冷蔵庫の番猫

 うちでは普段、猫たちのご飯はドライフードをあげていて、缶詰は滅多に出さないのだけれど、このあいだ、コインパーキングにいた茶トラの子猫に食べさせようと思って開けた缶詰の残りを、小皿に少しずつ盛って、みゆちゃんふくちゃんにもあげた。当然のことながら大喜びでむしゃむしゃ食べた。もっとも、大喜びといっても、お皿がぴかぴかになるまできれいに食べたふくちゃんに対し、みゆちゃんのお皿には魚肉のかけらが点々と残っていたから、大喜びの程度の差はある。
 その缶詰のまだ残りが冷蔵庫にあるのをふくちゃんは知っていて、私が冷蔵庫を開けるたびに、「くれー、くれー」とにゃーにゃー言いにくる(もちろんみゆちゃんも知っているだろうが、ふくちゃんほど食いしん坊ではないため、寄ってこないのだろう)。
 冷蔵庫を開けないのに、冷蔵庫の前でがんばっていることもある。少しでも近づくと、きらきらした一所懸命な目をして、「にゃー」と訴えるから、ついあげたくなってしまうけど、ふくちゃん、君の胴回りはがっしりしすぎているからなぁ、一日に一、二回、少しだけをおやつとしてあげる。
 そうして、缶詰の残りはなくなってしまい、もう冷蔵庫の中にないのを知っているようで、冷蔵庫を見張りにくるのはしなくなったけど、私が台所に立つと、今度は、ふくちゃんはもちろんなぜかみゆちゃんまでが、カウンターの上に並んで、缶詰を開けてくれと4つの目で見つめられるようになった。
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