新・日記どす(DOS)

写真は「ビートルズ」のヘルプごっこ(笑)~音楽からB級スポット訪問記まで、幅広くいろんなことを…笑いをこめて…綴ります~

2021年年末…御園座で「大名古屋らくご祭2021「笑」門には「寅」来たる」第1部…立川生志さんと三遊亭萬橘さんと前座の春風亭かけ橋さん!

2023-05-09 07:22:31 | お笑い

2021年…クリスマスが過ぎた年末

ナナちゃん人形は、はやくもお正月…鏡餅になっていた頃

 

 

この写真の下方

一瞬、この股の下、こないだ行った健康診断、バリウムを飲んだ直後のウ〇コかと思ってしまって…

あ、これミナちゃんでしたね!

もう、この勘違いに、一人大爆笑してしまって…

もう、これだけでも十分すぎるほど、笑っちゃってますが

笑いは免疫力を高める」といいますが…

ウ〇コと勘違いしただけで、免疫力が高まるといいけど…むしろ、ボケてるんじゃないかと危惧もしつつ

もっともっと免疫力を高めるために

御園座

「笑って笑って免疫力を高めるぞー」と楽しみにして

「大名古屋らくご祭2021「笑」門には「寅」来たる」

の公演に行ってきました!!

 

 

出演者は

お初の三遊亭萬橘さん

独演会にもいきました…楽しい立川生志さんに…

この方の落語は落語を超えていると思ってしまう…実に分かりやすい落語で、その世界観に連れてってくれる立川志の輔さん

そして、これまたお初の柳亭市馬師匠

大トリは三遊亭円楽さん!

さて、ここからは今回の落語イベント
御園座の公演、の落語のレポをだらだらと



完全な演目のネタバレになってしまいますので

まっさらな気持ちで落語を聞きたい人とは

ここでお別れということ

 

 

さてさて
まずは、開口一番、春風亭柳橋さんの4番弟子

春風亭かけ橋さんが登場

「狐七化け、狸は八化け」の切り口から

演目「狸の札」

この狐と狸の二つを比べてみると、狸の方が間が抜けててネタになると…こんな狸が人間に恩返ししようと

噺はこんな感じ

男の元に、狸がやってきた…

「誰だ?」「〇ヌキでございます」「アニキか?」「〇ヌキでございます」「よくわかんねえな、はっきりしゃべれねえのか」「タヌキです!」

子供のいたずらかと思って、戸を開ければ、誰もうない…と思えば家の中に狸が…どうやら、戸を開けた瞬間、股座を通って中に入ったらしい…

本当に狸がそこにいた…

子供たちに捕まって池の中に放り込まれそうになった狸、なんでも慌てて化けるのを忘れてしまったようで

そこを助けたのが、この主人公の男

その男の元に、その狸が助けていただいた恩返しにやってきた…

なんでも親狸から、こんな素晴らしい方は人間にしておくのは惜しいなあと…狸の仲間に入って町会長かなにかをやっていただきたいほどだと…かつ助けられた恩返しをしないのはよくないと諭されて、なので恩返しさせてくださいと

お礼をするまでは、ここに居させてくださいと、そうしないと恩をうけて返さないのは、まるで人間みたいな野郎だと狸仲間からはじかれてしまうと…そのまま、ここで寝泊まりを

眠る狸…これは狸寝入りかと笑わせる

 

翌朝、狸と話してみると、なんと、朝食の準備ができてる…家にはお米も何もないはずなのに…と問えば…家にあったゴミのようなものをお札に変えて買ってきたと…そのお札は使っているうちに、元に戻ってしまうらしい…

でも、なんにでも化けられるとのこと

なんと、この日は、借金とりがくるので、お札に化けて欲しいとのこと

支払う金額は4円五十銭なので、1円札5枚に化けてくれないか頼むと…それは無理、一匹1枚と決まっていると…

だったら5円札、1枚に化けてくれないかと

化けるところは、人間にみられてはいけないらしい…

男に目を閉じて、数えている間は目を開けないようにと「ひい、ふう、みぃ…」

目をつぶっている間にみごと5円札に化ける狸

化けてはみたものの、裏に毛が生えていたりして

それでもなんとか見事な新品の5円札に化けることが…

ただし、この札のお約束があって、折り曲げたり畳んだりしたら、目が廻るからしないでと

さてさて、いつもだと支払いに渋るこの男が借金取りに気前よく5円札を差し出すものだから、集金とりもおかしいなと首を傾げるが、どうも本物…

でも、男は折り曲げたり、畳んだりしちゃダメだなどと妙なことを言ってるから、怪しいけど、何度みてもホンモノらしい

無事に勘定を払うどころか、男がつり銭もいらないと言い出したので借金とりはびっくり。

狸のおかげで勘定は払えたものの、ちょっと心配な男

 

