あまねのにっきずぶろぐ

1981年生42歳引き篭り独身女物書き
愛と悪 第九十九章からWes(Westley Allan Dodd)の物語へ

幸せ(死あわせ)のパンケーキ(丸ビル内にて)

2019-04-17 06:37:01 | 日記
ウエダさんはヴィーガンで、しかもグルテンフリーも今遣られてはるわけですよね。
はい。
こうゆう、ケーキ屋さんとか、パン屋さんとかの前を通ったときにどういう気持ちになるんでしょうか。
食べたいとかの感覚ではなくって、すごく悲しい感覚になりますね。
悲しい...
うん、だって身体にすごく悪いですから...乳製品とか(乳製品は特に乳がんや前立腺がん等との因果関係が取り沙汰されており、しかもパンケーキの狐色の表面に生成されるアクリルアミドは特に発がん性が高いと言われている。だがその何千倍もの高濃度の発がん性物質が焼いた牛肉の表面から検出された。)
...


そのあと、丸ビル内のタワレコに向かうまでわたしは彼に乳製品の害について自らの経験談を語る。
ヴィーガンの期間(2012年2月~7月、2019年9月~)も、ペスクタリアンの(植物と魚介類を食べていた)期間(2012年7月~2015年9月)も、ほぼずっとそれまで酷かった生理痛が起きなかったんですね。
わたしは畜産物(畜肉、乳製品、卵)を一切断ってから、生理痛からも頭痛からも解放されたんです。(さらに胸にあった良性のしこりの持続的な痛みもなくなった。)
でも、2016年の4月とかに、食欲に負けてチーズの載っかったピザを食べてしまったんですよ。で、そのチーズを食べた月が、むちゃくちゃ生理が重かったんですよ...(チーズは特に牛乳の成分を凝縮しているために人体への害なる影響は大きい。)
ほお。
で、ああこれはもう確実だなと想いましたね。
乳製品の害はもう確定だと。
それが一番のヴィーガンを続けている理由としてあるんですね。
いや、それが一番ではないんですけどね...
それ以外に一番の理由はあるんですけど。
...
その時、タワレコの中で彼はレッド・ツェッペリンのコーナーを素早く見付ける。
おおおおおっ、いっぱいあるうっ。
一人ではしゃぐわたし、冷静な彼。
わたしはとてもテンションが上がっている。
何故ならこの一月、わたしはレッド・ツェッペリンのことばかりを考えて暮らしてきたからだ。
だがわたしはまだツェッペリンの新しいアルバムを一枚も持っていなかったのである。
すべてメルカリやAmazonで安く中古で購入したものばかりだった。
必ずこの日、わたしのホームヘルパー担当である愛する彼と一緒に梅田に行って、そしてツェッペリンのアルバムを新品で購入するのだ。
絶対にだ!
何があっても、わたしはこれを実現する。
例え、まだ4月の7日なのに、残金が11,000円しかなくとも。
ははは、絶対に買うのだ。
わたしはツェッペリンに、命を懸けている。
と言えば、まあ大袈裟やね。
それはちょっと言い過ぎたかな。
わたしはまず、ツェッペリンのドラムのジョン・ボーナム、愛称ボンゾが1980年9月25日に喉に酒の吐瀉物を詰まらせて窒息死し、ツェッペリンが解散となる前に出した実質ツェッペリン最後のアルバムである79年発売の『イン・スルー・ジ・アウト・ドア(In Through The Out Door)』を手に取った。
これだ!これが欲しかったんすよ!これ実はまだ聴いてないんですよ。最後のアルバムですからね、もったいなくって、まだ聴けないんですよ…(一曲目のイントロだけ実は聴いてしまったのだが、むっさくっさカッコよかった…)
この、ジミー・ペイジ監修のデジタルリマスター、2015年に発売されたやつ、2000円+税、これ、買おう!
これ買いますわ。お金ないけど、たはは。
あって良かったですね。
うん!良かったあ、これあって。
まあ他にもツェッペリンの欲しいCDたくさんあるんですが、今月はお金がな...
さっきディスクユニオンで『BBC Session』ちゅうやつ中古で600なんぼで買えたから、ええかな。しゃあないかな。ほんまは欲しいんですけどね。て何回ゆうねんわし。
ははは、まあ今月は我慢ですね。
そうですね、まあダウロードした音源はいっぱいあるんで、それで我慢だなぁ。
うわあ、でもこれあって良かった。これか4枚目の『LED ZEPPELIN IV』が新品で欲しかったんですよね。
4枚目は中古で買おかな、あ、しまったな、ディスクユニオンで4枚目の中古安くであったような、あのもっかいさっきのディスクユニオン行くのって時間的に難しいですかね。
いや、時間的には大丈夫ですよ。
でもしんどいな、結構歩いて距離があったし、日射しが目にきつくって...
どうしますか?
どうしょかな。
他のメモしてた中古の店ってどこでしたっけ。
あ、そうそう、他はね、ええっと、ああ第3ビルのカーニバル・レコードと、あと第1ビルのディスクJ・Jですね、ここから近いですか?
第三ビルやったら結構近くですね。
あ、それやったらここ行きましょか。
うん、そこ二つ、取り敢えず行ってみましょうか。
うん!
そうしてわたしと彼はそのあとその二つの中古レコード屋に向かった。
だが、そこにわたしの求めるツェッペリンの4枚目のアルバムが、わたしの求める値段でなかった。
これ中古で1000円払うなら、ジミーペイジ監修のリマスター盤をあと1000円払って買うほうがよくないでげすか?
うーん、ぼくはなんとも言えませんね、そこは、食費を削るかツェッペリンを削るか、というところだったら、もうそれはウエダさんにお任せするしか...
ですよね、いやもうこれ...新品買いますわ、だってあと1000円足したら新品買えるんですもん、しかもジミー・ペイジリマスター盤を。
