「ここの山笠は、昔の伝統を守り男達の出で立ちも、腹巻に黒兵児帯それに草鞋を履きます。それにかき棒も120年は使っています」
隣におられたスーツにネクタイと、およそ祭りにはそぐわない服装の地元の人らしい初老の男性から、どちらからですかと声をかけられた。
福岡からですと答えると、山笠のいわれやどこの山笠が伝統を引き継いでいる等等、親切にも説明をしてくれてた。
肩当ては「すけ」というそうで、これを棒と肩の間に入れてかき山を担ぎ上げる。
一定の区間を右肩と左肩を交互に入れ、替わりながら軽やかなお囃子に合わせて練り歩く。
「歴史のある町内のお囃子は笛はありません、その方が力が抜けずに済みます」その男性が教えてくれた。
地方の山笠はお囃子といえば、概ね鐘・太鼓・笛とこの楽器で構成されている。
そういえば担ぐ男たちのリズムも、打楽器の単調なリズムに乗って小刻みに上下動しながら進んでいる。
こちらの囃子方は、山笠の台下で垂れ幕がかかってみることができない。
それが昔からの個々の山笠の流儀なんだろう。
男たちのいなせで粋ないで立ちから伝統がにじみ出てくるようだ。