カッキーYAMA   akihiko tange

手始めに、日常的なことを気の向いたときに載せていくつもり。

みずがき山行

2009-10-07 | 旅行

「みずがき山行」<o:p></o:p>

 寝袋にくるまって寝ていた。寒くはなく、タートルネックのセーターが心地よかった。山小屋は辺り一面の暗闇に包まれていた。風も無くしんと静まりかえっていた。ヘッドランプの明かりを頼りに寝袋にくるまったまま活字を追った。電灯は無い。気づくと真夜中を少し廻っていた。山小屋にはその日、他には誰も宿泊客はいなかった。不思議と他の客が来る予感が無かった。小屋の外にふた張り、山に通じたとおぼしき男らがテントを張っていた。数時間前、まだ夕闇が迫りつつある頃、彼らの一人に両替を頼んだ。応じてくれたが少し足りなかった。もう一人に聞くと小屋の料金箱にその旨のメモを入れて後で郵送したらどうか、と知恵を入れた。管理人は近くに住んでいるようだった。寄れるなら直接渡すことにしてメモを入れたのだった。<o:p></o:p>

今、彼らも早々に飯を済ませたらしく、静かだった。<o:p></o:p>

 小さな音がした。小屋の材木が軋む音だった。小さな虫の羽音が耳をなぶった。動きも音も他には何も無かった。退屈しのぎに山行のときにいつも携行しているラジオのスイッチを入れた。小さな音にして耳元に置いた。ごろりと横になっていた。10代とおぼしき少女グループのDJたちが変な話し方でとめどないおしゃべりを続けていた。耳を傾けた。それでよかった。周りの山が邪魔をして電波は入りにくいようだった。FMは皆無。AMはかろうじてその他数局、それも雑音が入ったり、消え入りそうになったりする。ケータイも圏外が表示されたりするのであった。ケータイの画面はそこでは異様なくらい鮮やかな色として目に入るのだった。<o:p></o:p>

 ここへ来る前に仕入れた地場産の焼酎の口を切った。金属のキャップの切れる小さな音と、続いてガラスにこすれる軽い心地よい音が、耳に響いた。ひとりにしては大きすぎる部屋の闇に音は消えていった。登山のことを考え、少しだけ飲んだ。自然の冷気で程良いくらいに冷えていた。美味かった。空気が美味かった。美味い空気と焼酎をひとくるみに口に含み呑み込んだ。香りが顔中に広がるのだった。<o:p></o:p>

 闇にぬめりは無かった。からりと乾燥していた。冷え乾いた闇は寝袋にくるまっていると心地よかった。小屋は何十人も泊まれるほど大きく、がらんとしていた。メールを打つ相手は思いつかなかった。いずれも頭の中から排除された。思いつくことを単語にして数語、自宅のパソコンに打った。圏外だが時として接続されるのだった。不安定な通信環境だった。頭の中は日常からようやく切り替わり、数時間後に登る山への想像が廻った。岩山だった。ガイドブックの写真で楽しみは膨らんだ。<o:p></o:p>

 暗闇の中、寝袋から這い出た。既に何時間か睡眠は取れていた。立ち上がった時気力が充溢しつつあることを悟った。まだ出発には早かった。あたりは静まり返っていた。用を足しに小屋の外へ出た。<o:p></o:p>

 まだテントに薄く明かりが灯っていた。用足しへ行く途中、腰に手を当て見上げた。天空は雲ひとつなく星々で埋まっていた。月は無かった。パソコンの名を月の女神の意でlunaとしていることを思った。東から西へうっすらと白く天の川が見られた。流れ星を探したが出合わなかった。便所小屋は離れになっている。歩くと土を踏む自分の足音だけが響いた。<o:p></o:p>

 寝袋で明け方を待つのは意外に忍耐が要った。計画とも言えないような計画を立てていた。それで良いと踏んでいた。その計画では6時の出発だった。真夜中を廻っていた。6時まで大分間があった。闇の中で動かなかった。<o:p></o:p>

