福岡市のなかでも一等地の高台にある福岡市動植物園は、これまでも郊外移転拡充の話が浮かんでは消えていった。
動物たちは地価からいえば、高級住宅地に住んでいることになる。
動物保護の観点から動物の手配がままならなくなり、園そのものが縮小傾向をたどっていくに運命にある。
主がいなくなったゴリラ舎等、人間同様空き家が増えている。
サル山のサルたちは雪が舞い散る中、身を寄せ合って暮らしていた。
哺乳動物にみられるマウンティングがみれた、サルの世界も厳しい序列がある。
時折、キーキーと甲高い声を出し群れが、狭いサル山を駆け巡っていく。
岩屋の穴倉で老猿がうずくまり、ひっそりとこちらを眺めていた。
孤独が好きなのか、ただ舞っている雪を、誰にも邪魔されず眺めたかったのかはわからない。