猫又のちろに餌をやりはじめてから
ほどなくして他にも猫が集まるようになった
そのなかにまるちゃんがいた
なぜまるという名前をつけたかというと
顔が丸かったからである。
というのは、体が痩せこけているので
顔だけ、丸い形が強調されるということで
決して健康的に太っている猫ではなかった
口元は両端からよだれがたれていて
身体中の毛が毛繕いできないのかヨレヨレでひどく汚れていた
まるで猫を洗った時に顔意外が萎んで 顔だけが丸く強調されてしまうような感じ
まるちゃんは、もう先が長くない、猫だなと思った
ある日、ちろに与えている餌に鶏肉をまぜてやった
それを まるちゃんがたべようとした
まるちゃんにあげるつもりではなかったのだが、
この猫はもうこういう餌を食べられるのはこの先長くはないだろうと思い
おもいきり たべていいんだよ、たべな、
いきている間はおいしいものをたべるんだよ
と
思い切ってその子にもとりにくをあたえた
まるちゃんは 私のよびかけに すっくと顔をあげて
こちらをじっとみていた
それからほどなく
そのまるちゃんは来なくなった
そとの、丈夫な猫たちに餌を与えるなか
ああいう、薄汚れた、弱り切った猫こそ
本来は保護するなり、たすけるべきなんじゃないか、とも思った
本来は保護するなり、たすけるべきなんじゃないか、とも思った
でも、今の私にはできないけど、とも思った。