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会津の旅人宿 地域との交流・旅人との交流が盛んな【会津野】宿主ブログ

地域の話題、旅人のホットな話題、季節のおいしい食べ物の話題など、会津へ旅する人々への話題中心の宿主ブログです。

【会津野】働き方に対することあれこれ

2017年10月20日 | 宿主からのブログ

おはようございます。旅人宿 会津野 宿主の長谷川洋一です。

今週は3冊の本を読みました。

 

「手作りチーズ事始め」(吉田全作著)、「市めくり」(タイムマシンラボ編)、「農業で稼ぐ!経済学」(浅川芳裕、飯田泰之共著)の3冊です。

チーズの本は、名の通リチーズ作りのノウハウが込められているもの。まず、牛乳に乳酸菌を加え菌の力を引き出しながら発酵。次にレンネットと呼ばれる酵素を加えて固形部分と乳清を分離。ここでも発酵させます。その後は、チーズの種類に応じて熟成させる。これが一般的なチーズづくりの手順です。

読んで思うのですが、チーズについては、菌が働く環境をいかにうまく作ってあげるかがカギで、いま社会が進める「働き方改革」で言えば環境整備に必要なネタを勉強したと感じました。

「市めくり」は、全国各地の「市」が紹介されているもの。なぜ市が出来たのかという成り立ちも、歩いて取材した内容が散りばめられています。こちらは、地域の人々がほしいと思うニーズのあるところに「ものづくり」の仕事が生まれ、それを売買する場こそが「市」であることを実感出来ます。

ここでは、ニーズをいかに効率的に情報収集し製品に反映させるか、ということを考えさせられます。

農業の本は、経済学の視点から論じているもの。経済の基本原理である「売上」ー「経費」=「利益」という式のうち、経費を抑えるための農業機械の効率的利用が、議論のカギになっています。ある程度成立した事業、あるいは、社会変化により凋落してしまった事業の、立て直しの視点を与えてくれると感じました。

一方、昨日は「まちづくり」の手法を勉強する講演を聴く機会がありました。

「まちづくり」のためにまわりの人々を巻き込むコツは、「ワガゴト化」をするということ。

「まちづくりのために何かしよう」では、なかなか人は動かない。「自分にとってどうなの?」ということを考える機会提供をすると、人々はいろんなことを考え行動する。

これが「ワガコト化」。

「まちづくり」での働き方のポイントがここにあるな、と、感じました。

現代の「働く」は、作業をするというよりも、「考えて実行する」ことが「働き」の根幹ですね。

今日も素晴らしい1日を過ごしましょう。

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【会津野】市・市・市

2017年10月16日 | 宿主からのブログ

おはようございます。旅人宿 会津野 宿主の長谷川洋一です。

先日お泊りになったお客様。全国さまざまな「市」について本を出版されている方でした。(これからA氏と記します)

会津で「市」と言えば、お正月に行われる「初市」が有名です。

今年のお正月、会津各地で行われている初市を巡って来たことを思い出します。

4つのエントリーとして書きました。

【会津野】十日市の様子

【会津野】十二日市の様子

【会津野】会津の初市 周辺部の巻

【会津野】小田付初市

書物を、現場を歩いてわかったことを簡単に記すと、

1.1384年に会津若松市で「簗田市」として始まったのが「初市」のはじまり

2.街中に住む武士や商人と、周辺農民との正月の挨拶の場という要素を備えていた

3.その年の縁起をかつぐため、商人と農民が俵を引きあって、「豊作」か「コメの値段が騰がって商売繁盛」かを占う行事「俵引き」がはじまった

4.春日大神と住吉大神を「市神様」として祀り、市の成功を願った

5.だんだんと会津地方各地に広がりを見せ、初市と俵引きが各地で行われるようになった

6.会津高田だけは、修行僧が多い町であったことから、阿弥陀如来と薬師如来を祀る仏式の市が開かれた

7.1675年に、小田付初市で出店場所のイザコザから市立権論争という大きな論争が起き、神式の初市を正当なものとする奉行の判決が出る。高田の仏式初市が開催が禁止された