うむ...ではそうしましょう。もっかいタワレコに戻りますか?
そうですね!あっこに4枚目もありましたね。
そうしてわたしと彼はまたぞろ丸ビルのタワレコに戻った。
そこでわたしはツェッペリンの4枚目のアルバムを手に取り、唖然とした。
うわっ、2800円+税ってなってる...
あー...二枚組ですね。
二枚組やからや!未発表音源のコンパニオン・オーディオ・ディスクが入ってる!
2800円か...結構痛いなこれ。
わたしはそう言って財布の中を確かめた。
そこには1000円札💴が4枚と、小銭が少しあるだけに見えた。
マジかよ...!
わたしは心の中で叫んだが、たった3秒間悶絶したあと、腑抜けたように言った。
あ、もうええわ、もうこれ、わたし買いますわ。
大丈夫なんですか?
彼が心配そうに言った。
うむ...わたしは腑抜け状態のままで、もう一度、財布の中を確かめた。
すると、そこには、8000円の札があったのである...!
うわっ、これさっき5000円札をわたし1000円札やと想ってましたわ、ぱはははは。てことはあと8000円とちょっとありますから、まあなんとかなるかな...今月は24日にお金が入るので。
...大丈夫なんですか?
彼はそれでも心配そうな顔でわたしに訪ねる。
わたしは不安そうな顔で、しかしもう決めたことだからと決意の顔でこくりと、目を光らせて深く頷く。
そうしてわたしの財布には、5000円札と、幾らかの小銭が残された。
それでもわたしは、満足であった。
愛するレッド・ツェッペリンのアルバムを、今月二枚も新品で購入することができたからである。
わたしがレッド・ツェッペリンというバンドをどれほど愛しているか、君に教えてあげようか(ジミー・ペイジの言い方のパクり)。
そう、ジミー・ペイジは去年発売されたレッド・ツェッペリン結成50周年総力特集rockin'onのinterviewで、「ツェッペリンが失敗したと想ったときや、バンドが悪戦苦闘しているように聴こえる曲とか、目指そうとしたところまで届かなかったと感じる曲はあるか?」と訊ねるインタビュアーに対して、こう話始めた。
「いいかい。レッド・ツェッペリンというバンドがどういうバンドであるのか、君に教えてあげようか。」
かっけえ!ジミー!
わたしはその言葉が何一つ間違ってはいないことを知る。
ジミーはこう続けた。
「ぼくはね、その月、まだ7日だというのに、残金が8000円と少ししかなかったんだ。そうその時それはそのすべてを本当はぼくのその月の食費に回すべきだと誰もがそう考えていた。当然だよね。食べていかなければ人は生きていけないからね。ぼくもそうするべきじゃないかと一瞬考えたさ。でもその愚かな考えを一瞬で粉砕して見えなくしてしまったもの。それがぼくの導いているバンド、レッド・ツェッペリンというバンドなのさ。つまり...ぼくは食べることより、そう生きることよりもツェッペリンを持続させること、ツェッペリンへの愛を選んだというわけさ。ぼくはぼくの本当に大事なほとんどのものをツェッペリンに費やしてきた。時間、お金、愛する人、そして何より大切な純粋な情熱というものを。それがぼくの最も誇りとなるもの、レッド・ツェッペリンというバンドなんだ。」
わたしはジミー・ペイジが自分の脳内でそう熱く語り、それをロバート・プラントが真っ直ぐな春の陽をキラキラと反射させた水面のように輝く目をして聴いている光景のなかで胸を熱くさせながら彼とタワレコを出る。
そして雑踏の犇めく地下通路内を梅田の阪急線に向かってわたしたちは歩いている。
動く通路を近未来的だと言って喜ぶわたしの右側で、ヘルパーの彼はいつでもクールに落ち着いている。
そしてある角を、曲がったときだ。
そこの右側にある大きな看板が、彼の目の中に入った。
彼はぽそっと言った。
「幸せのパンケーキってこんなところにあったのか。」
わたしもその大きな看板の文字を見て苦々しい想いで応えた。
「そんなに有名なお店なんですか?」
「うん、今すごく流行ってますね。でもこんなところにあるとは知らなかった。」
「そんなに美味しいんでしょうかね。」
「どうでしょう...ぼくもまだ食べたことがないので。」
「まあわたしは食べられないですけどね。」
「そいですね。」
「うん。だって...全然幸せじゃないですからね。寧ろ...不幸せですからね。不幸せのパンケーキですよ。」
「そうですね...」
「うん。不幸のパンケーキ、いや不幸どころか、地獄ですからね。」
「地獄のパンケーキ」
「ははは(彼の渇いた笑い)」
「地獄に通じるパンケーキ」
「ぽほほ(彼の苦しい笑い)」
「地獄へと導くパンケーキ」
「言うてしまいましたな(彼)」
「言うてしまいましたな(私)」


そうして4月7日(日)午前11時から出掛けたわたしと彼の楽しい梅田への御出掛けは午後の5時過ぎに、無事に終了したのであった。とても暖かい日でありました。


本当にありがとうございました。
すべてに神の御幸(御光)が降り注がれんことを。




わたしが最初にレッド・ツェッペリンのライブ映像を観て、その印象的なギターフレーズを好きになったわたしが一番最初に好きになった5枚目のアルバム「聖なる館(Houses of the Holy)」からのナンバーを、最後に良かったら御聴きください。



Led Zeppelin - The Ocean (Live at Madison Square Garden 1973)













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