それはまだ、コロナが流行する何年も前の話し。
2月。
ハンガリーのなまはげ祭りを見物した、あけち家一行。
その日はお祭りが行われたモハーチ近郊の街に宿をとっていた。
街を離れると、ほどなく広大な畑の広がる郊外へと出た。
カーナビは、その畑の畔道へ進めと言う。
畔道といっても、畑の真ん中に車の轍が残っている程度のもの。道と言っていいか怪しい代物だ。
できればそちらには進みたくない。
というか、誰かの畑だよね?
そもそも侵入して良いものか…
が、他に道もなく、
土地勘のない地ではカーナビに従うしかない。
覚悟を決めて、カーナビの指し示す方向へと進んだ。
時折タイヤを取られつつ、畑の中を進む。
永遠に続くかと思われた畑を抜け、山道へと差し掛かった。
ホッとしつつ、これはこれで心配になる。
かと言って、またあの畑に戻るのも嫌だ。
恐る恐る山道を進む。
砂利道になったので、タイヤを取られる心配がなくなったのだけが幸いだ。
進むにつれ、おんボr…ささやかな古民家もチラホラと見える。生活感があふれ、とりあえず人はいそう。
ほんの少し、希望が見えた…?
「目的地周辺ニ 到着シマシタ。音声案内ヲ
終了シマス」
え?
ナビよ、今、何と?
案内を終了します?
何もないよ⁉︎ここ‼︎
相変わらず山ン中だよ?
こんな所で案内やめないで〜‼︎
車を降りて周辺を少し歩いてみるが、山と木と年季の入った民家がチラホラと見えるだけ。
ナビの指し示す場所には、なにやら作業小屋らしきものがあるのみ。
風雨はしのげそうもない。
冬の日暮れは早い。
今日は野宿なのか?
いや、もう少しだけ先に進んでみよう。
そういうことになった。
そして進むこと数100m。
出た!
唐突に立派な舗装道路に出たのだ。
そしてそこには探していた、今夜のお宿の看板が‼︎
そう。
木と山の斜面で見えていなかったが、ナビの指し示す場所にそれはあったのだ。
カーナビよ、もう少しまともなルートがあったんじゃないのか?
内心そう思いつつ、無事にチェックイン。
ホテルでは夕食はやってないとのことで、最寄りのレストランを教えてもらう。
と、ホテルから13km離れた所にあるとの事。
マジですか?
ナビよ。夜だし暗いし、ちゃんとしたルート頼むよ。
…という願いが通じたのかどうか、
今度はしっかり舗装道路を案内してくれた。
やっぱりあったんじゃん。
この時ほど暖かい料理とお布団に感謝した旅はない。
冬は完全オフシーズンだったけど、夏には川遊びや乗馬なんかができるみたい。
自然豊かな所みたいなので、今度は夏に行ってみたいなぁ。
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