
穏やかで柔らか、ふくよかで温かい
瑤(ヤオ)族は、中国雲南省、湖南省、広西チワン族自治区と、
タイ、ベトナム、ラオスなどの東南アジア北部に多く住んでいます。
私たちが訪れたのは雲南省南端にある「河口(フーコウ)」で、ベトナムとの国境の町。
この辺りには、多くのヤオ族が住んでいます。
ヤオ族には、頭に赤い帽子を被る紅頭ヤオ族(ホントウ ヤオ=赤ヤオ)と、
頭に青い帽子を被る藍定ヤオ族(ランディエン ヤオ=青ヤオ)がいます。
(上記はタイ在住の方のサイト。タイでは何度もお世話になりました)
紅頭ヤオ族にしても藍定ヤオ族にしても、その衣装は地域や村によって大きく異なりますが、
いずれも個性的なデザインの衣装で、凝った手仕事を施しています。
帽子といっても、しっかりとした帽子形のものもあれば、
赤い布や青い布をサッと捲く程度のものもありますし、
普段は巻き布なのに、晴れ着となると驚くほど派手になるものも。
さてこちらのお婆さんは、頭に赤い被りものを捲いている紅頭ヤオ族。
ズボンの裾模様は典型的なヤオ族の刺繍です。
それにしても、なんとまぁ柔和な表情でしょう。
そのわけは・・・・、
歌垣のやりとりにじっと耳を傾けているから、だと思います。
このとき、紅頭ヤオ族の村の家で伝統的な歌の掛け合いをしてもらっていました。
歌っているのは、47歳の女性と58歳の男性。
昔はさかんに歌われていましたから、お年寄りにとっては特に懐かしいことでしょう。
歌声を聞きつけたお婆さん達が集まってきました。
部屋の中での歌のやりとりを邪魔しないよう、戸口の外でそっと聞いています。
懐かしむかのように一点を見つめ、じっと聴き入る様子がとても印象的でした。
その後、この家のお嫁さんが晴れ着に着替えて見せてくれました。
まぁ、その派手なこと、派手なこと。
まさにこれぞ紅頭ヤオ族の名にふさわしい真っ赤で派手な帽子。


ここの紅頭ヤオ族の衣装は、これでもかというほど赤が多い
ちなみに、この近くの村の藍定ヤオ族の晴れ着はこんな感じ↓
全体に藍定ヤオ族は藍色中心ですから地味ですが、アッと驚くほど斬新な衣装もあります。
が、それはまたの機会に・・・。

藍定ヤオ族の衣装は地味なだけに、胸元を派手に飾ることが多い
★付録【ニョロニョロ話】 蛇が嫌いな人は読まないでください。食欲がなくなります。
私たちが訪れた雲南省の南端「河口」という町はベトナム国境にあって、
国境付近に蛇の市場が立っていました。
右を見ても左を見ても蛇、ヘビ、へび・・・・、細い通路の両側は蛇だらけ。
直視しなくても、歩けばチラッと目の隅に入ってしまう。
思い返すだに、ぞっとするほどの大量の蛇軍団。
ネズミ取り器より一回り大きな金網製のケージに、
数匹から十数匹ずつ同じ種類ごとに入れられています。
ケージの向こう側には蛇売りの男達がいて、これまた妙に眼光鋭い。
以前、大理の町で、自転車の荷台にケージを載せた蛇売りをこっそり撮ったら見つかり、
大声で怒鳴られたことがあります。
ここでは蛇も大群、蛇売りもおおぜい。
どんな状況でも画像を撮り落とさないのがモットーですが、
撮る勇気はとうていありませんでした。
残念。
中でも中国で「竹葉蛇」と呼ばれる色鮮やかな黄緑色の蛇はひときわ目立っています。
一度見たら瞼に焼きつき、忘れられないグリーン。
ちょっと蛍光色が入っているような鮮やかさです。
同行の中国人によると、これは有名な猛毒蛇で噛まれるとすぐ毒が体に回り、
数歩も歩かないうちに死んでしまうということでした。
調べてみると、ヒガシグリーンマンバという蛇で、世界で2番目に毒が強いとか。
いや、同じグリーンでもニシグリーンマンバの方が強いとか、こと蛇毒となると諸説紛々。
ちなみに世界最強の猛毒はウミヘビだそうで、陸上系ではナイリクタイパンとか。
ヒガシグリーンマンバはアフリカ産ですが、
“タイでヒガシグリーンマンバが20匹逃げたが、タイには血清がない”という記事がありますから、
東南アジアにも輸入されたあと、増やされたのでしょうか。
でも、まさにこの蛇であったことは確か。
猛毒蛇ベストテンなどを見ていたら、気持ちが悪くなってきました。
しかし、2つ発見。
①猛毒を持つのは色鮮やかな蛇が多いと思っていたら、ごく地味な蛇もたくさんいる。
②毒蛇は頭が大きいと聞いていたけど、頭が胴と同じ太さの細いのもいる。
ひゃ~、なぜこんなこと書くことになっちゃったんだろう。
怖いもの見たさ? ゲゲッと気色悪くなってきました。
ところで中国になぜ蛇屋がいるかといえば、漢方や食用にするため。
(そういえば、ワ族の歓迎会で蛇を食べたこともありましたっけ)
しかし蛇を売ることに当局の取り締まりが厳しいそうで、
蛇売りが写真を撮られたくないのは、そんな理由からのようです。
(雲南省河口瑤族自治県1995.6)
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