はさみ屋のブログ

理・美容師の使うカットシザーのメンテナンス・アドバイザー(研ぎ・調整・販売)

ハサミネタ。 はさみネタ。

2006年10月01日 | はさみネタ

さて、先日に続き・・・ ある意味で技術面の話なので、事前にオブラートに包んでと
マクラでお断りしての内容ですが、ハサミネタとしては参考に成るでしょう。 


さてさて、サロンでカットをする場合。

カットシザーで髪の毛を切る時に(理・美容のカット)切り込む先端で起こる
ハサミの刃先と毛髪の状態を書いてみる事にします。

カットする時に、毛髪は刃先から受ける圧力で、圧縮、曲げ、回転しようとする
反発力が発生します。  別に髪の毛が切られる事に悪あがきしている訳では
無いのですが、力学とはそういうモノなのでして・・・ 反発は起こるんです。
 
まず刃先が切れ込みながら、抵抗を感じる事になる。
ったって、良く切れるハサミなら抵抗勢力には屈すること無くサクッと切れる筈。

がっ 切れなくなったハサミだと・・・ 反発に負けて「パクル」んです。
触点の踏ん張り不足やネジ圧の不足とか、板バネのバタ付きがそれを助長する。

でも、切れ込みが、側方圧に負けて「パクル」事には違いは無いんです。

ハサミの先端が毛髪に切れ込む時「圧縮」「曲げ」「回転」しようとする力の
影響を「動刃・静刃」は刃先の側方に受けて直角の方向に押し開かれようとします。

この押し開こうとする力 (側方圧) が、切る力 (せん断力) より大きくなると
鋏は毛髪を切断せずに挟んでしまいます。 これがパクルと言う現象ですね。
つまりが切れなくなっている為に、抵抗勢力に負けたんです。

本来、側方圧は片刃の角度から考えれば、平らな裏刃より角度の付いた表刃が
互いに交差する内側に作用すると思いたいのですが・・・
切れ込みの悪い刃先だと、パカッと毛束に負けてしまうのです。

まぁこれは切れなく成ったハサミで起きるか、研ぎが上手く出来ずに切れ込む
刃先の仕上がりが悪いか、調子が狂った状態か? と理由は色々ですが・・・
そう書かないと、余計な突っ込みが来そうだからね。

ネジや板バネに責任を押しつける前に、お上手な研ぎをするべきでしょう。

もしも・・・ 研ぎ立てで、パクルとしたらまず研ぎの技術が未熟だと思ってください。
研ぎはお上手でも、バリ取りが下手なら結果は同じく満足出来ません。

俗にカエリと呼ばれる小さなバリでも、外を向いていたら切れ込みの
方向をパクル方向に誘導するからです。 意外なほどそれが関係していますね。
だから・・・ バリ取りに工夫をすれば、切れる様になりますって。

それでも駄目なら、視点を変えて・・・
リーズナブルを通り越して、お買い得も通り越して財布も傷まず手に入れた
安物のハサミが原因なんだと、疑う心の「ゆとり」も必要です。

安バサミ。ここまで来ると、初めてヒネリやソリやアキの調子が駄目と割り切れます。


中華人民共和国のハサミだって、十数年前に¥3万円で買った国産のハサミより
マシな品物も有るんです。 現地なら実売でたったの¥2~3、000円ですよ。
手に入れたいのなら、アリババで検索して見つけられます。

仕入れのミニマムは30丁位です。 保証は出来ませんけどね。
なにしろ日の丸の国旗を燃やす国民の作り出す製品ですので・・・
しっかりしたパイプが無いと騙されるかも。

でも、今年の1月に東京で勤めていたサロンで¥2000円で買ったと言う
中国産のカットシザーを、上越市の床屋さんで研いだけど・・・
切れ味は国産の¥3万円程度のハサミに劣らなかった。

リーズナブルなハサミに良くある鍛造品と呼ばれる品物だけど・・・
材質はSAS440系なので、錆にも強く医療関係のハサミにも使われる鋼材
だったし・・・ あの国の技術を馬鹿にしてはいられません。

需要と流通の関係で、大っぴらに日本国内に出回る事は少ないだろうが・・・ 。
国内のメーカーには、結構な脅威かも知れません。 

事実、すでにサロン向け通販にも、中国産のそれを見つけることが有ります。
安売りキャンペーン用に仕入れて販売しても儲かるからですね。

パックス・アメリカーナならぬパックス・ジャパンと叫びたいこの頃。


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