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セニング(ネタ)

2005年05月19日 | セニング

 セニングのカット指数の曖昧さは言葉では説明しがたい。
個人的には、まずは試して見るに限ると考えている。

良く「どのくらい切れるの?」と聞かれるので、その都度20%とか
これは15%位かな?とイメージで答えているけど・・・

セニングに置けるスキ率の表現に用いる、この「何%」と決めてかかる
言い回しほど曖昧かつ抽象的な表現は無いのですね。

同じセニングでも、ドライでのカットとウェットでは若干の違いは有るし・・・
取り出したパネルに、ハサミを真横に入れるのと斜めに入れるのとでは
結果が違ってくる。 もちろん、ねじってチョン・チョンでも違う。

また、櫛刃の形状でも違うので、櫛の目数もまったく当てにはならない。
V溝とW溝、ファジータイプの溝無しでも違う。

クシ先に溝が切ってあるセニングは、目的のカット指数は比較的正確に
同じように切れてくれるので、初心者は失敗しにくいが・・・
スキ率が20%以上のコンセプトで作られたセニングだとカットラインが残るよね。

段々難しくなるけど、同じ20%以上カット指数のV溝と比べると
W溝なら、W溝(ニスキ)の方がカットラインは目立たない。
ニスキはカットした毛先が、2段に切れるので(ほんの少しだが)毛先がバラ付き
バラ付きの分だけ、カットラインを目立た無くしてくれるんですね。

さてっ、溝無しのクシ先を持つファジー・タイプのフラット系は
方程式の成り立たない「複雑系」で、研ぎ方ひとつで切れる指数も違ってくる。
上記例えの20%以上のコンセプトで作られたつもりのセニングが
10%しか切れないセニングに、仕上げる事も可能だし・・・
数パーセントなら、もっと切れるセニングにも(イメージで)仕上げられる。

そして致命的な「錯覚」としてインストラクターの殆どが陥る事をひとつ伝授。
セニングはクシ先がつかまえた髪の毛を切れ刃(棒刃)が切るんですよね。
これは、捕まえられなかった髪の毛は切れない事でも有ります。

従って・・・ ひとパネル100本の髪の毛を挟んで20本切れるセニングは
200本取り出しても、300本のパネルでもワンストロークだと
20本しか切れないんですよ。

200本のパネルだと一回で40本切れるとか、300本のパネルだと60本とか
では有りません。 だから20%なんて表現はイメージの世界なんですね。

ローゲージ・ミドルゲージ・ハイゲージの3種類を用意して
ドライやウェットの感触を頭にたたき込み、慣れていくしか有りません。

ディラーの持ち込むセニングなら、見た目に惑わされないで・・・
必ず、一週間ほど2~3種類を貸してもらって現場で試し切りをお薦めします。
貸し出してくれないディラーなら、そこからは買わない事ですね。

カット・シザーよりセニングに求める作業の重要性とセニングの性能は
日進月歩で進化していますので・・・ 数年前に買い求めた
貴方のセニングとは違います。
また、仕入れ窓口が限られたディラーが打つキャンペーン商品は
下手をすると・・・ 2~30年前のデッドストック?か中国製も有りなので・・・
お気を付け遊ばせませ。

ひとつの目安として、クシ先がファジーかW溝(ニスキ)でR刃仕様。
切れ刃(棒刃)が柳刃もしくは笹刃のドラム・タイプ(真ん中が太い)で
刃材がコバルト表示なら、比較的最近(約2年以内)に作られたセニングですね。


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