新・日記どす(DOS)

写真は「ビートルズ」のヘルプごっこ(笑)~音楽からB級スポット訪問記まで、幅広くいろんなことを…笑いをこめて…綴ります~

2021冬…日本特殊陶業市民会館ビレッジホールで春風亭昇太さん、柳家喬太郎さん、三遊亭白鳥さん、林家彦いちさんでの「大名古屋らくご祭2021」…「新作の夜」…第ニ部…

2023-04-30 06:18:35 | お笑い

2021年冬…日本特殊陶業市民会館 ビレッジホールで行われた

演者は春風亭昇太さん、柳家喬太郎さん、三遊亭白鳥さん、林家彦いちさんの4名での落語会

「大名古屋らくご祭2021」

夜の部「新作の夜」

…の続き…

 

後半は、林家彦いちさんから

演目は「掛け声指南」

 

内容は…
ネタバレ…にもなってしまうので
その「噺」を一から聞きたい方は
これから先は…読み進めないように…笑

また明日、お会いしましょう!!

 

 

マクラでは、のっけから「円丈師匠は、あんな弟子しかできなかったんでしょう」と三遊亭白鳥さんのことを指してのこの一言に客席大爆笑!!

 

今回感じたことは三遊亭白鳥さんや柳家喬太郎さん、彼らより早くは死ねない…なにを言われるかわからないからと…

三遊亭白鳥さんがいうには「お前が死んだら俺が自伝をかくからな…自伝ってそういうものかな…」笑

とにかく三遊亭白鳥さんはスゴイ…今日も「追悼公演」を「凱旋公演」といったりと…笑

 

久しぶりに呑んだ時のこと、三遊亭白鳥さんは、軽口をたたかれる…すると古今亭志ん五さんに「おい、お前リスペクトしろよっ」て言いたいところを「志ん五!エスプレッソしろよ!」…笑…それって、高温で圧縮して抽出しろっていうこと??

旅の仕事で三遊亭白鳥さんとは海外にも一緒にいってるそうで、シルクロードでは四駆で車を走らせててウイグル自治区に入ったときにペットボトルが配給されるそうで、6、7人くらいで旅をしてたけど、まあ、旅の途中で、そのペットボトルがなくなっちゃうこともあるんで、ちょっと買うと高かったりするけど、なくなったりしてたから買ったりもしてたそうな…そんな2週間ほどの旅…なんでも彦いちさんと三遊亭白鳥さんは同じ部屋…すると、唐突に「ごめんなさい」という…なんでも彼のカバンの中からペットボトルの水が7本ほどでてきたそうで…

ここで、林家彦いちさん…「今、決めました…やつの自伝を私がかきます…」笑

続いての話題は…円丈師匠…実に素晴らしく…いろいろな面で影響を与えたと…数々の実験的な落語…

たとえば、円丈師匠…客席の後ろから喋ることも…後で、円丈師匠に感想を聞いたら、誰もこっちをみてくれないと…当たり前の感想が…笑

また、さらに話題を替えて、自分自身の体験談

新宿の…大塚家具の横のビルの中に、こ洒落た喫茶店…カウンターがあって他に客席も3つくらい…そこは割と空いていて、寄席の近くにあるのに…誰とも会わなくて…というのは、寄席の近くで誰か先輩とかにあって、珈琲代を払ってもらうのも申し訳ないとも思うので、そこをよく利用してて、そこで一杯お茶を飲んで、楽屋に入ることが多かったんだとか…

で、ある日、カウンターに大きな紙で、平仮名で「ありがとう」と日本語で書いてあったそうな…

なので、カウンターの中にいるバイトの女性が海外の方かな…と思ったので、店に入ったときに、こんにちは…というのもなんだから「ハーイ!!」とカリフォルニア的な感じで言ったら、バイトと思われる女性は怪訝そうな顔をしてみていたんだって

で、その女性がカウンター内で、同じバイト仲間と思われるカウンター内にいる男性に向かって、流暢な日本語で「これ、明日、早番の人にみせておいて」って…

どうやら、一緒にバイトしている仲間へのメッセージで、後で詳しく分かったことらしいけど、その大きな紙の「ありがとう」は、そのカウンター内の女性が、今日でバイトを辞めてしまうので、これを早番の人にみせておいてと思って用意されたものということが分かって…ちょっと恥ずかしくなったと