 寝袋から出た。計画に従うより、心の動きに従った。その方が自然で楽だった。時間は朝の3時を過ぎたところだった。ケータイの異様に光る液晶の時間表示がそれを知らせた。木の床にあぐらをかき、ヘッドランプの明かりを頼りに荷物を整理し、パッキングを始めた。焼酎の瓶を割れないように替えの衣類で巻いた。山を歩くと必ず一度や二度は転ぶからだった。焼酎はほとんど減っていなかった。まだ辺りは暗かった。ランプが無ければ手元さえ見えなかった。早めに行動開始ができるので気分が良かった。もともといつ出発しても良いのだった。ひとりの行動の時は慣れないと、そこの時間の按配が意外に難しい。地図、コンパス、ラジオ、傘、携行食などをザックの出しやすいところへ移し替えた。<o:p></o:p>

 ザックを背負い、小屋の外に出た。小屋の扉は開け放ったままだった。星が綺麗に出ていた。雲は見当たらなかった。頂上での明け方の快晴が予想された。上での四周の遥かな眺めを想像し、満たされた。3時半を少し廻っていた。登山を開始した。ヘッドランプの明かりが眼前に先行し、その後を自分の二本の脚が追うのが目に映るのだった。視界は脚もとの丸く照らし出された範囲、それだけだった。下ばかり見て歩く格好となった。道に迷わぬよう登山道を確認するために時々顔を上げた。道は真っ暗な闇の中に消えていた。ゆっくりと歩きつつその闇を追った。この時間が良かった。出だし、ペースをつかむためしばらくそうして歩いた。<o:p></o:p>

 1時間か、あるいはそれ以上たったころだろうか、ふと視界が広がっていることに気付いた。夜が明けてきたのだ。辺りの木々が薄くかすかなシルエットとなって見えはじめていた。ランプの明かりを消してみた。周りを包むそのままの光景と空気が理解できた。いい時間だった。もうランプの明かりは必要なかった。休憩を多く取った。水分を頻繁に取った。水はこの山の水場で補給したものである。日帰りに近い登山には不釣り合いなくらいに大きなダイナマイトペットボトルから直接飲んだ。美味かった。さすがに焼酎はもう口にしなかった。念頭にすらなかった。ひたすら空気と水と、時々取る砂糖を含んだ甘い携行食が、満たした。立ち止った。巨大な岩に囲まれていた。みずがき山を特徴づける奇岩群である。自然の造形の奇跡を思った。振り返ると木々の間に遠く、富士とそれに並んで連なる南アルプスの山々が見え隠れしていた。それまでの冷気の温度がかすかに上がってきていた。暑くなりそうだった。<o:p></o:p>

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 出発して3時間ほどで頂上に到着。360度の大パノラマを楽しみ、食事をし、上での時間を満喫し、登山道とは反対側の、谷筋の下山道を取って下山。      完<o:p></o:p>

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台風近づく

2009-10-07 | エッセイ


 台風18号が近づいているらしい。

 現在9時過ぎ、少し風が出てきたようだ。

 しとしとと降る、などと言ってはいられないようなのである。

 結構大型の台風らしい。


 ところで2枚前のblogの「スナップショット」の写真について

 語りたくなりました。ドンキホーテに買い物に行き、店内を

 うろうろしていてふと目に入った、ある商品のポスターを

 即座にケータイでショットしたものです。

 メタリックガールと必要もないのに名づけましたが、実際は

 実になめらかで量感のある感じでした。目を引きました。

 もちろんプロの作品でしょう。

 ケータイで撮ったので粒子が粗く、それを少し加工するとシル

 バーメタリックな感じになりました。偶然にも粗さが丁度良い

 ので悦に入っています。

 人間、たわいもないことに嬉しさを感じるものです。

 

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typhoon

2009-10-07 | エッセイ


 台風が近づいているらしい。それもチョー大型の・・・・・

 ハロウィンも近づいているらしい。あまり興味が無いのでカボチャでも食べま
 す。   

 

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夜の音楽

2009-10-07 | アート

     
    
 [ 音・すぺーす ]                                                                  


            
     スナップショット        



drawing                             aug2009   


   ⊡           ⊡          ⊡   

 

JAZZ・SPACE   「SOMETIME」  季節は冬     

吉祥寺・SOMETIME   友人とjazzの生演奏を聴きに
マッチ箱  TELナンバーは写真に小さく・・・・・・・・・

                              

SOMETIMEめにゅー





音・すぺーす  軽快で白熱の演奏            楽しみました       


 

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