するとそこへ子狸が駆け込んでくる…

外へ出た借金取りは、こんな大金を持っているのを不審に思って、にせ札かも知れないと疑ってかかったと

お日様に透かして見たり、ひっぱったりと…

すると集金とりは本物のお札と納得して、小さく折りたたんでガマ口に入れたそうな…苦しくてガマ口の隅を食い破って逃げ出して来たとか

ガマ口の中に1円札が3枚も入っていたので、ついでにお土産にと…咥えてもってきたと…

〇抜きの恩返しの噺でし〇…

(あ、「た」ぬき、だけにね…)

 

続いては、お初の三遊亭萬橘さん

元気いっぱいな落語をされる方…言葉を返せば、落ち着きはないけど、勢いはある…そんな印象

「大名古屋らくご祭2021」にご来場いただきありがとうございます…とまずはご挨拶、皆様の目的はだいたいわかっている…後の出演者はちゃんとでてきますからと…ヨイショして

愛知県出身…でもまばらな拍手に…気持ちはわかりますよ…だから何なんだよって感じで…でも同じ土地に育まれた人物というのは、どちらかというと大事にしたい気持ちになるはず…とおさえて

愛知県の人間はそうだと思うけど、私も本当にお腹が空くと金メダルを食べる…笑…きっと同じ気持ちでいらっしゃる…と笑いをとって

私は三河地方、静岡の隣、豊川市…尾張の方は極端に三河地方の人を嫌う傾向にある…田舎の方みたいな感じで…

でも三河の人が一致団結しているかといえばそうでもないと

コロナ禍になって「俺、コロナだよ!」って嘘をついて、捕まった人の数が一番多かったり

豊川市の隣の蒲郡でスーパーマーケットでフグの内臓を売っちゃってた…でもフグ中毒になった人、一人もいなかった…そういう地域であると

そのスーパーマーケットが行政からすごく怒られたとき、そのスーパーマーケットの関係者のお詫びの一言

「キモに銘じます」…

大爆笑に…あ、その拍手は僕にではないと…

私は、今日、愛知県代表として、全体ではなく一部の期待を背負ってやっていくとまとめて、次の話題へと

酷い目に遭うことが結構あると

子供と一緒に幼稚園に行こうとしてたとき、向こうから知っているお母さんがきて、そのお母さんは2歳くらいの女の子を連れていて、話をしてたそうな…すると、その女の子が、私の顔を指さして「きたない!」と…で、お母さんが慌てて「すみません!うちの子、きたないと気持ち悪いの区別がつかないの」と…どこで傷つけられるかわからないと…

さらに客席にコロナのワクチンうちましたか…と問いかけながらも、仕草は、危ない「ヤク」を打っているような仕草…笑

さてワクチンを2回打って、2回目の時、熱がでて寝込んでいたそうな…同じタイミングでかみさんもワクチンを打って、部屋が違うも二人、寝込んでいたそうな…すると、娘が、かみさんに、「お茶飲む?」「プリン食べる?」といったものすごくいろんなことをしてあげてる声が聞こえてくる…

何かお忘れじゃないか!親と言うべき人はもう一人いませんか!

すると、娘が気が付いた

「あ、お父さんに水やらなくちゃ!」

観葉植物じゃないんだから…と一人ツッコミ

さてさて、ここからは落語の演目へ関連付けるマクラへと話題を転換し

 

昔は、子供のうちから仕事に就くのは当たり前で、仕事と一緒にいろんなことを覚えていくのは当たり前

医者もそう

でも、ある時点を境にバカになってしまうことがある…思春期が一番危ない…色気と食い気がでてくるとよくない…

バカな弟子は突き放すのではなく、師匠にとっては、バカな弟子ほどかわいいいらしい…うちの師匠は私のことを随分かわいがってくれたと

演目「代脈」

江戸中橋の古法家である尾台良玄は名医として知られていた

その弟子の銀南は弟子になって、5年目の12歳…

師に似つかわぬ愚者で色情者…

師がいう「わしの替わりに代脈に行くように…」

「代演ですか?」「代演は噺家のこと…代脈、わしの代わりに患者さんのところへ行くこと…勉強のために…」

 