8.高田では、禁止された初市から、仏教でお寺にお参りする日とされる六斎日に開かれる六斎市へと移行した

9.1872年に会津若松の俵引きは、明治政府により禁止された

10.俵引きだけが廃止される動きが広がり、高田と坂下の俵引きだけが残る

11.高田の六斎市もいつのまにかなくなり、初市が開かれるようになるも、市神不在の単なる市へ成り下がった

 

「市が開かれる」きっかけは、生産者と消費者の接点としてはじまることは容易に想像できるものの、「市がなくなる」のはどんな場合かということを、A氏と議論。

A氏は、市で扱う品物が、市でなくても簡単に手に入るようになると、市は廃れると言います。

多くのスーパーマーケットやモールなどが出来たことにより、商店街が廃れたのと同じようなことのようです。

ただ、会津の初市のように外部からの圧力によりその一部である俵引きがなくなったものは、本質的になくなる状況となったものではないという意見の一致をみました。

高田の仏式による初市は「復活の可能性アリだな」と、この方向に向けて動こうと心の中で思いました。

興味を持ったら、知識を習得し、取材して掘り下げてみる。

なんと楽しいことなのでしょう。

「市」や「マルシェ」がある程度軌道に乗ったら、いつでも商品を手に取れる商店に移行する。そうすれば「市」と「マルシェ」のお役はもうご免だ。

マルシェが氾濫してきた昨今、そろそろこの移行を考える時期に来たかなとも思う今日この頃です。

今日も素晴らしい1日を過ごしましょう。

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【会津野】違憲状態が急に合憲に変わってきた

2017年10月14日 | 宿主からのブログ

おはようございます。旅人宿 会津野 宿主の長谷川洋一です。

総選挙が近くなってきました。同時に最高裁裁判官国民審査が行われると広報されています。

今回は、前回の衆議院選挙以降に最高裁判所の裁判官に任命された7名について、その審査が行われるとのこと。

前回の参議院選挙から1票の格差による定数是正が行われてきてはいるものの、1票の価値に2倍以上の格差がいまだに存在し、投票価値の不平等が憲法の求める選挙権の平等に反する状態が依然として続いていることを、違憲状態であると言い続けている裁判官がお一人だけいらっしゃいます。

他の6名の裁判官は、合憲だと言っていますが、私は、かつてほとんどの裁判官が違憲状態だと言っていたのを覚えています。

この判断は、ここ最近で大きく変わってきたなと感じるのですが、この間に社会で変わってきたことといえば、改憲論議です。

憲法改正の発議が行われるかもしれないという状況が近くなってきましたが、そもそもこの発議というものは、衆参両院の3分の2以上の賛成で発議されるとしています。

この発議を行う議員さんが、違憲状態で選出されているとしたら、憲法改正議論は笑い話になってしまいますよね。

裁判官は、整合性が取れないことを認めるわけにはいかないでしょうから、まず違憲状態を合憲だと判断を変更をしたのだろうと私は感じています。

だけれども、このように政治や社会の背景により、最高裁の裁判官が判断を変えてしまうことって正しいことなのでしょうか。

これを許したら、福島が大きく関係する原発訴訟や、原発再稼働の判断などでも、政治の介入で司法が曲げられてしまうということになりやしないでしょうか。

今回の衆議院選は、3極と言われているので、1票の投票が全体にどんな影響を与えるかはとても複雑です。ただ、国民審査という国民投票は、YesかNoの二者択一ですから、1票の影響がはっきりとわかります。

このわかりやすい投票権を用いて、憲法改正の意思表示をすることができるのではないかと感じてきました。

案外と国民審査は大事だぞ!と思う今日この頃です。

今日も素晴らしい1日を過ごしましょう。

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【会津野】気になる論調を聴いたけれど。。。

2017年10月12日 | 宿主からのブログ

おはようございます。旅人宿 会津野 宿主の長谷川洋一です。

何気なくラジオを聴いていたら、日経平均株価21年ぶりの高値と報じていました。

21年前の1996年から経済が冷えていったことを振り返ると、1997年4月の消費税率up、1997年7月のアジア通貨危機、1997年11月の山一証券破たん、1998年8月のロシア財政危機、2001年9月の同時多発テロ、2001年12月のエンロン破たんと悪いことが続き、2003年5月に平均株価7603円を付けました。

