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シャープ & ふらっと

半音上がって半音下がる。 それが楽しい、美しい。
思ったこと、感じたことはナチュラルに。  writer カノン

40年のタイムスリップ

2007-04-08 09:45:20 | 日常から
清掃の仕事をしているデパートは、
私が子供の頃から、よく行った店である。

日曜日、電車に乗って、
家族で買物に行くのが楽しみだった。
でも私は、おもちゃや本などを、
あまり欲しがる子供ではなかったらしい。
とにかく、「デパートに行く」というのが、
楽しみな子だったようだ。

一度、迷子になったことがある。
階段脇の窓から、外の景色が見れる場所がある。
そこに一人で行って迷子になったのだ。

泣きながら通路を歩いていたら、
すぐに店員の女性が寄ってきて、保護してくれた。
間もなく、母が迎えにきた。
今でも強い印象に残っている。

その階段と窓は、もうなくなってしまった。


・・と、思い込んでいた私。
ところが先日、社員だけが知り得る、店内地図を貰った。
非常階段や、社員専用通路の地図だが、
そこに一ヶ所、ある階段の文字があった。

「東第○階段 (非常用・元客用)」

元、客用。
しかも、東向きというと、私が見ていた大好きな景色の方向だ。
そして昨日の朝、一番の清掃だったため、
私はこっそり、その階段を探し、扉を開けた。

大きな窓。 朝日が差し込み幻想的な階段。
ひびが入り、ほこりまみれだったが、
まさしくそこは、私がちょこんと座って見ていた場所だった。
40年近く、この場所は残っていたのだ。

外を見る。
たしか40年前は、「都電」が走っていた。
でも、窓の汚れもあって、
外ははっきり確認できなかった。

しばし、思い出の中にいた。
もう何年も、人など入った様子もない感じだが、
私の中では、
ここだけがタイムスリップしていた。


迷子になって、お世話になった恩返し。
清掃という仕事で、このデパートに入ってみたが、
思わぬ、懐かしい思い出に出会えた。
子供と大人の私が、ひとつの建物の中で再会した。


神様は、
40年も、私を待って下さっていたのだ。