で、カウンターの男性が「お茶でよろしいですか」と尋ねてくる…すると、その女性が男性に向かって「英語で言わなくちゃ!!」

男性も怪訝そうに英語に言い直してオーダーをしてくるものだから、林家彦いちさんも同じように「cafe please!」と…どこの国の出身の人の設定も曖昧だったけど…と

すると、奥に座っている男が、カウンターの男に「○○くん、夢を諦めたの??」と言い始めた…

それを聴いてて、若いっていいなと思った

「がんばれば、いいじゃん!」と奥に座っている男

カウンターの男は「俺、言葉訛るからさ…青森に帰るだ」って言ってる

「そんなことないさ、だって落語家になるんでしょう」…て言われているので、距離が縮まった気がしたそうな…

こういう若者が楽屋に入ってくるんだと思っていたら…夢を諦めきれない若者、その男が珈琲をもってきて

「彦いちさんですよね…」

すると、カウンターの女性が「エー、日本人なの??」

男性が言葉を返す…「どうみても日本人じゃん」

 

そんな、これからの演目に繋がっていくマクラで笑わせてくれた後に

 

落語のその枠でおさまらない…作った話をと…

演目は「掛け声指南」

落語には、はっちゃん、与太郎など、オールキャストがいて、性格等も決まっているけれど、そのキャストをもう一人増やしてみようと…

それは、一生懸命な人…その登場人物の名前は

ムァンチャイさん

一生懸命な人はいろいろいますが、海外から来て、日本で一生懸命に頑張ってる人、ましてや、自分自身がちょと傷ついていたりして、でも、そばにいる人を輝かせてあげたいとがんばっている人に心がうたれると…

 

ムァンチャイさんはボクシングのセコンド…ボクサーになりたかったんだけど、怪我でダメになって、セコンドになって一生懸命やろうとする…

ムァンチャイさんの声は良く通って背中から押される感じがするから、セコンド向きではないかと…

 

「頑張ります…落語の中の新しい第三の人物ですから…」と…ムァンチャイさん笑

選手を励ますセコンド…しかしムァンチャイさんには一つの壁が…


それは「言葉の壁」

「頑張れー!」「頑張れー!」「頑張れー!」としか言えないムァンチャイさん…

ジムのトレーナーに「選手はみんな頑張ってるんだ!セコンドというのは相手を倒す方法を具体的に言うんだ」と言われるも何を具体的に言えば良いのかも分からない…

「具体テキというのはどんなテキ(敵)ですか」と返す始末

「相手を倒す方法だ!!」

具体的…難しいですね…じゃあ、と「目玉を狙え、脊髄に肘を落とせ!」

呆れたトレーナー、そんな言葉誰から教わった…

「某体育大学の理事長に…」笑

ジムのトレーナーは「ハートはいいけど、一生懸命なのはいいけど、空回りしがちなんだ…アパートとジムの往復だけだから、しばらくジムに来なくてもいいから、ムァンチャイさんを国に帰るよう促しつつ、まずは東京というのをいろいろみてきておいでよ…」と

「会長さんが、そこまでいうのであれば、しばらくお暇をいただきます」とムァンチャイさん

「どうして、そんな難しい日本語だけ知っているのか」といじりながらも


ムァンチャイさんが向かったのは日本に来て初めて行った場所、新宿…

友達がいるかも知れないなあ…伊勢丹、懐かしいな…新宿はバンコクの町並みのようだと…

小さな古着屋さんをみつけて発する言葉は、ただ「頑張れ!」「頑張れ!」「頑張れ!」…だけ!