その後、小泉改革で立ち直り、2007年3月には18300円まで回復。

2007年7月の新潟中越沖地震から下落に転じ、2008年9月のリーマンショックにより、再び6994円まで暴落しています。

2012年12月からのアベノミクス相場により上昇に転じ、2015年8月のチャイナショック前の20952円を高値に下落。

2016年6月の14864円を底に、再度盛り返してきたという動きです。

最後の底の前の2016年5月に行われた伊勢志摩サミットで、安倍首相が「リーマンショック前に似てきている」と世界のリーダーたちの前で演説し、実際にはそうでなかったことが証明されたということがありました。

ラジオの解説では、株価ディーラーの解説者が、リスクをあまり考えずにどんどん株を買い上げている状況がリーマンショック前と似ていると言い、実際リーマンショックが起きた時は、金利低下政策と量的緩和政策がとれたけれど、いまもし同じようなことが起きたら、もう打つ手はない、と警鐘を鳴らしていました。

リーマンショック前の下落のきっかけは「タリバンショック」だと言っていたので、調べてみるも、そういうショックの記憶はありません。アフガニスタンの情勢が泥沼化していたことを言ったのかと思いますが、遠回しに北朝鮮情勢がこれに似ていると言いたかったのかもしれません。

そういえば、北朝鮮がミサイルを発射して最初のJアラートが発せられたとき、地下に避難という方法がテレビに表示されましたが、「田舎に地下なんてないよ」という声が、まわりから多数聞こえてきました。

北朝鮮に対する対策と言っても、ミサイルはどこに落ちてくるかわからないし、そもそも地下に逃げれば助かるような限定的な爆弾とも思えない。

つまりは、どんな対策をしても、破滅的なことしか待っていないという論調も、ラジオでは付け加えられていました。

リーマンショック前に株価暴落に賭けた男たちを描いた「世紀の空売り」(マイケル・ルイス著)という本がありました。

結論は、暴落してもその後の取引が成立せず、溶け合いになって権利が消滅してしまうということが起きたと記されています。

もしリーマンショック級の暴落が起きたら、どんな対策(保険)を打っていても、結局は全部チャラということになるのではないでしょうか。

守るべきものがある人は守っても仕方がないし、守るべきものを持たない人はもともと守る必要がない。

何が起きても生きていくすべを自分で探せることだけが、守るべき事柄に思えてきました。

一気に格差も疑似階級社会も溶けてしまう、そんなことが起きても、毎日楽しく暮らせることの方が大切だと感じました。

今日も素晴らしい1日を過ごしましょう。

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【会津野】域内調達率

2017年10月07日 | 宿主からのブログ

おはようございます。旅人宿 会津野 宿主の長谷川洋一です。

「域内調達率」という言葉があります。

販売される最終商品の原材料や加工工程が、どの程度地域内で行われるかということを言います。

さらに「域際収支」という言葉もあります。

これは地域内の生産額のうち地域外に販売しているものと、地域外から流入した生産物の差を言います。国と国とでは、貿易額と呼ぶものと同じものです。

ちなみにこの「域際収支」。福島県によると、会津地域の域際収支は、移輸出額7876億円に対し、移輸入額8480億円で、年間603億円の赤字となっています。つまり、会津は他地域からモノを買ってばかりいる赤字体質な地域であるということになります。

 

さて、先日、観光に関する講演を聴く機会がありました。

そこで得た知識に、「観光経済波及効果」=「旅行客数」×「客単価」×「域内調達率」という式がありました。

「旅行客数」と「客単価」は簡単に分かるけれど、「域内調達率」については、あまり創造がつきません。

そこで、宿屋視点で考えてみたいと思います。

宿屋という職業は、仕入としては食料品が大きな部分を占め、次に水道光熱費、人件費が主な調達物品です。

まず食料品から見てきましょう。

参考として、「これからの地域再生」(飯田泰之編)からデータを引いてみます。

ここで取り上げられていた山口市の品目別出荷先割合によると、市内の調達率は以下のようになっていました。

肉 0%

麦 0%

花 3%

野菜 5%

果物 16%

米 74%

ここでは、市内に直売所があるにも関わらず、市民の多くが食品を調達するスーパーマーケットなどで取り扱う品物の多くが、外から調達されていることにより、このような数字が現実として示されていました。

