猫狭(ねこぜま)な机

 もともと小さな机であるうえに、いろいろ物も載っているから、ふくちゃんに寝られたら非常に狭い。
 これがみゆちゃんだと、からだも少し小さいし、何よりみゆちゃんはわきまえているから、机の左半分の、スケッチブックなどが立て並べてある前に寝そべるので、たいして邪魔にならないし、作業にもほとんど差し支えない。
 ところがふくちゃんは、机の真ん中に寝る。大きなおなかを投げ出して、いっぱいに伸びて寝る。ふくちゃんの耳や顔で、モニターの下のほうが欠ける。手足も好き放題に伸ばして、ペンや鉛筆、消しゴム、本など、机の上にあるもの何でも押し出して、つぎつぎ下に落としてしまう。
 キーボードの上にもかまわずからだを持たせかけて背中でキーを押し続け、警告音がプープー鳴っていても、気にする様子はない(これはみゆちゃんも一緒)。
 ときどき変換キーがおかしくなっていたり、ソフトが勝手に操作されていたりするから、ふくちゃんが机に寝に来ると、キーボードは机の右奥の、ほとんどモニターの下まで避難させる。これは非常に使いにくい。ふくちゃんの背中を越えて腕を伸ばして、かつ、机の右のほうにはセロテープやら花瓶やらが置いてあるから、肩を狭めるようにして、キーを打たなければならない。その結果打ち間違いも多くなるし、削除キーやバックスペースは文字のキーよりもさらに遠くて打ちにくいしで、作業がはかどらない(ふくちゃんの背中に乗せた左腕だけが、ふわふわして気持ちがいい)。
 そういう机の事情に加えて、椅子のうしろ半分はみゆちゃんが占領しているから、私は落ち着いて腰をすえられない。劣悪な作業環境である。
 季節が進んで、もう少し寒くなると、二匹一緒にかごの中で寝たりするから、こっちにはこなくなるのだろうけど、暑さがぶり返してまだ涼しくもならない。
 もうしばらく、猫にまみれる日が続きそうである。
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