 


次にみつけたのは、フルーツ屋さん

フルーツ屋さんの店主に「応援したい」とバイトではなくタダでお手伝いを志願…

早速

「いらっしゃい!!」「いらっしゃい!」「いらっしゃい!」

店主は「ただ、いらっしゃい!だけではいけない…もっと具体的に言わないと…」

「具体テキというのはどんなテキ(敵)ですか」

たとえば、フルーツを細かくして、すぐにでも食べやすくしているなど説明をする店主…それをきいてムァンチャイさん

「細かくしてあるよ!細かいよ!細かいよ!…お客さんにいくところまで頑張るんだよ!腐るーー!!」


「店の前で腐るとか言うな!」
と言われ、ここでも上手く行かない…

日本語難しいな…歌舞伎町にはいろんな人がいるなあと

新宿をフラフラしていると危なそうなお兄さんを見つけ声を掛けるムァンチャイさん

「あなたのためになりたい!」


お兄さんに怪しいモノを売ってる人と勘違いされて買うと言われてもよく何のことか分からない…

「日本語で「ヤク」ですね!わかりました…「ヤク」といえば「ミツル」ですね??」



「わかんねーことないだろ…シャブだよ、買ってやるよ」

ムァンチャイさんにシャブは効くんだ…右で左に打つんだよ…ストレートのウィスキーも空きっ腹に飲むと更に身体に効くんだ…との情報をムァンチャイさんに教えるあぶないお兄さん

ムァンチャイさん、お兄さんがシャブと呼ばれるモノが欲しいと分かるも自分は持っていない…新宿で大きな声で叫ぶ

「ご通行中の皆様ー!シャブをお持ちの方いらっしゃいますかー!」

お兄さん、慌てて口止め!!

これまた、上手くいかないも、人のために何かがやりたいとムァンチャイさん

その後もティッシュ配りのお兄さんにティッシュを配りたいと志願

バイト代とかいらない…と…じゃあ、後でビールくらい奢ってやるからと、ティッシュ配り…

無理に渡そうとすると苦情がくるから、歩調を合わせて、ぽいと渡せばいいと…

この動きだったらジムワークでやったことがあると…ホイホイホイホイ…

相手が出てくるときにポイとだす…相手が出てくるときにポイとだす…

「お願いします…武〇士です…」「違うよ!ア〇フルだよ!」

これまた、上手くいかない!

 

ここで見つけたのが「末広亭」

何だ、この空間は近代とは思えない…座布団の上に座って何かしゃべってるよ!!…「白い鳥」という人もいる!!一番最後にでてきた…この噺、じーんとくるなあ…「芝の浜」…「また夢になるといけねえ」といって、最後の人が頭下げて終わった…この噺が分からないと感情が理解できないのかな…


言葉の壁を痛感して、落ち込んでジムに戻るムァンチャイさん…

「会長さん、僕には無理なのです…」

「そんな落ち込んで戻ってくるとは思わなかった…」

あるボクサーが会長にいう

「ムァンチャイさんの「頑張れー!」の言葉には気持ちが入っている」と…

一度、セコンドにつくよう促す会長さん

試合は始まるも相変わらず「頑張れー!!」しか言えないムァンチャイさん…

「頑張れー!!」「頑張れー!!」「頑張れー!!」

「細かく…細かく…細かく…」

「それいいよ!!」と会長さん

さらには、ムァンチャイさん。

「…腐るなー!!」

「…そうだ、ムァンチャイ!あいつは今、腐りかけていたんだよ!その調子だ!」

さらに

「シャブ!シャブ!」

「それいいよ!最高じゃねえか!」


さらに

「相手が出てくるときにポイとだす!」

「正確すぎるほどじゃねえか!」と会長さん!

 

さらには、「チャンピオンになるんだろ!…また夢になるといけねえ…」

「最高じゃねえか!」

会長が叫ぶ…「パンチが当たった!お前の言うとおりに動いたら勝っちゃった…ボクサーは一人で闘ってるんじゃねえ!ほら、喜べ!喜べ!!その時言うことあるだろう」

「(笑点の)三平さんの後釜は狙ってません!」…笑


他にあるだろう

「小田急ー!」

「?」

 

サゲは

「チガッタ!京王(KO!)…ちょっとけんとう(見当・拳闘)違いをしてました…」

 

続いての大トリが、春風亭昇太さん

 

まずは、みなさんが話したい…笑…三遊亭白鳥さんの話題から…

三遊亭白鳥さんは帰ったと…笑

三遊亭白鳥さんは、自分の意見を変えないときには直立不動の姿勢になる…笑

御飯でも食べに行こうかなんていったことになったときでも、直立不動で「アニキ、焼き肉がいい!」

「今日はアニキの奢りです」というときも直立不動!