ある日のこと…

良玄が銀南に、栄の伊勢屋のお嬢さんのもとに代脈に行くよう、銀南に命じた…

「栄の綺麗なお嬢さんのいるところだよ」「栄には綺麗なお嬢さんは歩いていませんよ!」…笑

「いるだろうが綺麗なお嬢さんが」「あ、一人だけいます」「いや、たくさんいるだろう!」

一番きれいな伊勢屋のお嬢さんを診るようにと

ここだけの話と良玄

「医者というのは、腕じゃなくて医者らしくみえることが大事、むこうにいったら番頭さんに挨拶をし、6畳の間に通してもらえるから、座布団は使ってもよい…お茶が出て来て、羊羹も…」

その羊羹に大興奮の銀南「食べたくて仕方がない」

でも、その羊羹は食べてはいけないと良玄

「その羊羹は食べられぬ」「中国産ですか」「毒が入っている訳ではない」

食べなれてるという顔をしなくちゃダメだと…

怒り狂う銀南「食べたくて仕方がない」

すぐに食べるんではなく「一切れ、どうぞお召し上がりください」と番頭さんが言ってくださるから、言ってもらえたら、遠慮なく食べて構わないと

「一切れじゃなく、さらに残ってますけど」と羊羹のことばかり気にしている銀南

それから離れに連れてってもらう、おっかさんとお嬢さんにご挨拶するのを忘れちゃいけないぞ

で医者らしくみえることが大事だから、わからないだろうけど脈をみたりして、けして心配そうな顔をしてはいけないと

そしてもう一つ忠告、お嬢様の下腹に手をやってはいけないと

 

良玄「この間のこと、お嬢さまはどういう具合かひどく下っ腹が堅くなっておった…しきりに腹をさすって、しこりのようなものがあったので、下腹をひとつグウと押すと、おならをなすった…なにしろ年が17歳で…お嬢さまがみるみるうちに顔が赤くなって恥ずかしそうだった…もう帰ってくれとお嬢さんに言われては困ってしまう…そこは、掛け軸に見入ったふりをして、おっかさんに「わしは年のせいか耳が遠くなっていかんから、おっしゃることはできるたけ大きな声でいってくださいまし」と話しかけると…さっきまで、耳が真っ赤だったお嬢さまがすっともとに戻ったそうな…そんなことにならぬよう、下腹などさわるでないぞ」

良玄は十分に注意を与え、銀南を若先生ということにして、代脈に行かせた…

銀南は伊勢屋で番頭さんに「お茶がでてこない」「羊羹がでてこない」など要求するような失敗を重ねつつ

念願だった羊羹を食べて、肝心の診察を忘れて帰りそうになるも、番頭さんに引き留められて

ようやく離れのお嬢さんのもとに…

ここだけの話ですけど、医者というのは腕はどうでもいいんですと、べらべらと…

そして、診察してる様子をしながら

お嬢さまの下腹を押してしまう…

「プー!!」

「くさい!くさい!!」

お嬢さまが、みるみる赤い顔に…

慌てて銀南は良玄をまねて
「近頃歳のせいか、耳が遠くなって」
とやったはいいが
「大先生もお耳が遠いとおっしゃってましたが、若先生も」
といわれ

サゲは銀南のこの一言
「ええ、そうなんです…だからさっきのおならも全然聞こえなかった」

 

続いては立川生志さん!!

 

この立川生志さんの落語が、立川志の輔さんの落語に匹敵するくらいオモシロかったのよ…

 

2020年夏に刈谷の立川生志さんの独演会できいた演目よりもウンとウンとオモシロかったのよ…絶対、今回の演目が楽しかったのでと、刈谷の立川生志さんの独演会に行った人は会場にも多くいたはず…

私は、すでに他に予定があって(青春グラフィティコンサートのチケットを買っちゃってたので、)行けれなかったけど

さて、立川生志さん、まずは、元横綱の花田勝ではないと自己紹介

名古屋は1年ぶり、コロナ禍前は定期的に名古屋で独演会をやらせていただいてて、年に3,4回ほどは名古屋にきていたけど、コロナ禍になって名古屋に行けることが少なくなって淋しいなと思っていたけど、今日は御園座の高座にあげていただいて、とお礼を言いつつ、

「この後、お目当ての…」といったところで客席から笑いがおきたのを拾って「今の笑いは私がお目当てではないと…笑」

ここで、1月に行われる刈谷での独演会の告知を…三遊亭萬橘さんと違って、愛知県にはなんの縁もないんだけど、刈谷の方が独演会を企画してくださっていると、再度告知を重ね

マクラは

名古屋市長の話題…何かと物議を醸し出す…子供への10万円もあの市長はクーポンがいいみたいなことを言ってたけど、現金の方がいいでしょう…

私は、横浜市民だけど心配してたと

クーポンだなんて、あの市長こそ金メダルを「クーポン」…笑…これには客席大爆笑!