わが町会津美里町のことも、近いうちに調べてみたいと思いますが、感覚として大きくかけ離れているとはあまり思えません。

山口市では、この実状を把握したうえで、3つのことを実行したそうです。

1つは地元スーパーのバイヤーと生産者の商談の場の設定すること。山口市では、スーパーと商談すると買いたたかれると思っていた生産者が大半だったものの、バイヤーは市場から仕入れる額を熟知しており、かけ離れた買値を要求することはなかったと言います。

2つめは、生産者とスーパーの相互視察。スーパーも生産者も、市場取引で要求される途中の状態である野菜の箱詰めなどを必要としないことに気づき、スーパーのバックヤードで実施した方が良いことと、生産者側で実施した方が良いことなどの、流通過程での課題解決を図ったところ、両者にとってより良い方法を構築できたとのことです。

3つめは、定番商品の開発と市内生産および物流網の構築。市内の標高差などを利用し、長い期間、市内で生産・販売できる体制を考えたり、時間差の収穫スケジュールを設定することにより、収穫工程ばかりを行う収穫屋さんが収穫機械などを効率よく使えるようにしたり、また、収穫物を運ぶトラックなどの機材も効率性が増したりしました。生産コストの低下に大きな貢献を達成し、利益額が増す結果を得ました。このような地域に最適な生産工程と物流を考えることです。

これらにより、生産者としては、生産コストを下げることができるし、消費者としては、新たな出費なしに、地域の生産品を日々食卓で味わうことができるようになりました。

これは観光分野の話ではありませんが、域外から買っていたものが少なくなることで、地域の域際収支にも貢献するし、地域の豊かさが向上し、「住みたい」と思う層の流入に貢献をしていることがわかるものです。

観光にとっても、こういう改革は域内調達率を相当向上させる効果があり、観光によるまちづくりに大きな貢献をします。

山口市の例では、さらに世帯ごとの食料品消費額(年あたり)も示されていました。

米 18,795円

大豆製品 26,147円

パン・めん等小麦製品 95,840円

生鮮野菜 150,753円

畜産・酪農品 272,480円

山口市の方だけが「畜産・酪農品」を好むとは到底思われないので、これも全国的にほぼ同じような結果になると思います。

なんと米の15倍もの額を、畜産・酪農品に支出しているのです。

畜産・酪農品は、生産過程で家畜が食べるエサがどうかと言うことが問題となります。

地域の生産物を食べて育っていればよいですが、ほとんどが域外からの調達飼料というのが実際です。

山口市では、空き農地でトウモロコシを主とした飼料栽培に取り組み、域内調達率と域際収支の向上に役立てる取組も開始しています。

このように、域内調達率と域際収支からモノゴトを考えると、人・もの・カネを域内で流通させることを考えることが、地域を豊かにする王道であるようです。

 

次に、水道光熱費のことを考えてみましょう。

水道は、川から流れてくる水を取水したものが元ですので、これはほぼ域内調達と言ってよいでしょう。

暖房用の石油やガスについては、ほぼ100%が輸入品です。ここは、木材などの地域バイオマス資源への転換が域内調達に大きく貢献すると思われます。

電気は、地域内の再生可能エネルギーへの転換が、域内調達に大きな貢献があるだろう。

 

人件費については、ほぼ域内調達と言ってよいでしょう。

 

観光だけではなく、すべてのことについて「域内調達率」と「域際収支」を考えることは、地域のまちづくりにおおいに関係がありそうです。

「これからの地域再生」では、この取り組みをあらわす言葉として「山口市ファースト」という言葉が使われていました。

会津美里では、「美里ファースト」を掲げ、観光DMO組織を立ち上げたいなと思う今日この頃です。

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