今日も自分の出番を終えて、楽屋に戻ってきたときに「先に帰っていいですか」…意思を曲げないことが身体に現れている…笑

落語は、最後までいると決まっているものでもない…でも、常識があったら最後までいますけど…と笑わせる

落語はみんな集まって、斉の…で始める訳ではない…先輩の師匠は、後から入ってきて、自分の高座をやって、すぐに帰ることはよくある…でも、最終電車、ギリギリの時間でもないのに…笑

「明日、俺は早いんです」と

何があるか尋ねると「日大の集まり」

柳家喬太郎さんも日大出身…三遊亭白鳥さんが言うには、それに行くと好感度がアップするらしい…それで帰って行ったと…

三遊亭白鳥さんのことを語るとマクラに困らない…なので、みんなが三遊亭白鳥さんのことを言いたくなる…日常、喋ってるだけで笑いが起こる…凄い人だと…

ぼくたちは喋るだけでご飯を食べている人たちなので、どの噺家も、まあ、ちょっとはおかしい…どこかおかしいけど、三遊亭白鳥さんは、ずば抜けておかしいと…

あの人は噺家じゃなかったら、ダメな人、社会人には絶対なれない…落語家という職業を見つけたことで、ようやく生きていられると…笑

 

話題を替えて、家で飼っているチワワのこと

いきなり、チワワは理不尽だと…目がウルウルしているから、つい優しくしてしまう…餌をあげる前には、目がウルウル…たとえば、みかん…これをあげてて、食べ過ぎてお腹を壊しちゃいけないと、途中でやめると、じっとこちらをみて涙ぐんでいる…で、眠くなると勝手に寝ちゃう…そして、朝が早い…おじいさん、おばあさんかと思うほど…

チワワの足音が聞こえてくる…そこで、目を合わせちゃダメ…こっちが起きてるなって勘づかれて甘えてくるから…

昇太さんが語る…

僕は働いていると…笑

年末になると睡眠時間が短くなる…とにかく寝たい…

チワワ、こいつは働いていないのに、私を起こして、みかんをくれという…

でも、犬だから、まあ、いいやって気になる…三遊亭白鳥さんも一緒だと…

 

このオチに客席大爆笑…

 

結局は、またまた三遊亭白鳥さんに戻って、今度は三遊亭白鳥さんにまつわるエロ本の話…

地方にいくと高座の後、ホテルに入る前にエロ本を買うのがブームだったときがあったらしく…エロ本をコンビニで買う…

それだけじゃ恥ずかしいのでビールやおつまみと一緒に…

で、エロ本の表紙はモロ、エロ本。でも裏は広告とかでエロ本とわかりにくいものが多いので、ホテルのフロントで受付をするとき、裏がみえるようにもって、フロントに行くんだけど…三遊亭白鳥さんの選んだエロ本は、裏もモロ、エロ本…

フロントのお姉さんはかわいらしく、きれいな人…僕たちは隠せるけど…三遊亭白鳥さんは、隠しようがなくて、私達同様、裏にして、モロ、フロントのお姉さんにみられていたと…

 

ここで、話題は、ホントに、三遊亭白鳥さんから替わって、怪獣映画の話…

子供の頃、流行った怪獣映画…柳家喬太郎さんもウルトラマンとか大好きで、それを話題にすると延々と喋っている…とても、詳しいとか

さらには、ガメラ、ゴジラはハリウッドまで、いろいろな映画会社が怪獣映画を作っている…

そんな中、日活が、唯一、一本だけ作った怪獣映画を作った…それが「大巨獣ガッパ」

映画の中では、「ガッパ」は主役…で、人間が脇役になる…その脇役が川地民夫さん、山本陽子さん、藤竜也さん、こういった日活のメインのスターが脇役にいる…主題歌は、美樹克彦さん、子供の頃、この映画をみたそうだけど、ゴジラやガメラの方がウンと人気があった…東京や大阪、名古屋の街を破壊していくような迫力があったと…

