであると思うし、
また全てが事実であるとも思えない。
その裏には今は無い人を再生するための、著者の緻密な取材がある。
集めた膨大な資料を元に、主人公やその周囲の人々の性格までも、
旧知の仲であるように描く力は、司馬氏が抜きん出ているように
思える。歴史小説を手がける著名な作家は、他にも沢山存在するのだが、
私が司馬氏を好むのは、真実と虚実の狭間で描かれる登場人物の面白さの
妙に、引き込まれて行くからかも知れない。
コメント
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