支援者の方にはお詫びを申し上げますと語った後には、話題を替えて

今年は大先輩方がお亡くなりになったと…当地でいうと三遊亭圓丈師匠、さらには知る人ぞ知る川柳川柳師匠、そして人間国宝、柳家小三治師匠

私の師匠、立川談志と柳家小三治師匠とは兄弟師匠

先代の柳家小三治師匠の弟子が立川談志さんであり柳家小三治さん…談志は小三治を裏切って一門を抜けて、立川流というのを立ち上げ、落語協会の団体を抜けた…柳家小三治師匠からみれば、まあ裏切り者のようなものだと

私は、その裏切り者の弟子ですからと

前座の頃にも脇で柳家小三治師匠とご一緒することがあって、もちろん口をきいてもらうこともなかった…裏切り者の弟子ですからと笑わせながら…

真打ちになってから病気をしたと…「こうふくまくしゅよう」…病名だけをきくと「ハッピー」を分け与える感じがするけど、珍しい病気で、9割くらいは、死に至る病気…たまたま1割の方で生きてみなさんにこうしてお会いできていると

で、手術して高座に復帰したとき、池袋で柳家小三治師匠と会って、今まで話したこともなかったのに…柳家小三治師匠が新聞記事をみてらっしゃたのか、声を掛けてくれて「病気は予後が大事だよ!気をつけなさい」って言ってくれたそうで

これには、感動したと立川生志さん

なんせ裏切り者の弟子ですから…

ちなみに、師匠立川談志さんは「痛かっただろう!」

柳家小三治師匠は「病気は予後が大事だよ!」とこれからを心配してくれた…それに対して師匠立川談志さんは「痛かっただろう!」感想だけ…笑

 

その3年後に有楽町で「朝日名人会」という落語会があって、そこでは録音してCDにもなるとのことで、ウケたいと思ったそうな…でも、順番が、立川生志さんの後に柳家小三治師匠…うわーっとウケて柳家小三治師匠がやりにくくなるのもどうかとも思って

やりすぎちゃうと「立川のやつは寄席を知らないから、こんなことやるんだよっ」て言われたらやだな…立川談志師匠が悪く思われるのが嫌だなとも思っててどうしようか思ってたけど、せっかくCDになるならウケた方がいいかなと思って、落語を思い切りウケるようにやったそうな…

やり終わった後、たいてい次の出番の方はそでに立ってることが多いんだけど、柳家小三治師匠はいらっしゃらない…これは、しくじったかなと思って、楽屋に行ったら、ソファに座ってらっしゃったそうな…

そのとき、小三治師匠が苦虫潰したような表情にみえて、すっと立ち上がったので「ごくろうさまです」と声を掛けたら、小三治師匠から返ってきた言葉が「面白かったよ」と

その瞬間に立川生志さんが思ったこと

「師匠を間違えた…笑」

この人だったなってことに30年以上経って気づいたと笑わせる…

ちなみに同じ噺を談志師匠の前でやって返ってきた言葉は「だからお前はダメなんだ…」

 

と談志師匠の悪口を言ってるようでも、実は談志師匠が大好きな立川生志さん

名古屋では真打ちになったとき、国際ホテルで真打ち披露を談志師匠と二人でやらさせていただいたことがあると…

名古屋で二人きりの口上をやらせていただいたことを語り、悪口を言ってますけど、本当はいい人だと…笑

といった途端、客席から笑いが起きるのはなぜ???

 

といった談志師匠も没後10年

亡くなってあっという間の十年だったと

で、追悼の意をこめて高座のマクラで談志師匠の話をしているとハエが飛んでくる…これは談志師匠が見に来てくれるんだと思った…で、ある時、手に止まった…

と言った直後に、そこにハエがいるかのように手を「パチン!」…

これには客席大爆笑!

