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シャープ & ふらっと

半音上がって半音下がる。 それが楽しい、美しい。
思ったこと、感じたことはナチュラルに。  writer カノン

旅と食

2007-04-10 10:11:23 | きょうは何の日?
今日は「駅弁の日」。

弁当の「弁」の文字が4と十の組み合わせでできていて、
「当」は(とう)になることから4月10日と、
1993年に定められた。

駅弁ならば、歴史もゆかりも多いだろうが、
ゴロ合わせのような制定は、残念な気もする。

日本最初の駅弁は、
明治18年7月16日、東北本線宇都宮駅。
おにぎり2個とたくあんを、竹の皮で包んだものだった。
当時は、旅のぜいたく品だったようだ。

その後、立ち売りの駅弁や、
車内販売などの歴史を経て、
今は、デパートの「全国駅弁市」などの催事が、
売り上げの多くを占めるという。

私は旅が好きだが、駅弁はあまり食べない。
車内で食べるという行為が、あまり好きではないのと、
冷たいご飯がキライだからだ。
もちろん、暖かいご飯の弁当も多いのだが。


暖かいご飯の代表ともいえる、
信越本線・横川駅の「峠の釜めし」。
駅は10年前、新幹線開通に伴って、
特急も走らない、ローカル駅のようになってしまった。

この「峠の釜めし」は、味も器も見事だが、
なにより、列車が出発する時に、
販売員が全員、列車に向かって深々とおじぎをする。
それを見て、乗客も窓越しに、
買わなかった人まで、思わず頭を下げる。

世界中探しても、こんな光景の駅は他にない。
日本人の、旅と食と心が、この山間の駅にあった。
今でも、始発の各駅停車に向かって、
数少ない乗客に対して、販売員は頭を下げる。
しかし、特急が停まるごとに、多くの客が降りて買い求めた光景は、
今はもうない。

新幹線と引き換えに、
大事なものを失ってしまったような気がするが、
販売員の心と、変わらない味が続く限りは、
「峠の釜めし」に限らず、駅弁は健在だろう。


新幹線「のぞみ」に乗ると、
静岡付近の絶妙なタイミングで、「うなぎ弁当」を売りに来る。
そして、昔、売り子がのんびり売っていた浜松を、
猛スピードで通過していく。

停まらない駅の「名物」を、
車内で味わう旅は、どこか寂しいが、
これも現代か。