でも、「大巨獣ガッパ」には、そういったわかりやすい破壊はない…「ガッパ」の上陸は南の島でみつけた卵が孵化したものを、島民の反対を押し切って日本へ連れ帰っちゃったので、それをお父さんガッパとお母さんガッパが、その子供を連れ戻しにやってくる…ちょっと、親子ものの愛に溢れる話…抒情的で…と

子ガッパを連れ戻しに日本にやってくるんだけど…むかったのは熱海…普通東京湾でしょう!と言いながら…夫婦で熱海!といって爆笑を誘う…

さらに子ガッパを助ける印象的なシーンがあって、お母さんガッパが口に何かを咥えていて、それは「タコ」

なぜかというと、お母さんガッパが子供の頃の記憶で…子ガッパの大好物はタコ…そんな子ガッパと人間は羽田空港で解放…

抒情的な物語で、親の愛が描かれていて、これは、子供にはわかりづらい…ある程度…大人にならないと分からないと…

だから「大巨獣ガッパ」はあまり人気がでなかったんだと…

でも、今、大人になって「ガッパ」をみると「ああ、子供の頃はわからなかったものがよくわかる」

ぜひ、みなさんにこの映画「大巨獣ガッパ」を借りてみてくださいと…

なんでも、怪獣映画で柳家喬太郎さんに口出しができるのは、これだけだそう…

泣かされる作品だそうで

 

そんな、子供には親の気持ちはわからないと、マクラをまとめて

映画「大巨獣ガッパ」の親子愛に関連付けて

 

演目は「鬼背参り」

主人公の四方吉は「開けておくれよ!」と、たっちゃんという友達の家の戸を叩く…

四方吉さんは、家を捨てて女と駆け落ちのように出ていって、ここにはいないはず…

たっちゃんは「本当に四方吉なのか」と疑いつつ、「一番好きなものはなんだい??」の質問の返答が「おっぱい!」だったので、四方吉本人だということを確認し、戸を開けるたっちゃん…

四方吉とは久しぶりの再会

「あの女はどうしたんだい」と尋ねれば

四方吉は答える

最初は心の優しい女だったんだ…みんなの反対を押し切って、母ちゃんの反対を押し切って家をでたまではよかったけれど、悪い女だったんだ…金の切れ間が縁の切れ目で女には逃げられたと

「家に帰りたいけど、そのまますぐに帰る訳にはいかない…あんなに啖呵を切ってでてきたんだから」と

四方吉が考えていることは

「今夜はたっちゃんの家に泊まらせてもらって、明日朝、一緒におっかさんのところへ行ってもらって、謝ってもらえないか」と

 

すると、たっちゃんが告げる

「遅かったんだよ…」とおっかさんはすでに他界していたことを知らせる…

四方吉のおっかさんにはいろいろ世話してもらったと…いいおっかさんだった…たまには家でご飯を食べていきなよ、なんて声もかけてくれたりして…

さらには、たっちゃんは、子供の頃の想い出も語る…

「子供の頃もそうだった…お前のことをからかったとき、お前は、俺たちの前では泣かない…でも、おまえのおっかさんが迎えにくると、お前は涙を浮かべて、しがみついてた…すると、おまえのおっかさんは、おまえの頭を撫でて、お前を背負って帰っていった…そして、俺たちをみてこういったんだよ「今度、やったら殺すよ!」」

いやあ、いいおっかさんだと思った…と、たっちゃん

その後、お前が出ていってから、皺が増え、身体が小さくなり…あるとき、仰向けになって息だえていたと

その後、焼場で焼いて、仏様になってお墓にいるはずなのに…てめえのおっかさんはお墓にいない…

それどころか、息だえた場所に、また仰向けになっていたと…

亡骸をまた焼き場に持って行きますとまた亡骸が消えている…

また息だえた場所に、また仰向けになっていたと…

 

夜中にドンドンドンドンと戸をたたく…こんな夜中に誰かと思えば、てめえのおっかさん!…どうやら、てめえのことを探しているようで

 

俺の家だけではない…夜になると近所の家の戸を叩く…夜中に、ずっとお前を探しているんだよ

で、そのおっかさんを、よくみると、頭から角が生えている…

「鬼になったんだよ」とたっちゃん!!

