会津天王寺通信

ジャンルにこだわらず、僧侶として日々感じたことを綴ってみます。

根本中堂の十二神将、梵天、帝釈天などの修理進む  柴田聖寛

2021-03-25 08:02:44 | 天台宗

 

 

 国宝延暦寺の根本中堂と重要文化財の延暦寺根本中堂回廊の保存修理事業が本年で5年目を迎えました。今回の「平成の大改修」では、根本中堂にとどまらず、伝教大師の御自作である薬師如来坐像の周囲に安置された、十二神将、梵天、帝釈天の十四体、さらには、一内陣内の祖師壇と毘沙門壇内の秘仏なども修理しています。
 担当しているのは、滋賀県大津市の楽浪文化財研究所で、比叡山時報令和三年3月8日号では、所長の高橋利明氏に取材して現状を記事にしています。
 その記事によりますと、十二神将はどれも長年の埃が積もっていて、宝冠なども汚れて変色が目立ちました。像の表面も剥離剥落が著しくわずかに彩色が残っているものの、下地のむき出しになった箇所が多く見受けられました。
 修理に当たっては、彩色は補色の範囲内で、解体は傷つけないように配慮しました。汚れを取り除くために和紙を布海苔溶液水で水張りするということも行われました。緩みや亀裂の箇所は一旦取り離し清掃をしてから、樹脂系接着剤を用いました。割損箇所はヒノキ材で補修して形状を整えました。光背や光背の火焔は一旦取り離してから、形状を整えて鍍金を施し強固に取り付けました。
 当時の姿をそのままに再現することを優先されているせいか、手を加えるのではなく、あくまでも修理ということにとどめたのでした。法灯を守り続けるというのは、時代を超えて大切なものを伝えることです。子・丑・寅・卯・梵天・帝釈天の六体は終わっており、比叡山国宝展に常設展示されているとのことですので、私も近いうちに拝観させていただくつもりでおります。

           合掌


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