今年9月に、東京都港区の古い日本建築の建物、そこで40年、談志師匠がずっと独演会をやってきたそうな

で、その建物を保存しながら、今回、落語会をやらせてもらって、談志師匠の縁のある場所なので、久しぶりに談志師匠の話をしたら、またハエが飛んできたと

潰したはずなのに、ハエも成長していて…と笑わせる

 

ここから演目へと

談志師匠が若い頃、得意にしていた演目、これを聞いた談志師匠が珍しく褒めてくれたと

反対俥(はんたいぐるま)

昔の交通手段は、歩いたり駕籠に乗ったりしていたものだけど、今回の噺は、それよりもう少し文明が発達した

人力車があった頃の噺

すっかり遅くなっちゃて、でも、ここから上野まで行って汽車にのらなくてはいけないと

俥屋に声を掛けるもうたた寝している

「おはようございます…あ、お客様でいらっしゃいますか…いくらで参りましょう…え、ここから上野でしたら、102兆円でいかがでしょう」

相場は1円だろうと返せば1円に負けるという

で、俥屋が言う「乗るのは構わないけど、いきなり椅子にドンと座らないように、椅子が下に抜けてしまうので、ひじ掛けがあるので、そこに体重をかけて、ゆっくり腰を降ろして、できればお尻をつけないように…」

「それじゃあ、俺がくたびれるじゃないか…」「俥がくたびれるので」

そんな問答をしながらも乗り込む主人公のお客

「ほ、は、…」声だけで俥を持ち上げない…

持ち上げたら、足がついていない…「これでどうだ」と主人公が体重を調整すれば…「着きました」

「それは「上野」じゃなくて、お前の足がついただけじゃないか!」

かなりオンボロな人力車だけど、俥屋が言う「この人力車を買ったらお金がなくなって、提灯を買うお金がなかったので、でも夜に灯りは必要と、お稲荷さんの提灯を失敬した」と

「では、いそいでくれ」

よっこいしょ!どっこいしょ…よたよたと

いそいでくれと急かすも

「私は過激な運動は医者に止められているから…心臓を患っていまして…ほら」とそこには点滴が見える

病院に入ってまして、同じ病室の友達が息を引き取って亡くなったので、なにもしてやることはできませんが、ちょうど旦那が座っているところに友達の亡骸を置いて、家に送った帰りだと…

気持ちが悪いね…もう降りるというと

「1円ください」と俥屋

着いてないじゃないかというも、家にはかかあも子供も、50銭だけでも…と言われ、仕方なく50銭渡すと

「助かります…私に要があるときには、山田病院の病室に入っていますので」

 

見渡せば別の俥屋が…

「お、俥屋、速いか!」

もちろんとばかりに威勢よく走り出す…俥屋!!

「おーい、まだ乗ってないよ!!」

「上野まで」

まだ行き先も言い終わらないのに、俥は動き出し、もの凄い速さで突き進んで行く…

この俥屋、なにがあろうと一直線に進んで行く…

土管があっても、そこを跳んで…ありんこがいても、そこを跳んで

ありんこなんて跳ばなくてもといえば、ありんこといえども大事な生命が宿っているといいながらも、また跳ぶ

なんだかわからないけど血だらけのばあさんが横たわっていたと…

どーせ、短い命だから放っておきましょう…

「ありんこを助けて、おばあさんを助けないなんて」

と思ってる間にも、どんどん一直線に進んでいく

汗が目に入って前がみえないと俥屋

「止まれよ!」「こちとら、一旦走り出したら止まらない、韋駄天のように…」

 

踏切が降りている、向こうから汽車が…

そのまま突き進む!!「こっちが速いか、むこうが速いか、命を賭けた1本勝負!!」

 

俺は今死ぬわけにはいかない、来月には刈谷で「立川生志独演会」があり、そこにでなくちゃいけないからと…1月16日…

突き進んで、俥屋が言う

「こないだは、あたしだけ助かって、後ろには乗っていなかった」と

ぶつかる!ぶつかる!!

列車とは間一髪、その勢いで迎車は川の中に…

「迎車をあげろ」「冗談じゃない、芸者をあがれるくらいの身分なら俥屋なんかやっていない」と

そういいながらも、

人力車は

さらに走る!走る!!鶏小屋も突破!!

ぶつかる!ぶつかる!!ホントにぶつかって俥が止まった

「ここは、どこだ?」

「旦那、遠くまできましたね…ここは青森県の津軽…」

「津軽…俺は上野まで行ってくれといったのに」

 

大丈夫、今から上野へ行きますから…あれよ、あうん、津軽だよれ、あれよ、はい上野駅

「落語って便利だな…上野駅だよ…」

「これで汽車に間に合いますか」「間に合ったよ」

俥屋が汽車に乗ってどこにいくかと尋ねれば

サゲはこの一言

「うん、津軽だよ」

 

いやあ、最高にオモシロかった…状況が目に浮かぶようで…若い頃の談志師匠のこの演目もみてみたいなと…どこかに映像残ってないかな…

それにしても立川生志さんのこの演目も、めちゃめちゃ、エエゾウ…(映像…)…苦笑

 

 



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