「もう怖くて誰も近づけない…だから、四方吉さん、家に戻らない方がいいぞ…おまえのおっかさん、お前をずっと探してる…絶対近づかない方がいい…」

と言われても気になる四方吉は

大家さんのところへ

大家さんも自分の力じゃどうにもならないということで、お坊さんのいる寺へ…

お坊さんがいうには、昼間に、仰向けに倒れている…というのは、鬼にはまだなっていない…なりかけの状態だと…

「よほど、この世に想いをもっているんでしょう…何か伝えたいことがあるのでしょうな…」

と横たわっているおっかさんの手足をもって運びながら

「おっかさんはお前を探しているんだ…時を忘れて夜中には探し回るでしょう…この鬼になりそうなおっかさんの背に跨る…おっかさんは、夜になると頭から角が生える…それを持ち、一晩中おっかさんの背に跨り続ける…背中に居るので姿は見えないが、四方吉さんの匂いは感じる…四方吉さんが近くに居ると方々を探す間、一言もしゃべってはいけない…すると、やがて砂のように…消えてしまうから」と…

 

さて夜中になると、お坊さんの言ったとおり、むくっとおきだし頭から角が生える…それを持ち、おっかさんの背に跨り続ける

四方吉を探し、ぐるぐると廻っているおっかさん…

行く場所は近所をぐるぐる…

さらには、おっかさんが出向いた場所は、四方吉が幼少の頃、おっかさんと出掛けた思い出の場所を次々と…

思い出に耽る四方吉

「あの神社でも泣かされおっかさんが迎えにきてくれてたなあ…」

おっかさんの背に跨り、四方吉は思いを言葉にする

「俺をあんなにかわいがってくれたのに、あんな馬鹿な女と一緒になるんじゃなかった…おっかさんがこんな姿になって…」

と…角から手を放してしまう四方吉

目の前にはおっかさんが…

すると、四方吉の頬をひっぱたく…おっかさん!!

「痛ーっ!」

「お前はバカじゃないの!!昔も今もピーピー泣いて…」

「おっかさん、俺が背中に跨っていたの、わかってたの?」

「わかるよ!それよりも、お坊さんに、一言もしゃべっちゃダメだって言われたじゃないか…聴いてたら、最初から最後までしゃべりっぱなしじゃないか!…しょうがない奴だな…おっかさんの言う通りだっただろ!へんな女につかまって…あの女のどこに惚れたんだい…」

「おっぱい…」

「バカか、お前は…これからは人の話をよくきいて、ちゃんと仕事をみつけて働くように…わかったね…」

「おっかさんはどうするんだい?」

「おっかさんは死んじゃったからしょうがないよ!鬼にはなりたくないよ…安心しな…」

「思いを残したことがあるんじゃないのかい…それを叶えてからじゃないと逝けないんじゃないのかい…」

サゲはおっかさんのこの一言

「もう、叶ったよ!なんせ、お前をもう一度背負ってみたかった…」



春風亭昇太さんの落語をきいた中では私には珍しい

…古典落語っぽい怪談っぽい人情物の噺でした…

 

サゲの場面では…ちょいと母子の想い出のやりとりに目頭が熱くなるような場面も…

笑いにいって、泣けちゃう噺でした…

いやあ、それにしてもマクラ「大巨獣ガッパ」からの、この演目の流れ、お見事でした…ほろりとさせるような人情噺…

こういうコロナ禍で殺伐とした時代だからこそ、より噺が心に滲みる…

「大巨獣ガッパ」がめちゃめちゃみたくなりました…笑

 

さてさて、この「新作の夜」

円丈魂がよく感じられた新作ばかりで…かつ、三遊亭白鳥さんのことが、友達以上によくわかった…笑…楽しい公演でございました…

 

 

 

私には、なんか三遊亭白鳥さんが「大巨獣ガッパ」と被ってみえて…三遊亭白鳥さんが「タコ」を咥えている図が浮かんできて思わず…思い出し笑いにふきだした帰り道だったのです…笑


うわー!「大巨獣ガッパ」に喰われたーって

子供か!!!

 

チャンチャン!!



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