ビニタイの誘惑

 ここでも何度か書いたが、みゆちゃんはビニタイが大好きである。パンの袋などをねじってとめてあるのをはずして手渡すと、前足ではじいて床を滑らせ、それをどんどん追いかける。廊下へ持っていって、右へ左へ何往復も追いかけて走る。
 しばらくすると、そういうがむしゃらに追いかける単純な遊びに飽きたのか、それとも走り回るのに疲れたのか、ちょっと複雑な遊びに移行する。ビニタイを台所へ持って行って、今度は林立するテーブルや椅子の脚の間を動かして遊ぶ。自分は横着な格好で寝転がったまま、椅子の脚につかまってビニタイにじゃれている。
 あるいは、何か別の物の下へビニタイを隠しては、ふたたび取り出す遊びをする。冷蔵庫の下などへ手を突っ込んで、届くかな、届かないかな、というところがスリルがあって面白いのかもしれない。実際取れなくなってしまうことも多い。困っていると思って物差しなどで取ってあげるのだが、すぐにまた入れてしまう。
 何かの袋にビニタイがついているたびにみゆちゃんにあげているので、家の中には相当な数のビニタイがあるはずなのだが、そうやってどこかに入れて隠してしまうからか、目につく場所にはひとつもない。
 時々、みゆちゃんはどこからともなくビニタイを出してきて遊ぶ。ある時、みゆちゃんがピアノの下からビニタイを取り出すのを見た。もしやと思ってピアノの下を物差しでかき出して見ると、次から次へとビニタイが現れ、結局5、6本のビニタイが出てきた。台所のテーブルを動かしたときにも、脚の下に何本も隠れていた。
 ビニタイはほとんどみゆちゃんにあげるのだが、そのうちのいくつかは、必要なときのためにテーブルの上の小箱に入れて置いている。が、それもあまり意味はない。みゆちゃんが勝手にテーブルに上り、持っていってしまうからだ。箱の中から前足で器用に取り出してテーブルの上を滑らせ、ぽとり、と床に落とす。落下の様子をテーブルの縁に座ってゆっくり見物してから、床に下りてビニタイ遊びをする。
 ある時、袋の口を閉じようと思ってテーブルの小箱を調べたが、置いておいたはずのビニタイはやはり一本もない。仕方がないので私は居間へ行って扇風機を持ち上げ、その下にあったビニタイを拾い上げて、袋の口を閉じた。


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