ふくちゃんエクササイズ

 去年の秋くらいに、NHKの「あさイチ」という番組で猫の特集があった。その中で紹介された歯ブラシを使ったマッサージについては、みゆちゃんに好評だったと前にここで書いたけど、番組ではほかにもいろいろな話題があって、その中の肥満対策法は少し太り気味のふくちゃんにいいかもしれないと思ってやってみた。
 猫が太らないようにするためには食べ過ぎないことはもちろんだが、運動させることも重要である。番組で紹介されたのは、ペットボトルが一本あれば出来るという簡単な方法で、適当な大きさの穴を数箇所あけたペットボトルの中にキャットフードを入れ、猫に与える。猫が中のキャットフードを食べようと思ったら、ペットボトルを転がすなどして動かし、穴からフードがこぼれ落ちるのを待つしかないので、食べることがそのまま運動することにつながるというわけである。
 で、さっそくペットボトルに二箇所ほど小さな穴を開けてやってみたのだけれど、失敗した。本気でこの方法を試すためには、心を鬼にして、ペットボトル以外のフードは片付けてしまわなくてはならないのだろうけど、それがなんとなく可哀想で中途半端になり、普段食べているフードは別にして、おやつ用のカリカリだけをペットボトルに入れたから、結局本末転倒、その分だけ余分にあげてしまったことになった。そして、ふくちゃんもたいしておやつ入りペットボトルには関心を示さなかった。
 だけど、よく考えるとこのペットボトル肥満対策法は、ふくちゃんのような小太り猫よりも、太りすぎてどうしようも動かなくなった猫のためのものかもしれない。番組でモデルに出てきた猫も、まるで座布団みたいに広いおなかをして、飼い主が鼻の先で猫じゃらしを振ってみても、まったく知らん顔であった。
 ふくちゃんは違う。紐や羽を動かすとちゃんと乗ってくる。私が今まで、みゆちゃんに対する遠慮から、あまりふくちゃんと熱心に遊んであげなかっただけなのだ。
 ふくちゃんが家に来てからつい最近に至るまで、みゆちゃんは、私との遊びにふくちゃんが参加してくると、急に興ざめしたような顔をして向こうへ行ってしまうのが常だった。そんなみゆちゃんに気を使って、私もみゆちゃんが遊びに興味を失うと、猫じゃらしを振るのをやめた。子猫のふくちゃんは、そんなことあまり気にしないたちだと思ったし、ひとりでも遊べたからである(しかしこの性質は大人になるとだいぶ変わってきた)。
 ふくちゃんとももっと一所懸命遊んであげるべきだったと反省するけれど、最近になって、ようやくみゆちゃんもわだかまりが解けたのか、ふくちゃんが寄ってきても一緒に遊ぶようになったし、反対にふくちゃんが遊んでいるところへ自分から参加するようにさえなった。
 これで大団円、私も気兼ねがなくなって、このところ、みゆちゃんふくちゃんと毎日楽しく遊んでいる。(もっとも、猫じゃらしを追いかけて転がるふくちゃんのおなかはなんとも可愛らしくころころしていて、やっぱり少し太り気味かなと思う。)
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